永久トライアングル3




教室へ戻る途中…



「――汗かきには、塩分が良いのですか?」

突然、幸村が政宗に聞いてきた。


「Ah?…ああ、聞こえてたのか?ほら、汗ってな結局塩分だから」



「ありがとうございまする!」



「Ha?」

いきなり何だ、と政宗は幸村を見るのだが――


「政宗殿が、あのように某の身体を気にかけて下さっていたとは…。
…先ほどは皆がおりましたので、申せませんでしたが」


幸村は微笑み、


「嬉しゅうございました。まさか、政宗殿が…。――実は、お優しいのですなぁ」


普段は見せて下さらぬのに…、と、冗談めかして――少し睨む。



「――……」
「政宗殿?」

政宗は、スタスタと歩き出す。

「どちらへ…」
「――トイレ」
「そちらにはありませぬぞ?」
「間違えた。drink買って来る。じゃ…」


「……?」


幸村は振り返り、

「自販機、あちらに新しくできたのでしょうか?」


「……」



(俺ら、ずー…っといたんですけど…)



そうツッコんでやりたい慶次、元親、元就たちだったが、その顔の前では誰も成せることができるはずもなかった…。













幸村の誕生日が近付いてきた時期の、クラスマッチにて――


「――まあ、こういうときゃ、あいつらも役に立つな」
「今日は、入れた得点数で勝負だってよ」
「味方同士で争わなければ良いがと思っていたが、そこまで馬鹿ではなかったな」


元親、慶次、元就は、男子バスケの試合で大活躍しっ放しの、佐助と政宗を眺めながら呟いた。

どんどん入っていく点数。
チームには幸村もいるので、正に怖いものなし。

佐助と政宗は、似た者同士であるからこそか、やたらと息が合う。
いつもこうであれば良いのにと思ってしまう面々。
恐らく、自分たちの決めたシュート数は既に分からなくなっているほど、熱中している。

事前に、きちんとカウントするように頼まれていた三人だが…。


――結果は、自分たちのクラスの大勝で終わった。


と、すぐに三人の方を向く佐助と政宗。
どちらの数が多かったかの確認で頭が一杯なのだろう、駆け出そうとし――、



「佐助!」



「!!!」



その前に幸村が走り寄り――佐助の背中に飛び付いた。



「だ、旦那っ…」


佐助は、そのまま倒されそうなほどの力加減を何とか受け止め、振り向く。


「お前、さすがだなッ!あのシュート!あれがなければ、流れは向こうのものだったぞ、完全に!」

「――ああ、そんな…、てか、最初に決めてくれたの、旦那だったじゃん!そもそもそれがなかったらさぁ――」

「いや、そんなことはない!あれもお前の機転のお陰で」

「え、そうかなぁ〜?ま、旦那がそう言うなら…」

「政宗殿との息もぴったりで――いつもああなら……」


幸村は、周りを見渡し、「…政宗殿?」



――政宗の姿がない。



「……」


(シュート数は、僅差で政宗が勝ってたのに…)



慶次たちは、あの言葉を思い出していた。





『旦那からのスキンシップは、ボーナス点!』





(…不憫な奴)



三人は、幸村に見えぬようガッツポーズを決める佐助を見ながら、今はない彼に哀れみの想いを抱く。

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