彼らなりの求愛1
ミミ様、ありがとうございました♪
素敵リク「幸村を甘やかす政宗&慶次に呆れる佐助…(佐幸)」
佐(→)幸←政+慶 高校生設定。
甘やかしになってるか怪しい上、佐幸が恋人未満的な; 佐→幸が最後まで濃い感じです。三人が出張って、幸村の出番がちょっと少なめ(TT)
三人とも幸村を好き過ぎて、行動・思考ともに珍妙。ギャグほのぼの系。
乱文で長文、すみません。
(全4ページ)
俺様こと猿飛佐助の一日は、ある人に始まり、その人にて終わる。
物心ついたときから隣にいた『旦那』──真田幸村。
朝起きて、真っ先に可愛い寝顔を確認、一日の活力をフルにする。
三人分の朝食と弁当を、常に飽きない内容と極上の味付けで用意。
『お館様が、またもお前の弁当に感激しておった。さすがだな、佐助っ!』
自分たちの後見人である武田信玄──大将からのお褒めの言葉は、後で倍の得になり返って来る。よって、彼の分にも決して抜かりはない。
通う高校も、クラスも一緒。
小さい頃からの癖で、旦那の行動や思考は、全て把握しておかないと気がすまない。
…断じて、ストーカー等の類いではない。愛ゆえである。
何かあったときに後悔しても、遅いからだ。
そして帰宅までの時間、自宅でのそれからも、ずっと一緒。
寝る前に、再びあの寝顔を見て疲れを癒す。もっとも彼といれば、そんなもの無いも同然なのだが。
しかし、あまりにもベッタリしていては、周りに不審がられる。小・中学校までは、皆昔からの付き合いだったので慣れていたようだが…これからは、そうはいかない。
高校に入学して以来、(旦那との未来のため)俺様は、得意の外面を被ることを常時心がけていた。
──それが、こんな面倒な事態を招く結果になるなんて…
「なぁ、お前らいっつも一緒にいるよな。…怪しいんじゃねぇの?」
とうとう来た──と思った。
完璧に普通の幼なじみを装っていたつもりだが、やはり無理があったのか…と、内心焦りながらも、
「はァ〜?人聞きの悪いこと言わないでくれるぅ?」
と、サラリと返した。
探るような様子で聞いてきたのは、同じクラスで(旦那が)親しくなった、伊達政宗。
からかう風ではない顔が、結構本気で疑っているのだと思え、少々だが緊張する。
「ほらぁ…だから言ったじゃん。ごめんな?変なこと聞いて」
そう苦笑するのは、同じくクラスメイトの、前田慶次。
「Huーm。じゃあよ、お前ら本当に何もねーんだな?」
「しつこいなぁ…そう言ってるだろ」
若干キレ気味になると、
「Yes!」
政宗は、笑顔で拳を握り、
「んじゃ、俺アピって良いよな!?」
「…………はい?」
あぴ?
ポッカーンとすると、
「──ずりぃ!俺だって、我慢してたのに…じゃあ、俺もする!」
「ハァァ?」
政宗の言葉に負けじと宣言する慶次に、またもや目をむく。
(まさか、こいつら…)
「ってことでよろしくな、mom?」
「や、俺の応援してくれよ!息子さんは、絶対大事にすっから」
「………」
…誰がオカンだ。
旦那は俺様の未来の嫁!だぁぁれが、お前らなんかにやるかぁ!
──と、叫びそうになったところで旦那が現れ、結局、奴らの希望を認めた形になってしまった…
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
「弁当勝負?」
「Yes!」
既に勝ちを得たような顔の政宗に、眉を寄せる。
「何でまた。…てか、アンタ良いの?んな、不利な勝負」
「だって…」
慶次は、どんよりしたまま、
「まずは、お前に勝たないと…。幸に好きなもの聞いたら、お前だって」
(──!!?)
「こいつの『弁当』が、だったろ」
(…ですよねぇ)
俺様は、すぐに平常心に戻り、
「第一、旦那はお館様が一番…」
「お館様は尊敬してて、お前のことは、大好きなんだってさ」
「Shit!聞いてねーぞ、んなの」
「お前いたけど、弁当のメニュー、ブツブツ言ってたじゃん。あ〜…まつ姉ちゃんに、指導してもらわなきゃ…」
“大好き…”“大好き…”“大好き…”…………………………………………………………………………ループ∞
(──旦那ぁぁぁ…っ)
奴らを止めるつもりだったのに、有頂天になってしまったせいで、またしても頓挫。
その日の夕食は、いつもより気合いが入ってしまった。
そして、翌日…
────………
「美味い!美味いでござるよ、政宗殿〜!」
ニコニコ、きらきらとした笑顔を、惜しみなく向ける旦那。
「そ、そうか?まだまだあるからよ、どんどん食え」
「はい!ありがとうございまするっ」
「………」
「………」
デレデレしっ放しの政宗に、冷めた視線を送る自分と慶次。
(そりゃ、美味いでしょーがよ)
彼の弁当を見てみれば、盛り付ける場所を間違えたかのような、最高級のフルコース。
無論、奴が自分の手で作ったには違いないだろうが、
(…俺様だって、同じ食材なら…)
「──いやいや!つか、どこが弁当!?」
危うく惑わされそうになったが、何とかそこだけは、ツッコんでおく。
「Haha…俺も、そうは思ったんだけどよ」
政宗はデレデレ状態のまま、しかもはにかみ(!)、
「張り切っちまって、ついな。せっかくの機会だしよ…」
(気持ち悪ッ!!)
ひどい悪寒に襲われ、それ以上何も言うことができなかった。
そうこうしている内、旦那はペロリと平らげ、
「ごちそうさまでござった。本当に、美味かった…!」
「…おう」
(──こいつ、勝負のこと忘れてんじゃねーの)
呆れていると、
「じゃあ、俺の…」
と慶次が、おずおずと弁当箱を差し出す。
「恥ずかしいから、幸だけ見てよ」
「………」
「………」
その気持ちは、分からないでもない。
俺様も政宗も、同情的な目をお互いに合わせた。
「っ!!慶次殿ぉ…っ」
開けた途端、それまで以上の笑顔になり、しかも頬まで染める旦那。
「はぅぅ…!良いのですかっ?全部食べてもっ!?」
「も…もちろん」
旦那は、もはや息切れしそうなほど。
全力で尻尾を振る、この世で一番可愛い仔犬のようだ。
ついでに言うと、見る角度によっては、俺様の妄想の中でおねだりする姿のようにも。
そんなのより、もっと美味しいモノ食べさせてあげるのに×××××……
「何だぁ…?俺の最強弁当より、スゲェってのか?」
──不満そうにもらす政宗の声で覚め、白昼夢の暴走に猛省する。
「…見ちゃおーよ」
気を取り直し、慶次をいたぶることにした。
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