金吾さんの受難3


またまた後日。

僕はあろうことか猿飛さんを見失ってしまったんだけど、幸い真田さんを発見してホッとしていた。
彼についていれば、その内猿飛さんも現れるだろう。



「……あっ」
「あ…」


あ、こないだ真田さんに恋文渡した女の子だ。
うわぁ、これは真田さん気まずいんじゃあ…


「あ、あの!すみませぬ、某が不甲斐ないばかりに…」
「え…」

女の子は驚いているみたい。

真田さんは、猿飛さんに代理で行かせたことを言っているんだろう。


「あの…こんなことを言うのはおかしいのでしょうが」
「え…、え?」

「あ、ありがとうございまする。…と、どうしても伝えたく」
「そ、そんな…」

「感謝しておりまする、このような自分に」

「…真田くん…」


女の子は、何かもう目がウルウルだ。



その後、真田くんはペコリと頭を下げて、こちらに小走りしてきた。



――ん?こちらに?



「うわっ」
「痛っ」





…あわわわ、どうしよう!
真田さんとぶつかっちゃった!



「小早川殿!すまぬ、お怪我はござらんか!?」
「だ、大丈夫ですぅ!」

うわぁ、まずい。早くしないと。


…あれ。

(そういえば)



真田さんだというのに、さっきの女の子と話して赤面もしてないって、…何でだろう。



「あ、の…真田さん」
「はい?」
「さっきの人なんですけど…」
「む?あの方が何か?」
「いえ、その…」

何て聞けば良いのか黙っていると、


「……口外しないで頂けますか?」
「え!それは、はい!」

何か事情があるのかと思い込んでくれたみたいで、真田さんは、


「実は…某、先月バスケ部の大会で助っ人をしたのですが…」

「???」

何か、いきなり違う話に…

「…負けてしまいましてなぁ。情けない。某が代わりをした部員は怪我で出られなかったのだが、相当な腕前の方なので本当に申し訳なく…」

「あ、あの、それで?」

「あの方は、その部員のご友人…つ、つまり、彼女…殿でして」


は、はぁあ!?


どうして、そんな話に――?


「それで…。お怒りというか、叱咤する文を頂きましてなぁ…」

「え、えぇえ…?」

そんなもの、わざわざ出しませんよぉお!

「で、佐助からあの方だということを聞いていたのでな…。佐助が…」



『旦那が直接謝っても、今はちょっと時期が悪いよ。俺様が代わりに謝っとくからさ。もう少し時間空いたら、旦那も一言謝ってみて?それで、向こうの怒りも大分治まると思うからさ…』



「――とな」





さ、真田さんん――!!

いや、違う!猿飛さ


「だーんなぁ!こんなとこにいた!」




「おう、佐助!」

「あれ?金吾くんじゃん、どしたの、珍しいねこの辺で会うなんて」

「あ、あう…」

「あー…てか、ごめんねぇ?ずっと部活行けてなくてさぁ?まぁ、ミッチーが名前だけでも置けってうるさくて…それに甘えてんだけど」
「そうか…最近、運動部ばかりであったな。申し訳ない、小早川殿」

「い、いえ」

「今、どんなことやってんの?…そういや、次の特集って誰?」



「あああああの…」









「ご、ご、ごべんなさいぃぃぃー!!」















「…どうしたのであろう?」

「さー…。またミッチーからこっぴどくやられてんのかねぇ」

「たまには顔を出さねばな」

「うん。…ねぇ、旦那。俺様、相撲部のコから聞いたんだけどさー…」










調査結果

『対象は、伊達さんが嫌いで、長曾我部さんは好きで、真田さんのことが』






「金吾ォォォオ!貴ッ様ァ、ふざけるなぁぁ!こんなものが記事にできるかぁー!!」

「ヒィィィィー!ごめんなさい!ごめんなさい!ごべんなさいぃぃー!でも真実なんですー!!」

「黙れェェ!!すぐに代わりの調査をして来ォォい!」

「うわあぁぁそんなぁぁー…!」






…後日、恋だ何だと有名な先輩を調査したのに。

また同じ結果になってしまって、僕は本当に退部したいと心から思った。







‐2011.6.18 up‐(当サイト公開‥2011.6.19〜)

あとがき


読んで下さり、ありがとうございました♪

ミッチーと金吾さんをこんな形で登場させてしまってすみません;
でも、大好きな二人

色々無理のある話ですけど;
拙宅の佐助は旦那のことになると、脳が上手く働かないみたいでして

今時、恋文はない…か。

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