ポーズはおしまい1
雲英様、ありがとうございました♪
素敵リク「佐幸で学パロ、幸村が嫉妬する話」
高校生。他、コタ・捏造女子数名・こじゅ(教師)。家・政が少し。
場面・会話多し乱文※長文、微シリアス/微ギャグ甘。佐幸+脇役なお話。
既に佐幸ですが、佐←幸寄りで始まり、最終いつものような感じです…すみません(--;) 幸村視点的で、佐助の出番は彼より少なめ。(多分)頑張ってる幸村。
※描写はチュウ程度だけど、大人な関係。そんな会話や背景はあり。
※コタ口調(筆談)等、捏造多々。
家(→)幸もチラリで、全体的に幸村贔屓。申し訳ない、勝手にそうなってしまいまして; あと嫉妬するってのに、可愛さ不在…(泣)
(全6ページ)
授業終了のチャイムが鳴り、生徒たちがバラバラと席を立つ。
終わった授業は自習で、係の幸村は集めたプリント用紙を手に教室を出た。
廊下の窓から見えるグラウンドでは、体育を終えたクラスの三年生たちが、ぞろぞろと手洗い場へ群がっていく。
汗を引かすためパタパタ扇がれる体操着の下で、しなやかな腹部が見え隠れする。幸村は立ち止まり、その様をボーッと眺めてしまっていた。
「あ、サスケ先輩……や、ちょーセクシ〜!もうホント好き、あの──」
「ちょっと…っ(横横!)」
通りすがった一年生の女生徒たちも、同じく見ていたらしい。
友人により幸村に気付いた彼女は、ハッと口を開け直ちに赤面した。
「あっ、あの…ッ!」
「い、いや!何も聞いておらぬゆえ!」
「違うんです、私…っ」
真っ赤な顔で近付く彼女に、幸村はどぎまぎたじろぎながら、
「心配無用にござる!決して言わぬのでっ!」
先ほどのが嘘になってしまったが、それ以外思い付けなかった。
ダッとその場を後にし、曲がり角からもう一度密かに覗くと、
(あ……)
窓の外に立ち、彼女たちとにこやかに話す佐助が見え、幸村は静かに職員室へ向かった。
…………………………
「ああ、そこに置いといてくれ」
「はい」
職員室に入ると、先の授業担当の教師は所用から既に戻っていた。
小十郎の言葉に頷き、幸村はプリントをデスクへ乗せる。
「…はぁ」
「ん?何だ、どうした」
「えッ?いえ、何でも!失礼致しまする!」
一礼し、幸村は立ち去る。
小十郎は「?」と首をひねり、デスクを見て呆気にとられた。
…プリントの束が、ねじり鉢巻のごとく丸められ、転がっている。
(あの野郎──…いや、普段はそんなタマじゃねぇな)
外側のプリント用紙には、エンボス加工のごとく、指先の跡がびっしりと。
ペリペリと剥げば、金太郎飴のように二枚目三枚目…と続いていた。
(ああ見えて、ストレス溜めてやがんのか…?)
あれだけ親しい友人がいながら、解決できていないということは…
『顔見知りには、言いにくい悩みかも知れねぇな』と、小十郎は顔を渋らせながら、紙伸ばしに専念し始めた。
今や自分たちにとっては偉大な父で、一生の感謝と孝行を誓った相手である、武田信玄。彼のもとへ連れられ二人が出会ったのは、幸村が小学校に上がる年の春だった。
佐助は一つ上で、歳に似合わぬ大人びた雰囲気と優しげな眼差しに、幸村は一目で心を奪われた。
(…あの頃は、純粋な想い一つだけでいられたのに)
幸村から気持ちを告げて、もう一年以上が経つ。きっかけは、積もり積もった想いがいい加減張り詰めていたのと、彼とある女生徒が噂になっているのを知ったことだった。
真相は恋人未満だったわけだが、佐助は『ちょっと考えさせて』と希望を見せてくれ、しかも数週間ほどで、
『こんな俺様で良ければ』
──と、はにかんで……
本当に夢のようで、心から感謝した。性別の問題を受け入れるのは、生半可な苦悩では済まなかったはず。
彼を何よりも大事に大切にして、困らせること嫌がられることは決してすまい、と幸村は固く誓ったのである。
その努力や尽くす気持ちが伝わっていったのか、佐助もそういう愛情を抱いてくれ始めたのは、割と早くに訪れた。
初めて唇を合わせた夜は、それだけで幸村は、恥ずかしさや未知の幸福で逃げ出したかった。というのに、
『ごめん……今すぐ旦那が欲しい』
薄暗い部屋の中、このような真剣な顔に熱された目と口調で請われ、断れる人間なぞいるのだろうか?などと思い馳せたのは、その一瞬だけで。
初めての行為にスムーズとはいかなかったが、二人は身体も重ねた。
幸村の彼への気持ちは、どんどん増えていく。だから、すっかり肥えてしまったのだろう。
…こんな思いまで、抱くようになるほどに。
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『違うんです、私…っ』
必死な姿もそうだが、それでなくとも可愛らしい容貌をしていた。さらに『好き』と言われようものなら──現に向かわれただけで、幸村もドギマギしてしまったのだから。
「佐助は、人気があり過ぎまする…それも、綺麗で明るい方々ばかり。顔が広いからと言えばそれまでですが、しかし…」
『髪、佐助くん褒めてくれてさ〜』
『切ったときって、それが一番嬉しいよねー。さすがだよね、そういうとこ』
『カッコいーよね、何かもう全部』
「二年の某にまで、ああいう類いの言葉が、毎日のように聞こえてくるのですぞ?あやつ一体、どれほど言っておるのかと!──あ、いや、悪いことではないゆえ、責めておるわけでは……ただ、その…」
「………」
「それで、今日は先ほど…」
『サスケ〜!』
『ッ!…ああ、びっくりすんじゃん』
『ゴメンゴメン!ねっ、これ(ピアス)どーお?似合うっ?』
↑佐助の腕に両腕を絡め、耳に髪をかけ片耳を示す行為。
(ははは、破廉恥なァァァ!!シャっ、シャツ開け過ぎでござろぅぅ!!あと近い!近うござる!)
偶然見かけてしまい、ササッと隠れた幸村だが……一人で顔を燃やし、あがあがと口をわななかせていた。
女子は『もっとよく見てよ』と腕を引き、佐助の顔を近寄らせる。遠目から見ると、頬にキスをしているかのようにも。
幸村は気が気でなかった。自分が佐助の立場なら、きっと固まり悲惨なことになっているだろう。
「あんなにも易く後ろを取られ、腕まで…!たるんでおると思いませぬかっ?あれしき、あやつならば驚きもせずかわせるはず──あれは、きっとわざとなのです!あ、あのような、はれんちな……でれでれと……」
ムッスーと口を曲げるが、幸村の声は段々小さくなっていく。
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