二枚目半活劇1


緑のトマト様、ありがとうございました♪

素敵リク、「佐助がカッコ良く活躍するけど…」

佐助(高校生)→幸村(社会人)
政宗が少し、捏造脇役数名が結構登場。

活躍するのが、少ない気がします…。
しかも、格好良いのか謎。力及ばず、申し訳ないです><

ギャグ甘…のつもり;


(全4ページ)














「旦那、終わったぁ?そろそろ帰ろうぜ〜」

「……」

「もう、皆帰ってんじゃん。部活終わったのに、まだ何か用事?」

「………」

「ほら、これでしょ?鍵。窓のも全部閉めたから。早く出よ〜。俺様、お腹ペコペコ」


(………)


無言のまま部屋の鍵を閉め、校舎を後にする二人。

校門の外まで出たところで、


「今日も一日、お疲れ様!真田セーンセッ」


ニコッと無邪気な笑顔を見せる、自分よりも背の高い教え子に、幸村は、小さく溜め息をついた。









「全く…。こんなところ、他の生徒や先生方に見られたら…」

ブツブツと言いながらも、定食を食べる手は止めない幸村。


「何度も言うけど、大丈夫だってば。この店、ホント知られてない穴場なんだからさ。見た目も、店っぽくないでしょ?」

相変わらず笑顔で、幸村のグラスに追加の水を注ぐ彼。

いつも、こちらが気付く前に、なされる行為。その度、年上の威厳が損なわれる気がし、居心地が悪くなる幸村だった。


「夜も、俺様が作ってあげるっつってんのに。旦那が断固拒否するもんだから、これで妥協してやってんだよ?ほら、野菜も食べて。だーから、バラバラに食べろってばもぉ」

「う…うるさい、食べておるわっ。──昼飯のことは、誰にも言って」

「ないってば。俺様から言い出したことなんだから。いい加減、信用してよね〜」


「…そんなつもりでは…」

幸村は、語調を弱めて目を伏せる。


大学を出てすぐに就いた、今の学校での教師の仕事。
いきなり三年生の担任を持たされ、初めは四苦八苦していたが、何とか無事に数ヶ月を過ぎることができた。

それもこれも、クラスに心強い支援者(?)を一人、得られたからこそ。


──猿飛佐助。

口ではこう言っているが、彼には、感謝をしてもし尽くせない。
軽そうな見た目に反し、成績優秀。意欲も高く、毎日幸村の元へ、勉強の質問をしに来てくれた。
幸村も、張り切って教えていたのだが、


『…先生、いっつもパンだよな…。しかも、そんな甘いのばっか』

ある日、彼の昼食に厳しい視線を向けた佐助。

独身寮に住み、仕事で手一杯の幸村。弁当を作る暇など、あるわけがない。


『俺様が、作って来てあげるよ!』


てっきり冗談だと思い、幸村も『それは助かるな』などと、調子良く答えたのだが。

翌日、彼は本当に持って来ており、しかもその美味しさときたら、感動もので…

しかし、立場を重々わきまえている幸村は、すぐに断るのだが、


『俺様…先生──旦那には、感謝してるんだ。つまんなかった学校も勉強も、旦那のお陰で、すごい楽しくなって。…力になりたいんだよ、少しでも』

…と、真剣な表情と眼差しで言われてしまえば、幸村にそれ以上突っぱねることなど、できるはずもなく。

彼の迷惑にならぬようにと、いつも早朝に寮のドアの前に、弁当を入れた袋を提げて行ってくれる。

そして、放課後はこうして、毎日通っても飽きない、彼の料理に匹敵するほどの定食屋に、幸村を連れて行く。


…迷惑がって、溜め息をつくのではない。

逆だからこそ、自分の甘えたがりに、ほとほと呆れ、項垂れてしまう。
そして、まだ高校生の彼に自由な時間を使わせてしまい、申し訳ない気持ちで一杯になるのだ。


「…また、何か俺様に気を遣った、変な思考してるでしょ」

気付くと、佐助が笑った目でこちらを窺っている。

「い、いや…」


佐助は、やれやれと言わんばかりに息をつき、

「俺様がこうしたいのって、何べんも言ってんじゃん?」
「しかし…」
「ホント鈍いんだからな…。人に対してだけじゃなく、自分のことも」
「え?」

キョトンと顔を上げる幸村に、


「だっからー…。その顔に、どんだけの奴が…。そのせいで他の学年にも興味持たれてるってのに、性格まで知った奴なんか、完全に落ちちゃってるし。悪ぶってる奴ほど、こーいうのに弱いんだよな、クソ…」

「何だ?」

一人言のように呟く佐助に、眉を寄せる幸村。


「…旦那、ウチ男子校なんだよ?」

「?それが?」
「………」

やはりな、という諦めた顔になりながら、佐助は、


「…だから、大丈夫だって。一緒に飯食ってるとこ見られようが、何してようが。俺様が女子高生だったら、ヤバかっただろーけど」

「なっ」

「まぁまぁ。分かってるってば、旦那が言いたいことは。…とにかく、俺様はそんな風に思ってないから。贔屓されてるとか、調子こいてもねーし。オゴられてもないし、弁当代だってもらってんだからさ」

「う…む…」


そう言われると、幸村は、ますます申し訳なさと、佐助の大人さに首をすぼめてしまう。

五つも年下の彼に、安心させてもらうなど、情けなさの極みである。…が、その言葉に感じる喜びの方が大きいのだから、本当に呆れてものが言えない。

最近では、彼が生徒であるという意識が薄れ、同じ年頃の友人のように見てしまいそうになるのを、慌てて留める毎日である。


「すまぬな、佐助…。いつも、ありがとう」

そう、言うことしかできない。
少しだけ目を伏せ、口元は、どう足掻いても緩む。


「…その顔も…。絶対、俺様の前だけにしといてよね…」

口を尖らせ、わずかに頬を染める佐助。


幸村は、またひどい顔を見せてしまったのだな、と心の中で反省するのだった。

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