告白合戦いたしましょう1


おがこ様、ありがとうございました♪

素敵リク「政幸、内容はお任せ」→高校生設定に。

タイトルは【biondino】様より拝借、感謝^^

成就話ですが、ストーリーほぼなしの、二人の会話・やり取り三昧。しかも※長文
見え見えのネタ・オチ(+_+) 微ギャグほのぼのシリアス甘のつもりmix。

政宗、当サイトにしては鈍くてまとも。展開は早いのに、思考や会話が多くて、長距離走になってしまいました(/_;)
だいたい政宗視点で、後半2pは幸村寄り。

お時間のある際にどうぞです。絶対眠くなるかと…ウァァ。二人を両思いにできて私だけ満足、ただただ感謝で一杯です。


〈全7ページ(実質6p強)〉














(…覚えちゃいねーよな、きっと)


高校の入学式が近付くにつれ、政宗はそれを頻繁に夢に見るようになっていた。


小四の夏休みに親戚の家へ預けられた際、その土地の同い年の少年と親しくなった。
…というのは、語弊があるかも知れない。
何故なら、初めは些細なことで言い争いになり、その後数えきれないほどの勝負に到ったので。
足の速さや、遊具や鉄棒を使用しての競い合い、ピッチャー・バッターとしての腕前…

出会ったのはそこの小学校のグラウンドで、相手は少年野球チームに入っていた。暇潰しに練習の様子を眺めていたのだが、終わった後声をかけられたのが始まりだった。

あの、誰にも感じたことのない『近さ』や『高揚』
一緒にいるだけで心踊り、別れが惜しく翌日が待ち遠しい。こんな気持ちがあるのかと戸惑いながら、もっともっと味わっていたい、と。

その後、小六までの夏休みは親戚の家への滞在を志願し、同じことを続けた。


『俺、中学は〇〇学園に入るんだ。お前も、高校から来ねーか?』
『はいっ!そうしとうござる!』

ハツラツとした声を思い出せば、政宗の口許が勝手に緩む。

未だに、あの喋り方なんだろうか?自分も人のことは言えない口調だが、これなら向こうもすぐ己だと分かるだろうし…

中学三年間は忙しく、一度もかの地へ赴けてはいない。きっと、忘れて違う高校に決めているだろう。
…だが、もしかしたら覚えていて──



(何にせよ、当日分かるこったな)


名前は、しっかりと覚えているのだから。

入学式当日、政宗は三年前の入試時以上に落ち着かなかった。












“真田幸村”


(…really!?)


入学式前に一度教室に入るのだが、掲示板を見た政宗の胸は大きく跳ねた。
同じクラス名簿に、確かに記されたその名。

単なる同姓同名かも知れない。
政宗は鼓動を静めながら、自分の席に着く。座席表を見ると、名字の順序から『真田』は『伊達』の隣に位置していた。

同じ面子に慣れている周りは高校からの新顔にチラチラ視線を向け、政宗もそれに上手く紛れて彼を探す。


「あの…」
「Ah?」

机上に影が落ち、政宗は横に向けていた顔を前に戻した。
と、そこには、

「ああ、やはり…!お久しゅうござる、政宗殿!」
「…!?」

教室中に響き渡る声に、皆が一斉に二人へ目を向ける。
中学からの顔なじみが『何だ何だ?』と寄ってきそうになったのを見て、政宗は「come」と彼を廊下に引っ張った。


「幸村か…!?」
「はい、いかにも!政宗殿と同じクラスだとは、何と奇遇な巡り合わせか!」

幸村は感激しているようだが、政宗はまだ驚愕の眼で、


「おっ…前……髪型変わり過ぎだろ…!」

いつも少年野球の練習後で帽子のイメージが強く、取った頭は見事な丸坊主だった。
今思えば、あのままのわけがないのだが(この学園の部活動は、髪型自由であるし)、想像してもいなかった姿に、政宗の驚きはすぐには治まらない。


(…けど、確かにあいつの顔だ)

間違いなく、本人…



「そういえば、昔はボウズでしたものなぁ」
「Ahー…んだよ、染めやがって。随分色気付いたじゃねーか?」
「あ、いえ…これは地毛でして」
「Ha、マジでっ?」

綺麗な染まり具合だと感じたのはそのせいだったかと、政宗は透き通るような茶髪に指を通す。艶があり柔らかく、首後ろでまとめた長い髪が背に流れていた。

変わった伸ばし方だと思ったが、上のふわふわしたのも指通りの良い長髪も、どちらも彼によく似合っている。
…しかし、髪型一つでこうも違って見えるのだとは。


「お互い伸びましたな!」
「あ?…お、Ohー、そうだな…」

身長を示すよう頭上に手を置き顔を近付ける幸村に、政宗の胸がドキリと鳴る。手を乗せた幸村の前髪が下に押され、大きい瞳がさらにくっきりしたように見えた。
政宗の方が数センチ高いらしく、その目で見上げるよう彼の視線を捉える。


(…いや、ちょっと待て)


『ドキリ』って何だ、おかしいだろその擬音語。
そこは違ぇ、いきなりこいつが迫るから面食らっただけだろーが?…ったく、こいつ昔からよくやってたが、ただでさえ濃いー顔してんのに、至近距離じゃ目ェチカチカするっつーの。胸焼け起こすぜ。


「…そーだ、こりゃ胸焼けだ。OK?」
「えっ、どちらかお悪いのでっ?」
「(おわッ)な、何でもねぇ!No problem!」

身体に触れられそうになり、政宗は焦り避けた。
って、何キョドってんだ俺は!とすぐに後悔と舌打ちが出たのだが。

こんな動揺は、初恋のとき以来経験がない。…Wait、それとこれを一緒にすんのは間違った行為だろ。crazyだ、何考えてやがる俺。

久し振りの再会で、柄にもなく緊張してんだな。Ha、情けねぇ…


「しかし、本当に嬉しゅうござる!お会いしとうござった、政宗殿…!」

「…Ahー……」

心からのものだと分かる声と顔に動揺は凪ぎ、代わりに鼓動はトクトクと穏やかに打つものへと変わる。
『me too』とだけは本音がポツリとこぼれ、幸村の感激を助長させてしまった。


──自分も、夢に見るほどに奥底では期待していたはずだが。

予想とは何か違うような…と引っ掛かりを携えたまま、『会えなかったよりは』と政宗は考えを好転させることにしておいた。


しかし、嫌な予感というのは、よく当たるもので……


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