敗北からの開幕1


千歳様、ありがとうございました♪

三→幸←政 高校生設定。他、脇役数名。

明るいシリアス?ほのぼの?のような。
色気なし(泣)

余計な設定、それぞれの幸村とのやり取りも入れたくて長文、ガチ争いが後半に;
会話が多し; 三成が、初め口少なです;

乱文長文でこの内容、本当にごめんなさい!(TT) 愛はあるんですが、方向性が…っ


(全5ページ)














「刑部!また倒れたと聞いたが、大丈夫なのかッ?」


「三成」

吉継は、ベッドに起き上がり、

「大したものではないのよ。ホレ、ついまた、朝食を食べ損ねてしまってな…」

(──ギリギリまで寝たいがゆえ)


「低血圧とはいえ、もう少し早く起きる努力をしろ」
「承知。…ところでな、三成」

吉継は、三成に何か小袋を手渡し、


「倒れた際、親切な人がここまで付き添ってくれてなぁ。聞くと、ヌシと同じ新入生らしいのよ。きちんと礼は言ったし、土産物を持って帰ってはもらったのだが…」

「…これを?」

「今一度、ヌシから渡しておいてはもらえぬか?ついつい、ヌシの話もしてしまってな…」

吉継は、楽しそうに笑う。


「…珍しいな」
「ああ──。元気が良うて、何やら可愛らしい者でなぁ…」


(か……可愛らしい…!?)


刑部が、そんな風に他人を褒める(?)とは…と、驚く三成。

小袋を見つめ、

(もしや…その者とのきっかけを、私に…?)


「ヌシも気に入ると思うぞ」
「いや、私は」

「一組で、真田…ユキ──…ああ、シマッタ。我としたことが、そこからの名を忘れて…」

「そこまで分かれば、充分だ。分かった、渡しておく」
「すまぬな…」

吉継が、意味ありげに微笑んだことには、いつものことながら気付けない三成だった…。







吉継は三成の一つ年上で、先に今の下宿先で暮らしていた。
三成も、今年から同じ高校に通うことになり、同じところへ。
昔から世話になっている、大学生の秀吉や半兵衛、官兵衛も、ここで暮らしており、二人の面倒を何かと見てくれていた。


『三成くん、今日は頑張ってね』

半兵衛が小袋を指すと、

『ああ、昨日の子か。半兵衛も官兵衛も、えらく気に入っていたな』

秀吉は笑い、

『仲良くなったら、今度は遊びに来てもらうと良い』

『秀吉様、いえ私は…。むしろ、刑部が』
『三成…それ、あんまり人前で渡さん方が』

『官兵衛くん』

にっこり笑う半兵衛に、ピタッと止まる官兵衛。


『──では、行って参ります』


三人は、にこやかに三成を見送った。







入学式が終わって、まだ間もない時期。
他のところはおろか、自分のクラスの生徒の顔もよく知らない。

しかし三成は、昔からの一匹狼を不便に思ったこともないので、他の生徒のように、浮わついたり焦ったり、というものは皆無だった。


「──真田ユキ何とかという者に、用があるのだが…」

「Ah〜?どちらさん?」

その、眼帯を着けた、やたらと派手な容姿の男が、三成を睨み付けてくる。

「二組の石田という。昨日、友人が…」

「政宗殿!」

明るい声が響き、これまた一目で周りの視線を集めそうな少年が、二人の元へ歩み寄った。


「?こちらの方は…」
「…何か、お前に用があんだとよ」

「……!?」

三成が、素早く彼の胸ポケットを見てみると──


“真田”


(男だったのか…。刑部め、紛らわしいことを…)

少々忌々しい気分で、彼を見るが…


(…まぁ…子供みたいな──という意味でなら…)


「…二組の石田だ。昨日は、友人が世話になった。これを渡すよう頼まれた。…私からも、礼を言う」

「あっ、あなたが!大谷殿のお加減は、もうよろしいのですか…!?」

彼は、本当に心配そうな顔で、三成に詰め寄る。

「──…もう、平気だ。案ずるようなことは、何も…」

「良かった…」

ホッとした後、「──あ、申し遅れました!某、真田幸村と申しまする」

「…で、そりゃお詫びのpresentってか?」

政宗が、どこか面白くなさそうな顔で小袋を指す。

「ああ」

三成が渡し、幸村は礼を言うが…

「何か、やけにprettyなwrappingだな」
「いや、私が用意したわけでは」

「開けてみようぜ、幸村!」
「はあ」

三成の声を無視し、政宗がほとんど勝手に開ける。

「これは…」
「Ah〜?んだ、こりゃあ」

中から出てきたのは、

赤いタオルハンカチに、お菓子のチャームの付いたストラップ、落ち着いた紫色の、シンプルなヘアゴム…

「わぁ〜、可愛い!」
「えっ、これ石田くんが選んだのー?」

近くで見ていた女子生徒たちが、きゃらきゃらと騒ぎ始めた。

「何だ?オメーら、こいつ知ってんのか?」

相変わらず、政宗は渋い顔。

「当たり前じゃん!女子の中では、相当有名人だよ?」
「Hu〜m…」

「可愛いのばっかり〜。これ、真田くんに似合いそう」
「そ、そうですかな…」

「Ha!んな暗ぇ色、こいつに合うわけねーだろ」
「髪が明るいから、イイ感じ」
「Hey、聞けよ話」

「え、でも何で、石田くんが真田くんにプレゼント?しかも、こんな可愛い…」


「──では、渡したからな」

三成は、さっさと立ち去ってしまう。


『人前で渡さん方が…』


官兵衛の言葉の意味が、ようやく分かった。

三成は、吉継のセンスに腹を立てていたが…


──それよりも、幸村のあの心配そうに歪める顔や、その後で見せた安堵の表情。

に加え、自分を刺すような視線でずっと見ていたあの男──

…それらの方が、数段頭の中を占めていることに、少々の戸惑いを感じていた。

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