知らぬ間の実り1


藤篠様、相互ありがとうございます♪

佐幸で、すねる佐助。(他、親・家・慶・三、登場) 高校生佐助×大学生幸村。

「すねる佐助」ネタで、前から書きたかったものがありまして(><)
設定が、現代パロ「芽生え」の続きなのです、すみません; しかし、本編だけでも分かる内容です。
が、他キャラも食い込み、長文に…(;_;)

幸村に追い付きたい佐助で、態度や口調が、いつもの彼とは微妙に違う感じです。
前半、佐助すねまくり。後半、ずっと佐+幸のやり取り。佐→幸が強く、幸村の台詞少なし(泣)
佐助がウザかったら、すみません…;

4p目、佐助が積極的(^^;(私の描写なんで、色気は皆無ですが)


(全5ページ)













旦那とは、約二年前に出会った。


俺様こと猿飛佐助が、高校二年になったばかりの頃。大学生になりたての旦那は、初めてのアルバイトで、俺様の家庭教師に就いた。

元々は成績優秀だった自分なのだが、高校生になってから、『モデル』を始めて…しかも、周りには黙ってて。なもんで、成績は急降下、親が勝手に雇った──というわけだ。

モデルの仕事は、冷めきってた俺様が初めて夢中になれたもので、旦那と出会ってからは、それに対する信念がさらに固まった。


…こんな自分でも、熱くなれるものを持ってるんだと知ってもらいたくて。
歳上の旦那と、その距離はそう遠くもないってことも。


そして、俺様は旦那のことを……




『…え、他にバイト増やす?』
『うむ…何人か生徒を紹介されてな。それと、友人にも誘われておってなぁ…カフェの』

──すぐさま、俺様の思考は回る。


“他の生徒を持つ→今まで独占してた、旦那の情熱(カテキョ)を、他の奴らに奪われる。

カフェ?…No!!!
そんな、女どもが群がりそうな場所!危険でしょーが!”


『や、やめといたらぁ…?旦那、そう乗り気でもなさそーじゃん』
『むぅ…カフェなど、自分の身に余る気がしてな。だが、社会勉強になろうし…残ったデザートを、もらえたりもできるらしい』
『………』

すかさずツッコミを入れたかったが、…我慢我慢。
俺様は、猫なで声で、


『俺様、旦那以外の先生は遠慮したいんだけどなぁ。…ほら、こないだ言ったモデルの話。これから忙しくなって、曜日固定できなくなるかも…』
『おお、そうであったな!他の生徒は断るとしよう』

よし、とコッソリ片手を握り、小さくガッツポーズ。


『あ、…では、やはりカフェの方も遠慮しておく。お前に教えるのは、本当にやり甲斐があるし…受験まで続けさせて頂くと、約束したしな』
『…悪いねぇ。その代わり、俺様お手製のお菓子、いつも作っとくからさ』

『何を申すか、そんな暇があれば』
『いやいや、それも向上の一環だから』
『…??』


──これも、もう約二年前の会話。


…そう。

もうお分かりだと思うけど、俺様は旦那に惚れている。

時が積もるのに比例するよう、想いはどんどん増えていき、その日が近付くにつれ、ピークを迎えそうになっていた。


少しでも長く一緒にいたくて、高校卒業までは、カテキョという繋がりだけは死守しようと決めた。

…それで、旦那と同じところに追い付いたら、そのときにこそ、必ず告げようと誓って。


さすがに、受験直前になると「教えてもらう」レベルではなくなってきたので、年の暮れ頃で、カテキョは終了した。
だけど、ケータイのやり取りはしてくれて、それが何よりの力になった。


『いい加減、どこなのか教えぬか』
『だーからー…。落ちたとき切ないでしょ〜?滑り止めは全部受かってるし、本命の合否が分かってから、』
『その発表の日も、いつなのか言わぬし…』

『まーまー、すねないで!てか、楽しみにしててよ。サプライズ、サプライズ』
『…ということは、自信があるのだな?』

『あー…、ははは』


(…そりゃあ、もう)


俺様が、最後の最後で、かけてくれたカテキョへの労力や、あの笑顔を消すわけがない。

受ける大学全て、確実に合格するつもりで臨んだ。


そしてようやく、待ちに待ったその日がやって来た──…












(…まぁ、見なくても分かってたけどね)


パソコンで合格してるのを確認し、親に報告すると、「もう、驚きもできんな」って。すごい冷静だったけど、喜んではいたようだ。

モデルの事務所とか、世話になってるカメラマンにも電話したんだけど、「良かったなぁ、おい!」と、こっちの人たちの方が、えらく感動してくれた。

仕事は大学でも続けるけど、一時の多忙さを越えることはなさそうだ。
「ちゃんと、勉強も遊びも経験して来い」…とか、何かマジで実父より父親っぽいかも。


「おめでとさん」
「そっちこそ、もう大丈夫なんでしょ?」

数少ない、腹を割って話せる友人・親ちゃん──の家で二人。


「一応、あと一つ受ける」
「そーなんだ?そりゃ邪魔したね」
「いや、あ」

鳴るは、親ちゃんのケータイ。メールらしい。

「誰?」
「…真田」
「はぁッ?」

俺様は素早くケータイを奪い、「…あ?」

画面は、


“…応援しておりまする…”

などの、激励メッセージ。


「俺ァ、お前と違って受ける大学教えてっから。で、たまにくれるだけだって…」

──俺様、そんなに怖い顔してんのかね?ゴツい野郎共のトップである親ちゃんを、こんな怯えさせるなんてさ。


「この、『ありがとうございました』ってのは?」
「まだ夜寒ィから気を付けろよ、とか、そんなん送った」

ふーん、とケータイを返す。

ホントは疑ったりなんかしてなかったけど、面白くないのは当たり前。

親ちゃんには、もう早くから旦那と会わせてて…三人でどっか行ったりするほど、仲良くなっていた。
…けど、俺様を仲間外れにして盛り上がるのは、頂けないなぁ。


「何もねぇって!それよりお前、言うんだろ?今日か?明日か?」

「もちろん、」

俺様は立ち上がり、「だから来たんだよ。──んじゃ、ちょいと往って来ますかね、っと」


うん、大分ほぐれたかな。

このまま行けば、悪くない結果になりそうな…そんな気も。


「ま、頑張れ。骨は拾ってやっからよ」
「…温かいご声援どーも」

一応は励ましらしい言葉を、こちらも全力の笑顔で受け取る。


そうして、いよいよ決戦の舞台へ…

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