猿の眼(ましらのめ)6


「俺としてもここで殺りあってもいいんだが、アンタにはすることがあるんだろ?」


 そう言って、政宗は戦場に立つ己の主を静かに見つめる。

「アイツはこんなところで朽ちる器じゃねぇ。竜が手に入れるのは、翼を生やした虎だ」


 不愉快そうに眉を顰める佐助を見もしないで、政宗は彼に背中を向けた。

「アイツが飛び立つまでせいぜい御守りでもしてるんだな」


「俺様がアンタを大将の元に行かせるわけないだろ? 例え相打ちになっても、アンタを大将には会わせない」

 佐助の言葉に、政宗は振り返って鋭い瞳で佐助を睨みつけた。


「ふざけてんじゃねぇぞ。何も嫌っているのはアンタだけじゃねぇって言ってるだろ。俺も、アンタが憎いんだ」

 バチバチと雷を纏わせながら、政宗は青みがかった瞳で佐助を睨みつける。


「アイツに必要とされてるくせに、てんで分かっちゃいねぇ。それが、どんなに…」


 そこまで言うと口をつぐむ。

 しゃべり過ぎたと舌打ちをすると、政宗は乱暴にその場から立ち去って行った。

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