不器用な二人1


ぱんだっこ様、ありがとうございました♪

佐幸で甘々。大学生(佐)×高校生(幸)
他、脇役数名。

そんな設定関係なしに、幸村が男らしいです(--;) 自分的には甘々のつもりなんですが、クサくて寒い気が(TT) 本当にすみません。

乱文長文。会話多くてごめんなさい。


(全3ページ)













高校生活も、あと約半年。


部活の最後は、大きな大会に出場し、悔いのない結果を残すことができた。
後は、大学受験への勉強に邁進するのみ。

夏休み終わり頃、部活引退の祝賀会を、友人たちが開いてくれた。

と言うより、三つ年上の同居人が、幼なじみの政宗殿に声をかけ、自分たちの住むこの武田家で、催してくれたのだが。──政宗殿が他の友人たちを誘い、賑やかにしてくれたらしい。

三年生になって同じクラスになり、親しくなった慶次殿、三成殿、家康殿に、中学からの友人、元就殿──







『…旦那、友達多いんだねぇ。しかも、イケメンばっか。女の子が一人もいないのが、ちょっと残念なんだけど』

『?いや、クラスに親しい女子の方も、おるのだぞ?政宗殿は、恐らくお前の負担を考えて、人数を増やすまいと…』


同居人──佐助は、自分が幼い頃から、家事全般を賄ってくれている。


『ああ…。まぁ、何つーかさ…、旦那もそろそろ、お年頃かなぁ?って』
『年頃?』

うん、と佐助はからかうように、

『彼女とかさ…』
『──なっ…!?は、破廉恥な!』

『…もう、大人だよ?』

『うっ、うううるさい…!お、俺は、俺にはまだ…必要ない!』

『──そう?』
『ああ…!』


変なことを申すな、と睨めば、『ゴメン、ゴメン』と、眉を下げて笑った。



───………



…それから、佐助の様子がどこかおかしくなった。

何だか、ボーッとしていることが多いし、まだ夏休みなのに、帰りが遅く、朝しか顔を見られなかったりと…


(大学のゼミ…とやらが、忙しいのであろうな…)


そんなある日、信玄から急に出張が入ったとの連絡が。
夕飯は自力で作るか、と意気勇んで買い物から帰ってみると──珍しくあった、佐助の自転車。

今日は、早いのだなと、入ってみるが…誰もいない。


(どこだ…?)


静かに二階に上がって、佐助の部屋をノックするが、シンとしている。
…開けてみると、不在。


(あ…)


自分の部屋のドアが開いており、覗いてみると、


──いた。


(何を…?)



佐助は、本棚に立ててある、写真を見ているようだ。
インテリア等に無頓着な幸村の代わりに、彼が勝手に、よくそういう物を置いて行く。

部活引退の祝いに、慶次からもらったフレームに、ちょうど良いので、この間皆で撮った写真を入れた。

その隣には、幸村と佐助と信玄の、家族写真。


(思い出に、浸っておるのか…?)


珍しいな…と、少し冷やかすような気持ちが湧いてくる。

そして、これも本当に初めて見たものだが、──隙だらけの背中。


…幸村の胸に、小さな悪戯心が生まれた。




「……ッ!?」



――その腰に、思い切り抱き付いてやった。





「…だん、な…?」


裏返った声がおかしくて、幸村はケラケラと笑う。


「…っはは…!驚いたかっ?お前のそんな声、初めて聞いたな!」

「──…」


「どうしたのだ?珍しい……あ、俺に何か用だったの、か…?」


幸村は、ゆっくり振り向かれたその顔に、手を緩めた。


「あ、…さす…」


(お、怒って…)


いつも優しくて柔らかい彼の顔が、見たこともないくらい、険しい表情になっている。


「す、すまぬ、悪気は…」

「……許せない」


またも初めて聞く低音に、ビクリと肩を揺らす幸村。


「佐助…」

「…その顔。…何とも思ってないくせに…」


「え…?」


佐助は、溜め息をつくと、


「絶対、許さない。…どれだけひどい真似か、分かってないだろ。…俺が…」





『ピロロロロッ』



──備え付けの、電話の音。



「………」


佐助が下で取り、話す。…普段通りの声。相手は恐らく、信玄。



「旦那〜」

「!!」

いつもの調子の呼びかけに、恐る恐る降りて行くと、


「大将、今日いないんだね。どうせだから、親ちゃん家で泊まっちゃわない?ご飯は、三人でどっか、外で食べてさ」

「あ…あ…」

親ちゃん──元親は、佐助の大学の友人。
武田家にもよく遊びに来たり、二人で向こうのアパートに泊まりに行くことは、頻繁にあるほど親しい。


「あの……佐助……」

「──もう怒ってないよ。…俺様も、大人げなかった。ごめん」


ハッキリと言われ、さらにいつもの笑顔を見せてくれたので、ホッとした幸村だったが…

…あの、初めて見た顔は、頭から消えることがなく、しばらく、自分の行為への後悔に苛まれるのだった。



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