追跡完了1
秋津様、ありがとうございました♪
佐助と幸村が主で、政宗と小十郎が少し。
他、捏造脇役が数名。
佐助、大活躍!まで活躍できてない気がひしひし; ツッコミどころ多過ぎる珍妙長文です(@_@;)
最終ページのご挨拶で色々謝らせて下さい!
(全4ページ)
【調査報告】
対象者は毎朝八時に登校、勤勉に授業を受け、終業後はすぐに帰宅。十七時〜十九時まで外でトレーニング。帰宅後、夕食、風呂、勉学に励む。二十三時までには、部屋は消灯する。
以下、それ以外であった事柄。
○月×日
横断歩道をゆっくり渡り、周囲から非難を浴びていた気の毒な老婦人を背に抱えて走り渡る。
○月△日
柄の悪い先輩グループから、呼び出しを食らう。
満員電車の中、妊婦に席を譲る。
○月□日
◇◇書店にて、上記の先輩に絡まれそうになる。
○月●日
迷子と思わしき犬の飼い主を探して回る。
○月○日
再び、先輩に呼び出しを食らう。
○月■日
どうやら以前から狙っていたらしい限定物の携帯電話を入手する。
○月▼日
またまた先輩に呼び出しを…
――ピタリ、とそれまで何の乱れもなく動かしていた手を止めた。
(……何だ、こりゃ)
佐助は、時計を確認した。――そろそろ依頼人の来る時間。
「……」
とりあえず報告書を完成させ、見直してみる。
(…絶対、怒られるわ、コレ…)
自分で見てみても、馬鹿にされているとしか思えない内容。
…しかし、他に書きようもない。
――ここは、ひっそりと営業している、ある探偵事務所。
明るい場所ではほとんど知られておらず、経営状態はすこぶる貧窮。
オーナーの顔すら見たことがなく、実際事務所で働いているのは、佐助を含めたったの三人。
無口にもほどがあり過ぎる赤毛の男に、クール以上にクールを極めた金髪の女。
皆優秀であるが、性格、見た目(目立ち過ぎ)に難があり、どこの事務所も追い出され最後の最後で流れ着いたクチ。お互い過去は一切知らない。
警察官、傭兵、自衛隊、医者、弁護士、…そんなものを彷彿させるような、知識と身体能力は全員が持ち合わせていたが、そのルーツへの興味すら湧くことがない。
仕事も、一つをそれぞれが単独で行っていた。
今回佐助が受けたのは、ある人物――それも、まだ高校生の子供だ――の、日常生活の調査。
今時珍しい、絵に描いたような優等生で、特記するべきこともない。なので、あれで文句を付けられたとしても、こちらの方が困る。
依頼者は、驚いたことに有名な財閥の次期当主だった。
伊達政宗という、自分よりも少しは年下のくせに、まあ気持ちが良いくらいの横柄な態度。
そんな彼が言うには、対象者――真田幸村――は、自分の父親が惚れ込んだ女性の一人息子なのだそうだ。そちらは母子家庭、伊達の方は父子家庭。現当主はもう結婚を申し込む気満々で、周りの意見など全く耳に入れようとしないらしい。
そこで、父親に隠れて、彼らの身辺調査を依頼して回っているのだという。
そういうやり方と決めているのか、母親の調査の方は別の事務所へ頼んだのだとか。
報酬も悪くないし、こちらとしては楽な仕事で大変良いこと尽くしなのだが。
「――……」
報告書を見る政宗は、無言。
佐助は、彼の傍にSP然として立つ男の威圧感に耐えながら、様子を見ていた。
「…OK、…想像してた通りの奴。…この『先輩』って野郎どもは、こいつを前から狙って…」
呟く政宗に、佐助は「あー」と相槌を打ち、
「本当、よくされてましたね。何か目立つというか…だからか」
「こっちが、基本情報だよな…」
「はい」
Hu〜m…、と政宗はもらし、
「…っ!おい、もうすぐbirthdayじゃねぇか!?」
「え?…ああ、そうですかね」
「なになに…?好きな色は…赤。――その限定もんのケータイも?」
「あ、ええ。○△□社の…」
「…好きな食べ物……団子」
流れる沈黙。
(…ですよね〜…)
――しかし、
「小十郎、こないだ知った…あの和菓子屋だけどよ」
「団子はどのような品か、早速調べさせましょう」
「……」
政宗は立ち上がると、
「――これ、今回の分な。…引き続き、調査頼むぜ」
「えっ、は――こんなに?というか、そんなもんで良かっ…」
……政宗たちは既に姿がなかった。
(…すげぇ。こんなに…)
封筒の中を見ては、とにかく唖然とするしかなかった…。
[ 15/101 ][*前へ] [次へ#]