アイドル争奪戦1
ゴマ様、相互ありがとうございます♪
キリリク文「アイドル」の続編。
これか、お題文「時間」の10時の続編…とのリクでしたが、こちらは(多分いつか)書くつもりだったので^^
※とんでもなく長文です!
場面切り替わり&会話多し・乱文なので、本当にお時間のある際に;
就・幸・家・三・官・佐・政・慶・親。高校生設定
「アイドル」では3キャラが主ですが、ゴマ様が最後に出た三人も気に入って下さったので、彼らも参戦させちゃいました。台詞はキャラにより小差あれど、自分的には愛をぶつけたつもりです(^^;
※キャラがいつもより崩壊してますが、それが今回のコンセプトなので。
よめるネタに、ベタなやり取りばかり; この話のキャラの性格には…とした結果ですので、幸村の反応を微妙に思われるかも知れませんm(__)m
(全8ページ)
いつも元気の塊のような彼が、最近ふとしたときに陰を見せる。
この学園の生徒会長は、その彼だけには甘い──というのは、生徒や教師の間でも有名な話だった。
「幸村、何ぞあったのか?」
「元就殿…」
やはり、相当溜め込んでいたらしい。
「実は…」と、少しだけ救われたような顔で、幸村は理由を打ち明けた。
(また、あやつらか…)
内容が予想通り過ぎて、呆れしか湧かない。
友人たちの中でも、幸村へ異常な執着を見せる奴らがいた。
──佐助、政宗、慶次。
だが、幸村は彼らの想いに全く気付いていない。彼の前ではそういったものを隠す三人であるので、当然と言えばそれまでなのだが。
言えないものだから、彼がいないときには、こぞってその盲目振りを吐き出す。
『旦那、今日も可愛っくてぇ〜』
『やっぱ、destinyだな…お前から見ても、そうだろ?』
『も、すっげぇ好き!な〜、どうしようっ?』
…などなど。
で、その反動か本能かは不明だが、幸村をからかったりする態度が多い。
ゆえに、彼が困ったりふて腐れたりというのは、しょっちゅうであった。
今回は、数日後に控えた文化祭で、
『幸村と、二人だけで見て回りたい』
と、(彼らにしては大胆な我儘を)申し出てきたとのこと。さらには、
『後夜祭のキャンドルサービスを、特等席で二人きりで見たい』
とまで。
とうとうカミングアウトか…と、元就は少し興味が湧いてきた。
「しかし、石田殿たちからも言われておるのでござる」
「ああ、向こうの…」
今年の文化祭には、来年度から合併する兄弟校の生徒たちを招待する予定で、幸村はあちらの学校へ、連絡係として通っていた。
そこで親しくなったのが、三成、家康、官兵衛たちである。
元就も顔を合わせたことがあるので、すぐに分かった。
「…時間は短くなるが、一人一人と回ってやるのは?」
「某は構わないのですが…」
「我が説得しておこう。後夜祭のことも」
キッパリ言い切ると、幸村は感激したように感謝の言葉を述べる。
だが、それを裏切るように、当日いかに『自分が楽しむか』の案を、早速練り始めていた元就だった。
「というわけで、わざわざ我自ら、こちらに出向いてやったのだ」
「「……」」
「すまなかったな、毛利」
家康が、眉を下げて元就を労る。
三成は今にも怒鳴りかねない表情で、官兵衛はそれに恐れをなしたように、固唾を飲んでいた。
──彼らの通う男子校の、生徒会室。
家康は役員ではないが、元就が案内をさせるついでに呼んでいた。
しかも、来たのは元就だけではない。
「全く、図々しいったらないよねー。文化祭くらい、一人で回れっての。子供じゃあるまいし」
「Ha!幸村は俺と一日過ごすってことで、もう話ついてんだよ。Understa〜nd?」
「俺の友達に案内させっから、それで良いだろ?可愛い女の子だよ〜?」
三人が同時に言い、「はぁ?」という風に互いを睨み合った。(特に、政宗に対して)
「…官兵衛、貴様も真田に案内を依頼したのか」
ギロリと見る三成に、官兵衛は青ざめ、
「ち、ちち違うっ!向こうが言ってくれたんだ!その後に、お前らから頼まれたらしくて。小生のことは良いからって断ったんだが、あいつは律儀な奴だろう?それで…」
しかし、言えば言うほど、周りの目は鋭くなっていく。
…まぁ、無理もない。彼らは、決死の覚悟で幸村に頼んだのだから。
「幸村を困らせるな、馬鹿者ども」
元就は、幸村が一人ずつと回る旨を伝え、
「ついでに勝負する…それが、貴様ららしい流れではないか?優勝者が、後夜祭二人きりの権利を得る──という案なのだが」
「「「!!!」」」
最後の甘い言葉に、俄然やる気の炎を灯す彼ら。
元就はフッと笑い、「決まりだな」と、ルールの説明に移った。
「審査するのは、幸村だ。ただし、理由や詳細は伝えぬ。先入観や情が混ざれば、公平さは得られぬからな」
「何?これ…」
全員がプリント用紙を手渡され、書かれた内容に首を傾げている。
「それが、当日各自が『演じる』もの。雌雄を決するのは、『いかに嫌われるか』ぞ」
「「「はいぃ!?」」」
好かれたいというのに、何故に!?と、全員が唖然とする。
しかし、元就は不敵に笑い、
「幸村には、誰に一番『嫌悪』したかを答えてもらう。…誰が一番、『普段の姿が良い』と思ったのかを」
つまり、と続け、
「嫌だと思う気持ちが強ければ強いほど、真の貴様らを望み、好いておるということになるのだ!」
「「「……!!」」」
珍しい元就の熱い口調(演技だが)に、魂が揺さぶられたらしい全員。
「な、なるほど…!」と、納得させられ、プリントを食い入るように見つめる。
「しかし、かなりハードな試練だよね。これってさ…」
「ああ」
佐助の言葉に元就は頷き、
「それぞれに合った、より『嫌がられそう』な要素を盛り込んである。後は、貴様らがどれだけ本気で演じるかによって、真実味も変わってくるであろうな」
「小生は、別に良いんだが…」
勝負を辞退しそうな官兵衛だったが、
「構わぬが…(良いのか?こやつらの中の誰かが、あやつと二人きりに…しかも、暗がりの中)」
ヒソヒソと耳打ちすると、「ゔ、」と唸り、複雑な顔のままだったが、プリントを受け取った。
「当日、幸村の身にこれを付けておく。徳川から借りた、超小型カメラだ。勝負のことを幸村に話したり、賄賂を贈れば即失格」
「ああ、それで『持って来い』と」
ようやく理解したという顔で、家康が呟く。
──かくして、話はまとまった。
「俺様の本気、よーく見せてあげるよ」
「…陰湿な金魚のフンめが、大口を。二度と、もの言えぬようにしてくれる」
「Hey、トランポリンでつかなかった勝負──今度こそ、決めようじゃねーか?」
「おお、すごい闘気だな伊達の。今からそうでは、当日まで持たないぞ?」
「あんた、いつ棄権したって良いんだぜ?幸のこと、そんな目で見てねんだろ?なぁ?」
「(笑顔だが…。…駄目だ。やっぱり、こいつらに真田を渡せば、とんでもないことに…)」
──それぞれ、火花を散らし合う六人。
文化祭は、実行委員会がほとんど取り仕切る。
これで少しは退屈せずに済みそうだと、元就は満足げな笑みを浮かべていた。
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