追跡完了4
「――さ、行くよ」
佐助は冷静なまま、幸村を外へ連れ出し、停めてあった車に乗せた。
すぐに発進する。
「あ、の…、ありがとうございました。あなたは伊達殿の…」
「あ〜、あれ嘘」
「――え?」
思考が固まる幸村。
「まあ…面識はあるよ?一応。息子の方だけど。…でも、伊達の人たちは何も知らない」
「え……?」
「いや、説明すると面倒だからしないけど、脅迫の電話取ったの俺様。だから、他は誰も知んないよ、警察も」
「え…、…じゃ、お金…」
「だから、伊達に気を遣うこともないし、堂々あそこん家の息子に…」
「し、しかし…!」
幸村は声を大きくし、
「……ま…さか、――あなたが…?」
――何も返さない佐助。
「あの…っ、だったら何故…!?」
「……」
「…お金、某が働いて返しますから、必ず…」
「いや、俺様のじゃないよ、あの金は…」
「え」
佐助は、苦笑いすると、
「綺麗なお金じゃないからさぁ。…俺様、一個を十個に増やす才能に長けてんの。普段は貧乏だから、一個さえもなくて叶わなかったけど…」
「……?」
「アンタのお陰で、最近ボーナスもらっちゃってさ〜。で、久々にやったら、増える増える!超面白かったぁ〜」
「???」
どんどん首が傾いていく幸村。
「だから、アンタがいないと、俺様また無一文になっちゃうわけ。そうなると増えるもんも増やせない。…つーことで、あんなもんは、本当にハシタ金」
「……は、あ……」
「アンタに返済される前に、すぐあれ以上貯まっちゃうよ。――アンタがいればさ」
「――……」
幸村は何も言わず、視線を佐助と同じく前方に移した。
「あの……、いくつか質問してもよろしいでしょうか…?」
「んー…答えられるか分かんないけど、それでも良いなら」
「はい、構いませぬ」
「んじゃ、どうぞ?」
「……あなたには、兄弟がおいでですか?警察官と……どこか企業にお勤めされているような方…」
「ううん。俺様、天涯孤独。どうして?」
「――いえ…」
「他は?」
「…あなたの、職業…」
「探偵。――言わないでね。どっかで会っても、知らない振りだよ」
「……」
「他は?」
「あなたのお名前…」
「猿飛佐助」
幸村は驚いたように、
「それは、教えてくれないのだろうと思っておりました」
「偽名かも知んないけどね〜」
ハハッと短く笑う佐助。
「最後に一つ、良いでしょうか?」
「なーに?」
「探偵には、どうすればなれまするのでしょう!?」
「………へ?」
幸村は顔を輝かせ、
「某、探偵になりたいでござる!」
佐助は呆れたように、
「あのねぇ、探偵っつーのは、アンタみたいな子がいきなり…」
「そして、猿飛殿の事務所に就職したいでござる!」
「え、スルー?」
溜め息をつき、
「ダメダメ、うちにはそんな余裕ないし。…だいたい、何でそんな…。似合わないよ、アンタには」
「もう決め申した!なって、あなたと一緒に働きとうござる、それから…」
「……?」
「知りとうございまする――猿飛殿が、某を救ってくれた……本当の理由を」
一瞬、車がぐにゃりと大きくセンターラインに寄ってしまったが、それ以降はスムーズな走りで、街の方へとその後ろ姿を小さくしていった…。
‐2011.7.20 up‐
お礼&あとがき
秋津様、リクエスト頂きましてありがとうございます!
知識が乏しいのにこんな設定してしまい申し訳ありません; おかしなところ、全てスルーして下さい(@_@;) 事務所に一人は嫌だなあと同僚増やしたものの、出番なし(^q^)
佐助、大活躍までいけてなく、本当にすみません。私的な活躍があんな変装こっそりナイトでして; で、こんなことに(汗) ケータイ迷ってたのも佐助。わざと
佐助は、めちゃくちゃカッコ良く幸村を救出しました。…というイメージを添えて下さい;♪
政宗は、幸村に単なる一目惚れ
本当にありがとうございました!良かったら、また遊びにいらして下さい♪
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