溺レル3


「家康、だと?」



 不審な表情を浮かべる政宗に気づかず、幸村は頷く。



「共にお館様の魂を引き継いだ者として、何故彼に届かぬのか長らく疑問でございました。しかし、それは違っていたのです。虎の魂をこの胸に宿している時点で、某の中にお館様は存在している」


 空を見つめる幸村には、政宗の様子がおかしいことに気づいてはいない。


 只此処にはいない、魂で結ばれた兄弟のことを想い目を細めた。



「あの太陽の声は家康殿だったと思うのです。己を信じ突き進むことの大切さ、お館様から受け継いだこの魂の在りかを、家康殿は教えてくれたのだと。敵ではあるが、某たちはお館様とその魂で繋がっているのだと」


 パチパチと、政宗の身体から雷が生まれていく。


 幸村はようやく政宗に顔を向け微笑みを浮かべた。



「多くの人の助けを借りて、某は今こうして貴殿と渡り合える。某が進む果てには……まさむねどの?」



 「如何なされた?」と首を傾げる幸村に、政宗は刀を突き出していた。


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