スローペースな二人1
黒田様、相互ありがとうございます♪
「家康と幸村のお話で、内容お任せ」→家幸にさせて頂きました。
家幸の他、政宗が出張り、慶・親が少し。
(高校生)
とにかく、長文。1pの文字量がいつもより多いしで、本当にお時間のある際に(><)
ストーリー性ゼロ、タイトル通りほんとダラダラ。二人のやり取り、会話がほとんど。色気なし。よくあるネタな気が。苛々する可能性あり。全てにおいてすみません(;_;)
初め2pが序章で、3p目からやっと始動な感じ。背景は失笑ものですが、シリアス・ほのぼの…のような。
〈全6ページ(実質7p弱)〉
夕焼け色に染まる道に、二つの影が延びる。
会話は途切れることなく続いていたのだが、それは、親しさによるものなのではなかった。
よくある、初対面同士が気まずい空気を避け、必死に話題を上げようとするアレだ。
彼らは顔見知りではあったが、クラスが違い、二人きりになったのも初めてだったので、学校を出たときからずっとその調子で…
──とうとう、ネタが尽きてしまう。
「あの…」
「!」
幸村から切り出すと、家康はあからさまに安堵を表した。
よって、後に引けなくなってしまった彼だが、思い切ったように、
「じ、実は……最近、友人が悩んでおりまして」
「悩んで?」
はい、と幸村は頷くと、頬を染め、
「こ、交際を申し込まれたり、…お、想う方がいたり、……など…」
「…ああ……」
予想だにしない話だったのだろう、家康は軽く驚きを見せる。
「力になりたいのですが、そういった話には、とんと無縁でして」
幸村は声を落ち込ませると、
「徳川殿は、その……そ、そういう方が、……おられまする、か……?」
「──…」
言葉を飲む家康に、幸村は急いで、
「すっ、すみませぬ!突然、このような不躾な……忘れて下され!誠に申し訳ござらんッ!」
「あ、いや…!気にするな!」
家康はすぐに首を振り、幸村を落ち着かせようとしているのか、手も大げさに動かす。
気まずさや恥ずかしさが充満する中、家康は、
「いるよ……ワシにも」
(え──)
幸村の驚く顔に、家康はプッと吹き出し、
「そっちが聞いたんじゃないか。そんなに意外だったか?」
「あ…っ、いえ…」
あせっ、と目をそらす幸村。
「片想いで、ワシも器用じゃないから……力になれそうもないがな」
「………」
「真田?」
幸村の沈黙と俯きに、当惑する家康だが、
「ここからは、こちらの道ですので…」
「ああ…そうなんだな」
また明日、と手を上げ笑顔に変わる。
幸村も同じく応えると、それまでの気まずさはサッと消えた。
(……はぁ…)
ようやく緊張から解放された幸村であるが、浮かない顔は治っていなかった。
彼と初めて会ったのは、去年の入学式でのことだ。
整った面立ちに体格の良さと、明るい笑顔や声が周りの視線を集め、その波紋は離れた場所にいた幸村にまで伝わるほどで。
出身中学でも有名人だったらしく、『ほう?』という風に眺めていると、
(……?)
ふっと目が合い、『あ…』と思った瞬間、向こうが奇妙な態度を示した。
眉間に皺を寄せ、目を見開いたかと思うとギュッとつむり、忙しなく開閉させる。
怒りや嫌悪を抱いたときのように、薄くはあったが顔を色付かせ、幸村から目をそらした。…彼の近くを通り過ぎる際にも。
(何だというのだ…)
すっきりしないものを持たされたまま入学式は終わり、幼なじみでもある親しい友人たちと帰ろうとしていると、
『仲良くなってさ〜』
『徳川だ。よろしくな』
慶次から彼を紹介され、幸村はやや強張った態度で『よろしく…』と会釈した。
家康のぎこちない笑顔を見て、やはり先ほどのは気のせいではなかったのだ、と幸村の心は固さを増す。
他の人間には、あの眩しくて優しい笑顔を自然に見せるというのに、自分だけには無理をしたそれを向ける。
(…気に入らないのなら、無視をしてくれて良いのに)
そんな社交辞令にもならない愛想笑いなど、もらっても不愉快さが溜まるばかりである。
しかし、『良い人』で通っている彼なので、新しくできた友人の親友ともなれば、軽んじたりできないのだろう。
その気持ちはよく分かるのだが、いくら鈍い幸村であっても、あの見え見えの態度には、気付かぬ振りさえし辛いものがあった。
そして二年生になり、政宗とはまた同じクラスになった幸村だったが、
『俺も慶次も元親も、他の奴らも皆……惨敗だった。もう、お前に託すしかねぇ…』
『何と、政宗殿たちが…!?』
どこの大物だっ?と幸村は戦き、また友人たちを倒されたことへの怒りにも拳を震わせ、
『お任せ下され!某が、必ずや仇を取って参りまする!』
『さすがは俺のrival…恩に着るぜ!』
政宗は感動顔になり、
『きっとだぞ?』『約束したな?武士に二言はねぇよな?』などと、しつこいほど念を押すと、
『敵は、徳川家康──未曾有の強敵だ。…だが、お前ならあるいは……』
『…え?』
仲の良い彼らが何故?と、幸村は戸惑い、勢いは弱まるのだが、
『誰もが聞き出せなかった、奴の……』
政宗の笑みと言葉に、幸村は即座に、自分の宣言を激しく後悔することになる。
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「やっぱな…お前になら吐くんじゃねーかと思ってたんだよ。普段言いそうにねぇ奴が、遠慮がちにやるとよ」
「もう、居たたまれなかったですぞ…嘘をついてまで…」
「嘘じゃねーだろ、嘘じゃ」
政宗の不敵な笑みに、幸村は「はぁ」と、溜め息とも頷きともとれる声を洩らした。
『あいつ、そーいう話に全っ然乗って来ねんだよ。お前みてぇな、pure&shyっつうわけでもねぇし。慶次の奴が、躍起になっててなー』
とか言いながら、政宗も興味津々であるのはバレバレであった。
幸村はまんまと言いくるめられ、家康の「恋バナ」を聞き出すための、スパイに仕立て上げられたわけである。
「『友人』は俺らのことで、実際、『交際を申し込まれたり、好きな奴がいて悩んでる』だろ?」
政宗のニヤリとした笑いに、
(とても悩んでおるようには思えぬ…)
しかし、これで嫌な「任務」から解放された…と、幸村は腰を落ち着かせるのだが、
「Hey hey…肝心なことは、まだ聞けてねぇままじゃねーか」
(え゙……)
「『二言はねぇ』──だったよな?」
「(っぐ、……)」
こうして、家康の片想いの相手を突き止めるまで、幸村の任務は続けさせられることになった。
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