思いがけない休日1


ゆや様、相互ありがとうございます♪

素敵リク「幸村総受け的な、ギャグ」

幸(中学生)、佐・親・慶・政(大学生)
小十(社会人)が少し、お館様がほんの少し。

長文です。破廉恥描写はありませんが、それにちなんだネタです。ちょい下品なこと言ったり。仮(女)装的描写あり。

総受け『的』に甘え、恋愛っぽくはないです…が、自分なりに幸村をモテさせたつもり;
だいたいヘタレ。政宗様については、好き勝手書き過ぎました。

全員ボケ属性です。ツッコミが存在しません(・ω・)

(関ヶ原+就も出したかったんですが、収まりきらず断念…泣)


(全5ページ)














(はー…)


珍しく、佐助は苛々していた。

外ではともかく、家にいるときには、ほとんど湧かない感情なのだが。

理由は分かっていながらも、どう対処すれば良いかが分からず、一層増す。

それは、今日のバイト後での話──…









『お疲れ〜。やっと明日で終わりだな』
『ですねー。バイト代入んの楽しみ』

短期バイトで親しくなった大学の先輩に、ホクホクした顔で返す佐助。

『弟を旅行に連れてくんだっけ?そいや、写メとかねーの?』
『弟じゃ──まぁ、似たようなもんですけど。…これです』

ケータイを差し出し、


『………』

黙る彼に、『先輩?』と窺うと、


『──すっ……げぇ可愛いじゃん!えっ、これ弟!?てか、男!?』
『…先輩、フツー弟は男でしょ』

ツッコミながらも、佐助の顔からは笑みが薄らいでいく。

武田家にて同居している幸村は、まだ中学二年生。見た目もいかにも少年で、くりっとした瞳が、どちらかといえば子供よりな面立ちに見せる。

だが、


『いや、どう見ても男でしょ。これ学ランっすよ?』
『ああ…ボタンねーから、そういう服かと。…言われたら、男か…──てか、どっちにも見える。俺、ボーイッシュなのが好みでさ、』

佐助はケータイを閉じ、その後はどんなにねだられても、断固として見せはしなかった。









(見せんじゃなかった…)



『コンコン』


夕食後、自室でくすぶっていると、ドアがノックされた。

開けると、


「佐助……ちょっと良いか?」

──今の気分としてはあまり良くなかったが、そんな素振りは出さない。


「どしたの?」
「………」


「旦那?」

一体何なのか、幸村は顔を真っ赤にし、佐助に向かい黙ったまま。
目を覗こうとすれば、視線を泳がせ、


「…ぁっ、の、な、」

もじもじしながら、正座した膝の合わせ目を、何度も両の手のひらで擦る。
短パンだったため、素肌を滑るよう行き来するそれを、


(気持ち良さそー…)


佐助は、口を半開きにして見ていた。

幸村の手で撫でられるのも、その膝や腿に触れるのも、どちらもきっと、



(──なななな、何考えて…ッ)


急いで顔と頭の中を元に戻していると、幸村が意を決したように顔を上げ、


「頼みが、あるのだ…」
「頼み──」

真剣な表情に、ごくりと鳴る佐助の喉。

幸村は、顔の熱に瞳を潤ませ、


「…いのだ、…な、…を……」

「えっ?…何?」

聞き返しただけなのに、いよいよ泣き出しそうな顔になり、


「見せて──…教えて、欲しいのだ…っ!


…………はれ、んち……なこと、を──」





静まり返る場。

びしりと硬直する佐助。

幸村は佐助の顔を直視できず、視線を落とし、膝上に拳を二つ作る。

…まるで、初めての夜を迎え、恥じらうばかりの生娘のような…


「さす、け…」

「だだ、だんな、あの、でも、お俺男だけど、良いのかなっ?いや、旦那が良いってんなら、おれ、頑張るし、びっくり、したけど、えっと」

普段の飄々さなど綺麗に吹っ飛び、うろたえ、まるで子供のような口振りになる佐助。


「ぃや、でもやっぱ、まだ早いかな、って。ほ、ほら、俺様も今自覚したばっかで、ちょっと混乱…や、拒んでんじゃなくてっ、むしろ大歓迎なんだけど、旦那まだ中学生だし、せめて卒業」

「それでは遅いのだッ!今すぐでないと!」



(え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙)


…どうしよう。


予想だにしていなかった積極的な態度と、甘い誘惑。
佐助は、衝動と理性の狭間でグラグラと揺れ動く。


「今すぐ『男』になりたいのだ!頼む、佐助ぇっ」
「──え、ちょ…」


(『男に』って…)


考えていた立場とは逆だったのか?と、佐助は青ざめ、


「ままま待った!そりゃちょっと──いや、旦那のことは好きだけど!なんつか、真っ先に浮かんだのは、そっちじゃなくて!俺様の方が愛したいっつーか、可愛がりたいっつーか、旦那の気持ちは光栄だけども、ここは一つ…!」

「月曜までに習得しておきたいのだ、頼む!」
「んなっ、あと二日しかねーじゃん!お願い旦那、ここは俺様に譲って………」



──ん?


(何で、月曜…?)


ようやく頭が回って来たのか、


「…旦那、何でそんな焦ってんの?何か、あった…?」

いつもの落ち着いた顔で窺うと、幸村も興奮が引いていったようで、


「今日、学校で…」









『真田ぁ〜……見て!』
『はい?──ッッッ!!』


突然視界一杯に広げられた、雑誌の一ページ。


…男女が絡み合う写真。

(ほとんど、肌色一色の)



『──はぁっ、はははれんちでござるぁぁぁ!!』

『出たっ』と、耳を塞ぎながら、爆笑するクラスメイトたち。
素行の悪いグループで、担任教師も手を焼いている。

『何回やっても、絶対だな』
『幸村くんは、今何歳なんでちゅか〜?』
『女みてー。つーか、女よりなっさけね〜』

『なッ!』

いつもよりも侮辱した物言いに、幸村はすぐ怒りを露にするが、


『その歳でそんなんじゃ、男とは言えねーぜぇ?』
『良いんだよねー?幸ちゃんは、まだまだピュア〜な「女の子」なんだから』
『「初めては、好きな人じゃなきゃ嫌なのぉ〜」』

『このっ…──わぁッ』

再び雑誌を向けられ、顔をそらし、腕の矛先を見失う幸村。


『あー、ウケる。お前強くても、こんな弱点ありゃ一発だな。その内「真田幸村、破廉恥により敗北」っつって、校内新聞のトップ飾んじゃね』
『真田らしくて良んじゃん?』
『したら、女の子として生きてきゃ良いよ。似合うぜ、きっと』


彼らが去った後も、頭の中で嘲笑がこだまする。

幸村は、真っ赤な顔で細かく拳を震わせていた…。

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