告白合戦いたしましょう7




『バン!パァン!ドォン!!』


耳をつんざく破裂音が鳴り響き、二人は『えっ』と顔を見合わせた。
が、すぐさまその正体を知る。

…一定の感覚で鳴り続けるそれは、祭りと夜空を彩る打ち上げ花火の音。
ここからは離れているが、その姿は充分よく望めた。



「ぁ……」

幸村は、ハタと我に返ると、


「そうでした、今日は花火が……ちょうど良かった、上へ見に」
「Wait!…アレのせいで、聞こえなかったんだが?」

「えっ…──いや、聞こえたでござろうっ?」

「…チッ、こんなときだけcoolになんなよ」
「なっ…!!」

たちまち幸村は気色ばみ、


「あれでも、某なりに懸命に──政宗殿は鬼でござる!そちらこそ、こんなときにそのような…っ」

「Stop、stop!Sorry!本気にすんな!もっぺん聞きたかっただけだろっ…?つーか、察しろって」


「ッ……!」

ぐぅっと詰まる(赤らめる)幸村を、政宗は細めた隻眼で見つめ、



「“Be in the seventh heaven”──だよ」




(…どういう……)


しかし、heavenという単語が聞こえたので、悪い意味ではないのだろう。

瞬かせながら自身を納得させる幸村に、『いずれお前にも、別の意味で味あわせてやるからな?』とも付け加えたかった政宗だが、今はこらえておいた。



「悪かったな…再会したとき、お前だって分かんなくてよ」
「い、いえっ」


(もう充分、十年分以上ですので…)


まずは頭の中でリハーサルしてから、いざ言わんとした幸村だが、


「俺の敗けだ。…お前のお陰で、全部分かった」
「え?」

「先に言っとくな?──俺は、お前の外見も好きみてーだが、それはお前の中身ありきのもんだ。俺もお前『だから』で、お前だけだよ。これからも、all my life…」



(……政宗殿……)


花火が視界から消え、幸村は反射的に目をつむる。


これで四度目になるそれは、今までで最も短く、軽く交わす程度だった。…が、
やはり、あの法則性は証明されてしまったようである。



「…で、今までもな。お前、怒るかも知んねーけど」
「え?」

わずかにためらうが、政宗は苦笑すると、


「お前も、『challenge』してみてくれよ。

hintは、


『俺のfirst love&kissは、六歳の夏』
『相手は、昔から被り物がよく似合ってたらしい、special cutie』

『俺はお前に会うまで、男に惚れたことはねぇ』…と思ってた。



──以上だ」




問題が解けたときの幸村の顔を見て、政宗は『これで少しはおあいこか?』と微笑する。

歓びや照れを隠そうとする彼をからかうと、元気良く反論や文句が返ってきた。
傍目から見れば、単なるじゃれあい──分かる人にとっては、痴話喧嘩にしか映らないことだろう。

最終的には幸村の機嫌を損ねてしまったのか、二人はその場で別れ、それぞれの帰り道を往く。

…が、数分後にはまた並んでおり、片方が遠回りを決めたようだった。


ラスト数連発の花火の光が、二人のシルエットを浮かべる。

指先から指先に繋がる糸と、それが小さなheartを描く影も見えた気がしたところで、



─ The True End ─





いたしましょう

( 今日から決定 )







‐2012.9.29 up‐

お題はどちらも【biondino】様より拝借、感謝^^


お礼&あとがき

おがこ様、リクエスト頂きましてありがとうございます!
並びに、このダラダラ長文を読んで下さった閲覧者様、心より感謝です(TT)

素敵リク「政幸、お任せ」。初の政幸リクに、とにかく大喜びで(≧∀≦) …が、こんなものになり本当にすみませんでした。
なのですが、二人を両思いにさせてもらえて、ひたすら感謝で一杯です。自己満足以上にストーリーのない、しかも長文で、本当に申し訳ないんですが( ノД`)…

どうしても政宗様寄り多めにしたい…としたら、幸村の台詞や思考が少なくなって、それは嫌だと我が儘やってしまい、ひどい流れに。踏みつけて下さい、本当に。心底土下座の思いで一杯です。

おがこ様、大変申し訳ないばかりですが、良かったらまたお越し下さいませ。

本当にありがとうございました。


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