慟哭の夜1
久兵衛様、ありがとうございました♪
※佐助、幸村、慶次で、すれ違い、ハラハラは…できてません…ごめんなさい(泣)
大学生設定。佐助が少しヤンデレ風?
乱文の上、長いです…スミマセン;
(全4ページ)
花火に照らされるその横顔が綺麗に見えて。
笑った顔に胸が温かくなって。
――それが自分の方に向けば良いのに。
…ぼんやりそう思いながら見つめていた。
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「佐助…?」
アパートの玄関に入ると、佐助が自分の後に続いた。――閉まるドア。
彼の部屋は、ここの上の階だ。
「どうし…」
「旦那」
佐助は少し息を吐くと、幸村の瞳を真っ直ぐに捉え、
「……好きだ」
見開かれる幸村の目。
だが、佐助は考える時間を与えるのも許さないように、
「ずっとずっと…好きだった。いつも旦那だけ見てた。俺は男だけど…この気持ちは絶対他に負けない。必ず幸せにする。
だから、俺と付き合って。
――俺を…好きになって」
佐助が幸村の肩を掴む。…かすかに震えるその手。
もう一度、彼の顔を見る。
ひどく苦しそうな表情に、哀しみの色を帯びた瞳。
――胸が、刺されたように痛んだ。
「慶次殿!」
「お〜、久し振りー」
ニコニコと手を振る慶次。
「何を呑気な!一週間も…。サボり過ぎでござる」
「いやー、短期のバイトがさぁ、結構これキツくてなぁ。ついつい、起きられなくて。もう終わったからさ」
「全く…」
顔をしかめたまま、幸村はバッグからノートを数冊取り出した。
「某が取っていない講義は知りませぬぞ?出席も、口答のものはさすがに代返する勇気はござら…」
「幸ぃ!!」
慶次は、ガバッと幸村に抱き付き、
「ありがとー!さっすがお前だよ。もー大っ好き!愛してるぜ!」
「……」
幸村は腕を外し、「全く、調子の良い…」
その顔は少々赤らんでおり、慶次の瞬きがしばし止まる。
「幸……」
「慶次殿」
同時になり、「…そっちからどーぞ?」と、慶次が譲る。
「…では」
幸村は、キョロキョロと周りを見渡し、人がいないかどうかを確認する。
全ての講義が終わった専門科棟。外も薄暗く、誰の姿もない。
…慶次の顔から、笑みが消える。
「実は……」
と、慶次を見上げ、
「交際することになり申した…。
………佐助、と」
慶次は声もなく、固まった。
その反応を予想していたのか、幸村は、
「以前…、慶次殿は申されていたであろう?…某に…好い、た者ができたら…教えて欲しい、と」
「あ………うん」
「それで…。――この間、皆で花火をやりましたでしょう?…あの、後に。…佐助が」
「そ――う」
「…奇妙でござろうが、あやつは…」
「!んなわけねぇっ、俺はそんなこと――」
幸村は微笑み、
「良かった…。図々しくも、慶次殿ならば…そう言ってくれると思っておりました」
「……」
慶次は口元を揺らし、
「あいつのこと好きだったんだな…。――何だよ、言ってくれれば」
「いえ!某は約束を違いは致しませぬ!」
幸村は慌てて否定し、
「慶次殿が仰っておったでしょう?…恋、とは…ここが、苦しくなるものだ、と」
「……あ、ああ…」
「苦しかった…。というより――痛くて。あやつの、あの哀しい顔は」
慶次は、「えっ」と声を上げ、
「幸、お前そりゃ――」
「…旦那」
――いつからそこにいたのか。
二人の背後に佐助が立っていた。
…暗くて表情がよく見えない。
「佐助」
「…用、済んだ?」
そう言いながら、視線は慶次に向かっている気がする。
「ああ。――では、慶次殿。ノートは次の際で結構ですので」
「あ、うん…ごめんな」
いえ、と幸村は笑い、二人はそこから去っていく。
「……」
慶次は、知らずにノートを握り締めていた。
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