長期防衛・短期決戦5









「某……何とすれば良いのか……」





項垂れる幸村に、「ウィーン、ウィーン」という音を鳴らしながら、身体を傾ける忠勝。



「……、……!」



「本多殿……」


幸村は、じーん、とした顔を向け…



「…何を申されておるのか、サッパリ解りませぬぅぅぅー!!」



「………!!!」



ガーン、という音が聞こえてきそうなほど、忠勝の周りの空気は急下降した…。



――ガサガサ



「!!」


葉擦れの音に幸村が振り返ると――



「…はは、良かった……。主交代されたかと思った。忠勝の言葉まで分かられちゃ…」

「しかし、こいつの呼びかけに駆け付けたこと事態が、危機な気がするがな」

「違うさ。忠勝は、よく分かってくれているんだ。幸村が、ワシにとってどれだけ大切な存在か。だから…」


「あ!!」


しかし、家康の言葉の途中で短く叫ぶ幸村。


「幸村……(せっかく、カッコ付けてたとこだったのに…)」


「い、家康殿!本多殿をっ、…石田殿に…!某、約束を……」


みるみる青ざめる幸村。


(ああ――)


家康は笑って、

「良いんだ、幸村。三成はもう、前から知っていたから。心配するな」


「そっ…、そうだったの……ですか…」


幸村はホッと息をつくが…

次に目に入ったのは、ボロボロの二人の出で立ち。


「追って来て下さったのですか……あんなところから……」


空には、すっかり明るい月と星たちとが昇っていた。


「あ、ああ…。もう、あれ以上にし合ってはないぞ。なあ、三成」

「ああ。…貴様のことではなく、これからは普通にやり合うことに決めた」


「……!!」


家康は苦笑し、

「すまない…勝手なことを言って。そうでなく、お前に決めてもらわなきゃならんことなのにな。…この件については拳なしで、正々堂々と」


「では…」

幸村は小声で、「…よろしいので?」


「……?」

家康と三成は、顔を見合わせる。


幸村は二人に向き合い、


「今までのように――お二人に親しくしても……!?」



「「……!」」


目を輝かせる幸村に、少し瞬きの頻度を上げる二人。



「某は、お二人のことが大好きであるので…どちらかと離れなければならぬなど、絶対にお断りでござる。ならばいっそ、二人ともから離れて――と思ったのですが、……同じくらい……悲しくなり申して…」



「幸村…」

「真田…」



「本多殿にも、迷惑をかけ申した…。恐らく、ずっと励まして下さり…」


「……!!」


忠勝の空気が、にわかに温かくなった気がした。





「……どうやら、スタート地点はまだ同じみたいだな?三成」

「ふん、既成事実は変わらんがな…。――私は、お前のように甘くない…今度こそ覚悟しておくが良い、家康」

「ははは、さすがは三成。…ワシも、もう格好を付けるのは止めだ。――お前が相手とあらば」

「やっと本性を出したか、タヌキが……」





「お二人とも、さぁっ!帰りましょう――


……皆で!」



幸村が二人の手を取り、忠勝の背に引っ張り上げた。

家康は、あのとき最後だと思ったその熱に、今日は二度も触れられたことを改めて自覚し、微かに頬を染める。

――それに、三成がまたもや心底嫌そうな表情を浮かべたが、やはり幸村の目には少しも入らず…



この戦いの終着がいつになるのか、勝者が誰になるのか。

それは、三人にも、雲の上の存在にもはかり知れぬ、正に延長戦に突入したばかりの、スポーツ試合にも例えられるような――


…そんな考えが、三人を乗せた忠勝の唇を、ほんの少しだけ……弧の形に描かせた。







‐2011.8.4 up‐

お礼&あとがき

ひろり様、相互ありがとうございます!

贈りつけるのが、本当に心苦しいものですが…っ(@_@;)

三角関係だから、ドロドロにして最後はどっちかとくっ付けさせて…とか思ってたのに、何でかこんなことにー(*_*)
忠勝が発進した時点で、シリアスあり得なくなりました…あれえ?(^q^)

好き勝手に妄想散らかしてすみません!しかも長くて…;
私は三成贔屓なんですが、あんま出番ないしでこれも予測不能事態。私の好む三成は、恋愛慣れてない系なのに、あっれー…?って。
口調とかも不安定でごめんなさい;

家康のお父さんの会社は、ロボとかロケット作ってます。忠勝は家康が小さいときから、一つも老けてません♪
本当、多々すみませぬぅ〜;

これからもよろしくお願い致します(=^▽^=)

本当にありがとうございました♪

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