溺レル6
くつくつと、眼帯を抑えて冷たい笑い声をあげた。
邪魔者などどうだっていい。
この手で消せば済むだけなのだ。
最も許しがたいのは、
「……蒼い水底から抜け出した時に現れたのは。太陽、だと?」
藻掻いていたのか。己の存在に。
「声を聞くほど、アンタはあの男を求めていたのか?」
己から離れ、この男はあの男の元に行くつもりだったのか。
「ふざけるな」
再び、幸村の身体を蹴りつける。
鍛えてはいるが、元から華奢な身体は抵抗なく転がっていく。
それだけで、体力を消耗していた幸村が意識を飛ばすのに十分だった。
「アンタは、俺のrival。アンタが心を占めるのは俺しかいない。そうだろ?」
動かない幸村に近づきながら、政宗はうわ言のように呟く。
そして、膝を折って、好敵手の水にぬれた髪をかきあげた。
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