死の勝利2

「俺はいつか、アイツの全てを手に入れることができるんだ」

「……」


「そうなれば、もう離しはしない。誰にも渡さない。永遠に、だ」


 その時が待ちきれないとでもいうように愛おしそうに六双の刀に触れる政宗を、佐助は冷めた瞳で見つめる。


「俺の部屋にその亡骸を飾って、終日愛でてもいい。アイツの死化粧はさぞ美しいだろうな。そして、腐る前に俺が全て喰らってやる。あの身も、心も。アイツは永遠に俺のモノになる。そうだろう?」


「ふぅん。そんなことか」


 どうでもいいとでもいうように吐き捨てた佐助に視線を移して、政宗は眉を吊り上げた。


「A-ha? 負け惜しみか?」

「そんな訳ないっしょ。負け惜しみを言うほど、アンタに敗北感を味わってないさ」


 佐助はそう笑うが、政宗を見る目は冷たかった。


「言っておくけど、俺様は旦那のために死ねるんだ」

「……」


「旦那のために全てを捧げて俺様は死ぬ。これほどの幸せがあると思う? 旦那を殺した過去にすがって生きていくしかできないアンタとは違うんだよ」


「言わせておけば、この猿……!!」


 佐助の言葉で政宗の身体からバチバチと雷が現れる。そんな彼を冷たく見る佐助の身体からも不気味な闇が徐々に濃くなっていく。


 今にもお互いが動きそうになった時、

「政宗殿に、佐助! 一体どうしたというのだ? このような門の前で……。修練をしたければ道場を使えばよかろう。それに、某を仲間外れにするな」


 そう、毒気の抜かれる声が二人の耳に響いた。

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