そうなる運命1


ミワコ様、ありがとうございました♪

ちび佐助×幸村で、佐助のアタックにタジタジな旦那。

佐(幼児〜小四)、幸(小四〜高一)です。その差、六歳。 捏造脇役も少し。

ちびって上限どこだろう?初設定なので、背景どんなん?…とか考え過ぎて、結果こんなことに; 本当にすみません…m(__)m

恋愛面が、ぬるいです。
なのに、子供らしからぬ佐助;

幼児期は、思い出話程度です。
佐助のアタック、そんなイケイケでもないんですが、最後にはベラベラ喋ってます。


(全4ページ)
















「──だんながいい。…だんなとする」

「…ぇ?」


澄んだ目で見上げられ、何を言われたのか、すぐには理解できなかった。








小学四年生になったばかりの春、幸村に初めての従兄弟ができた。
父親を早くに亡くし、兄弟は他にいなかったので、喜びも一際である。

──彼が今年四つになる歳で、血の繋がりはないと分かっていても。


(お館様も母上も、『家族だ』と)


母親の兄である信玄のことを、幸村は父親のように慕っていた。
彼は彼で、幸村が生まれる以前に妻子を亡くし、妹母子を何より大事にしている。

その叔父の元へやって来たのが、この綺麗な髪色をした『佐助』だ。

ここに来る前の施設では、品行方正だが冷めた顔が子供らしくなく、里親に恵まれなかったそうで。
それが何故ここにという理由は、信玄の一風変わった気質を知る者たちにとっては、尋ねるまでもなかった。

後継ぎなど不要であるので、彼にもそのつもりはないのだが。
しかし、数ヶ月後に遠方へ引っ越す予定の母子。
母親は、兄が一人きりにならずに済むことに安堵さえしていた。


初めは警戒を見せた佐助だったが、すぐに三人に懐いた。…彼も、同じく変わり者だったと窺える。

何しろ、時代劇好きの信玄に合わせ、お館様呼びだけでなく、幸村を『旦那』、母親を『奥方様』とまで愛称付けるのだから。

通い始めた保育園では、女の子から人気があるらしく、幸村の母親がからかうように、


「佐助くんは、どの子が好き?どの子と結婚したいのかな〜?」

と尋ねた。

対し、彼は少しも恥じらう様子を見せず、



「だんな!」


──それはもう、キッパリと。


読書に没頭していた幸村は、「呼んだ?」という風に二人を見た。

母親は、「アラ」と楽しそうに笑っている。


「おれさま、けっこんするなら、だんながいい。…だんなとする」

「…ぇ?」


結、婚…!?
何を破廉恥な、と思った瞬間、佐助に抱き付かれる。

出会ってすぐ、頭から可愛がっている彼。
幸村は、こういう甘えられ方に滅法弱くなっていた。


「佐助、俺は男だぞっ?結婚というのは」
「ウチの幸村くん、その辺の女の子の何倍も可愛いもんねぇ。仕方ないかぁ〜」
「は、母上っ…」

またもや始まった親バカに、幸村は小さな反論の目を向けるが、


「あ、ごめん!何百倍の間違い。──うん、佐助くんなら許す。イイ男になって、幸せにしてやって?」
「ほんと!?やったぁ!」
「………」

盛り上がる二人に、ぶうたれる幸村。

母親は笑って、台所へ姿を消した。


「だんな、おれさまイイおとこになるね!だから、けっこんしよ?」
「佐助、よく聞け、結婚というのはだな」

「だんなは、おれさまのこときらい…?」
「(うっ──)」

潤んだ目で見上げる攻撃は、対幸村専用最終兵器である。


「そんなわけがなかろうっ」

今度は幸村の方から、ぎゅううぅっと抱き締める。


「うれしい。じゃあ」
「いや、それとこれとは、」

佐助の肩に手を乗せ、パッと離れると…


「──ちかいの」

「うわぁぁぁぁ!!」

唇の端を同じものが掠め、幸村は猛スピードで後ろへ下がった。

だが、いつもは大人びた表情の彼が、本当に嬉しそうにニコニコして…


──その後、引っ越した先でもこの顔は何度も浮かぶ。

不本意ながらも、幸村にとって忘れられない思い出となるのだった。













あれから六年が経ったが、中学受験や部活動で忙しく、一度も向こうへ帰られていない。

母親と信玄の行き来は数回あったが、幸村と佐助は電話のやり取りくらいである。

高校生になり、今は部活もしていない。
いよいよ夏休みに行けることになり、向かう電車の中、幸村は当然待ち遠しくしているのだが。


(…どうなのだろう)


洗面台の、鏡を見つめる。
手に持った写真と、比べるように。

六年前に佐助と撮った写真。

あれから、自分は随分変わった。
身長が伸びただけでなく、骨格や顔付きも。

『可愛い』など、少しも相応しいとは思えなかった。


(これならば、佐助もあのようなことは言わぬであろうな…)


というより、彼も既に四年生。昔の自分と同じ年だ、もう分かっているであろうし、
──忘れているだろう。

何だかんだ言いながら、実は喜んでいたのだなと、苦笑が湧く。

あの頃のようにはいかずとも、また親しくしてくれれば良いのだが。


(勉強を教えたり、スポーツなら何でも…)


車窓から望める景色は、徐々に懐かしいものへと変わっていった。

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