数年分を数日で1
小十幸。…を目指した話。(社会人×大学生)
他、家康と政宗が脇役。ほのぼの微甘。
※トンデモ展開。ファンタジー?的。
※微々破廉恥描写あり。(キャラ同士の絡みはないです)
小十郎の、リフレッシュ休日。
激しい捏造ありで、不快に思われたら本当にすみません。
小十郎への、自分なりの愛の押し付け。
乱文長文。
(全5ページ)
気付かぬ内に、随分疲労が溜まっていたらしい。
伊達家が持つ会社に政宗が就職し、一年以上が過ぎた。
小十郎も同社の数年先輩で、彼の教育指導を任され、ろくな休みも取らぬまま励み続けていた。
(彼の仕事は、それだけに留まらないので)
明日からは連休で、「休め!」と政宗にも強く言われてはいるのだが、密かに休日出勤を狙っていたり…
なのだが、「たまには良いか」と、明日は好きな時間に起きることにし、退社後に行きつけのバーへ一人寄った。
すると、偶然にも、昔から付き合いの深い徳川家康(政宗と同じ年頃)と、一緒になる。
「片倉殿、お疲れのようだな」
ちょうど良かった、と家康はバッグから何かを取り出し、
「これ、うちの研究員の手作りなんだが。『童心に返りストレス発散、リラクゼーションに最適』…らしい。まぁ、栄養成分の入ったただのお菓子だが、忠勝も美味いと喜んでくれたから」
「…桜餅か」
そういえば、もう何年も口にしていない。
子供の頃は大好物で、彼にしては喜んで食べていたものだ…
(──美味い…)
思った以上の味に、顔には出ないが結構な感動を得た小十郎。
家康に礼を言い、彼に何杯かおごると、ほろ酔い気分で店を後にした。
『片倉殿ーっ!』
いつもいつも、うるさくて暑苦しくて、げんなりしそうになる。
…というのが普通だと思うのだが、どうしてか疲れが取れ、頬の筋肉までほぐされ、翌日はすっかり元気になっているのだ。
その顔を見て、数分会話をするだけでも。
彼は政宗の後輩で、まだ大学生。
一人暮らしで、小十郎と同じマンションに住んでいる。(これも、政宗の紹介だ)
それで、昨夜はバッタリ(が続く日だったらしい)会い、「では、某とも一杯やりましょうぞ!」との誘いに、渋ることなく乗った。
幸村の部屋で飲み、それから…
(…泊まっちまったのか)
何てザマだ、と舌打ちする気分で、起き上がる。
そこはベッドで、幸村をソファで寝かせてしまったのだろうことに、申し訳なさが湧くが、
「………」
前に下りる髪をかき上げ気付くと、幸村がベッドの傍で膝立ちになり、小十郎を窺っていた。
無言で、どうしたのだろうかと首をひねるが、
「か……、…片倉、殿……?」
おかしなことを…と思うが、そうか、髪型の違いのせいだな、と笑い、
「いや、これは、……!?」
「……っ」
二人は顔を見合わせ、愕然とする。
意思は同じだったようで、小十郎は、示された姿見の前に立つと、
(な──…!?)
唖然とする。
声もそうだが、何やら見える手足が、いやに妙に映ると思えば、
…鏡の中にいたのは、一人の子供。
(推定年齢、五、六歳)
しかも、この顔は紛れもなく、己の幼い頃の……
『童心に返りストレス発散、リラクゼーションに最適──』
(……あれか)
すぐに察しがつき、頭痛に見舞われた。
家康の父親の会社は、度々常識外れなものを(極秘に)制作する。実際目にした経験があるので、そこまでの驚きは、もうない。
あるのは「迷惑」、…ただそれだけだ。
『いやぁ、すまない!まさか、そんな効果があるなんて。うちでも忠勝が縮んで、可愛いの何の……あ、で、すぐの方法はないんだが、自然に戻るらしい。二日ほどかかるそうだから、明日の晩には』
「何だと…っ?本当に、それ以外はねぇのか!?」
だが、『すまん』との返答。
迷惑料はきちんと払うからな、と深々謝られ、小十郎もそれ以上強くは言えず、ケータイを切る。
(とにかく、こんな姿じゃ出社できねぇ…)
政宗に連絡し、家で仕事ができるよう手配を願い出たが、
『だーから、休めっつったろ!部屋からも出らんねーくれぇなら、やったってロクなもんになんねーよ。つーか、大丈夫なのか?一人で』
↑電話だと声が違うので、メール。
『大丈夫です。…すみません。良くなり次第、すぐに就きますので』
『せっかくの休みに倒れるなんざ、ツイてねーな。もう良いから、丸々休めよ。明けてからも』
…本当に、ツイていない。
メールを終え息をつくと、オロオロしたままの幸村に、事の詳細を話した。
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幸村の驚きは、小十郎の説明で何とか収まった。
素直な相手で本当に助かった、と安心するのだが、
「…何してやがる?」
「やはり、ぶかぶかですな…」
幸村は、自分のTシャツを小十郎に宛がい、うーむ…と唸っている。
「うむっ、やはり買いに行きましょう、片倉殿!」
「おい…!?」
抱き上げられ、呆気にとられている内、マンションの外へ連れ出された。
幸村のTシャツに、下は水泳パンツ(それしか、サイズが合わなかった)、靴がないため抱えられたのだと分かってからは、渋々大人しくなる。
小十郎の面影はあるにはあるが、その違いは天と地ほど。
あの、渋く艶のあるものから一変した、子供らしい高い声。
険しさを放つことが多い両目は、くっきりの二重瞼がよく覗けた。黒目も、元の姿の倍はあるような。
髪も下ろされ中分けになり、これほど「美少年」という言葉がぴったりの子供は、他にはそうそういないであろう。
元来子供好きな幸村なので、もう一目見たときから、うずうずしてしょうがなかったのである。
店でサイズを見てもらい、きちんとした子供服(落ち着くらしく、シャツなどにした)に着替えると、その気品は一層あふれるかのようだった。
「片倉殿も、このように幼い頃があったのですなぁ…」
渋る小十郎を強引に引っ張り、入ったレストランで、幸村はニコニコと彼を眺める。
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