緩やかなる決壊1
明華様、ありがとうございました♪
佐幸で甘甘。政宗と慶次が脇役。
高校生。(武田家で同居してる設定)
自分なりには甘々のつもりなんですが、若干気持ち悪いかも…(泣)
オェッてなったら、本当にごめんなさいぃ!
私服は、カッコいいイメージをしながらで、お願いします(^^;
(全3ページ)
「佐助!」
「あ、旦那」
幸村は、バタバタと駆け寄り、
「すまぬ、今日は、夜練が長くなるらしいのだ。先に…」
「あ、りょ〜かい。ご飯作っとくね」
「ああ、楽しみにしておるなっ。──では、政宗殿に慶次殿も、また明日!」
「Ah〜、see you」
「部活、頑張ってね〜」
かたじけない!と、幸村は元気に去って行く。
三人は、校舎を出て、
「──もう、一年は経つよなー…」
「未だに、ラッブラブ〜。羨ましいねぇ」
「そーでしょ、そーでしょ」
二人の言葉に、佐助はヘラヘラニヤニヤ笑う。
「あーあ…。こんな顔、幸知らないだろーなぁ」
「てか、そろそろ教えろ、勿体ぶらずによ〜」
「もー、またその話?それ以外ないわけ?」
「お前が吐くまで、ずっとやんぞ。…やっぱアレだろ、告った当日だろ?最初は」
「いやー…さすがにそりゃないんじゃねぇ?俺なら、その後の冬休みに…」
「バーカ!こいつが、んなチンタラするよーな気の長ぇ奴に見えっかぁ?俺なら、速攻」
「だからモテねんだよ、お前…。顔は良いのに、ホント可哀想」
「うるせぇ!──で、どうなんだ?…てか、あいつどんな顔すんだ?」
「結局、知りたいのそこかよ…」
慶次の呆れ顔に、佐助も同じく、
「言うわけねーじゃん。下心、丸見えなんですけど」
「分ーかった!…じゃ、キスするときの顔で良いから教えろ」
「何その、譲ってやった的な態度。てか、質問自体が、殴られてもしゃーないものっての、分かってる?」
「普段があんな感じな分、何でもエロく思えそーで、得だよなー。なぁ、おい…」
「ハイ終了〜。政宗、マジ可哀想。俺がチ○ルチョコ買ってやっから、それで我慢しな?」
慶次が、政宗の後ろ襟を掴み、引きずるように佐助から離す。
「さっけ、また明日ね〜。幸に美味しいご飯作ったげて!」
「うん、ありがとー。じゃ〜ね〜」
わめく政宗を掴んだまま、慶次は佐助に手を振る。
「──……」
(……絶対、教えるもんか)
二人が見えなくなり、家までの道で強く思う佐助。
小さい頃から、ずっと好きだった。
同じ屋根の下で長く暮らし、それと同じ分、育てて来た…積年の想い。
打ち明け、相手も頷いてくれたときは、どれだけ喜びに震えたことか──
(教えるわけがないだろ。…ていうか……)
──教えて欲しいよ
…そう。
誰にも言っていないが、本当は。
付き合って、一年以上。…なのに、
情けないことに、俺様たちは…
未だに、『清い』お付き合い…
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
一緒に住んでて、何をしてるんだと思われるのは、よく分かる。
分かるけど、それは自分が一番身に染みていることなので、どうか容赦して欲しい。
幼なじみ──というのは、誰より近くて最高の関係…だと思われがちだが。
その実、近過ぎて、手を出すのが逆に難しいということを、この一年で散々思い知らされた。
仲は良い。
しかし、一見すると、付き合う以前からのものと、あまり変わっていないようにもとれる。
幸村が、部活などで多忙であるから…というのは、理由にもならないだろう、恐らく。
…せめて、卒業するまでには、
キス──くらいは、しておきたいところ
───………
「今度の創立記念日な、練習は休みとのことなのだ!──これ」
と、幸村は遊園地のチケットを見せ、
「い、一緒に行かないか…」
「旦那…」
佐助は正直、今自分がこうして立っていられるのが、不思議なほど…
目の前の愛し過ぎる姿に、思考も視線も全てが奪われていた。
無論、そんな格好悪い様子は絶対見せない。
自分は、この何よりも可愛い──いや、普段は格好良いのだが、自分に対してだけはそうある──存在の前では、常にスマート、かつハンサムでありたいのだ。
そして、もちろん承諾すると、
「一つ、頼みがあるのだが…」
「頼み?何?」
幸村は、言いにくそうに、
「ま、待ち合わせを……してみたい、のだ…」
「……」
──“待ち合わせ”
同じ家に住んでいる自分たちである、一緒に出かけるときには、まずするわけがない行為。
(えっ、それ何か…てか、超デートっぽいじゃん…!)
幸村を見てみれば、赤く俯く顔。…佐助の体温まで上がる。
「分──かったよ。旦那がくれたチケットだもん。その日は、旦那のしたいように…乗りたいものは、全部乗ろう?」
優しい笑みに、幸村は顔を明るくし、
「本当かっ?ありがとう、佐助!今から楽しみだ!」
「うん、俺様も…」
つい、締まりのない顔を出してしまいそうになるのを、必死で堪える。
この時期は、夜遅くまで開園しているのだと分かると、
(もしかしたら…チャンス、かも…?)
佐助は、未知なるシーンや感触を密かに想像しながら、当日着ていく服のコーディネートまでもを、うっすら思い浮かべていた。
[ 23/101 ][*前へ] [次へ#]