かみかくし(前)-1


慶次、政+佐→幸。(最終、幸村総受け)
(高校生)

※幸村はモテてますが、攻めが自分勝手な気が…; 他の作品のキャラとは、全然別物と思って下され。(幸村も)

・明るいですが、背景は薄暗い。
・暴力的題材、描写。
・盲目。狂愛モドキ。
・描写は淡々ですが、汚物が出現。

低知識、全て空想。
色々無理、つじつま合わないことだらけ。
嗜好によっては、後味悪い可能性。


(前編)‥慶次、慶+幸、が主で、政+佐→幸は少し。割とほのぼの。

(後編)‥政+佐→幸、が主で、慶→幸が少し。雲行き怪しくなります。

会話多しの、乱文長文

最後から二番目のページで終わっても良いような感じなので、あるいは、そうされてみて下さい。(進む前に、但し書きしてます)

※芝居がかった寒い行動、多々。


(前編・全3ページ)…このお話。

(後編・全4ページ)















──嗚呼、悪夢だ…




掲示板に貼られたクラス名簿を一瞥し、絶望感に項垂れる。

並ぶ名はどの表も、


男、
男、
男。………の、ものばかり。



(俺の、貴重な青春が…)


中学までは、確かに『ヤンチャ』が過ぎ、女の子との付き合いも『少々』派手ではあった。…しかし、だからといって、騙され、半ば強制的にここへ入学させられるまで…のことではなかっただろうに。

慶次は、叔母の有無を言わせぬ顔を思い出し、『何でもっと上手くやんなかったかなぁ…(隠したりなど)』と、後悔に嘆く。

名門男子校で、普通であればかなりの偏差値が求められるが、勉学以外の分野も充実しており、慶次はそっち方面での推薦にて合格した。こう見えて、舞踊や華道の腕前は、叔母をも頷かせるほど。

それだけならまだマシだったが、最も切ないのは、全寮制であるという現実。
校舎は山の上に建ち森に囲まれ、彼にとっては、ほとんど牢獄にしか見えなかった。

小学校からあるのだが、クラス数は少なく、慶次のように高校から入る者は珍しいようで。周りの視線を受け、早速教室で何人かに話しかけてみたが…


(やっぱ、お上品な感じだなぁ…)


とは思ったが、そこはこの性格で、上手く話を合わせる。
三年間友人もできなければ、それこそ地獄であろう。


一瞬教室が静まり返り、何事かと思いきや──入って来た三人の生徒に、全員の目が向かっていた。
三人とも目立つ容姿をしており、慶次も『へえ』という風に見たのだが、


(え?)


自分が新顔だからということもあろうが、…睨まれる謂れはない。
慶次は、内二人のそれに、首をひねった。



「うちの学校の、有名人。美形揃いでしょう?」

慶次を囲んでいた一人が、まるで自慢のように、また陶酔した表情で語る。

彼らの名前を聞かせてくれた後、


「伊達君はプリンス、猿飛君はナイト。真田君は…『姫』なんだ」

「へ?」

姫?と、彼を窺うが…


栗色のふわふわした髪に、後ろには一房。よく見えないが、目は大きかったような。で、二人より少し背丈が小さく、スマートな身体つき。


(…まぁ、美少年ではあるけど)


しかし、制服は(当たり前だが)男物であるし、どうやっても女には見えない。


(──あ、でも…)


幼い頃から男ばかりの世界なのだとすれば、少しでもそれに近い者が『マドンナ』に仕立て上げられたりする……のかも。

慶次は、それで満足するしかなかったのかも知れない彼らの境遇に、心から同情した。



「三人とも成績優秀、スポーツ万能、大人っぽくて無口でね…近付きがたい存在で」

なので、そんな三人と同じクラスになれたのが、皆かなり嬉しいらしい。

へぇー、と慶次は相槌を打ったが、


(そりゃ、あんまり気が合いそうにねーなぁ…)


先ほどの睨みからして好感触ではなかったしで、きっと関わることはないのだろう、と漠然に感じていた。













入学して約一月が経ったが…

思った通り、例の三人とは何の接触もなく、あの二人からの鋭い視線も消えていた。


慶次は、親しくなった友人との会話を思い出す──




……………………




『神隠し?』
『ええ』

彼は、含み笑うと、

『面白そうでしょう?』


彼の話によると、この学校には、隠されたスキャンダルが存在するようで。


──最初は、彼が小学生のとき。

教師と生徒が、各一人ずつ姿を消した。


その後、数年に数人の割合で、生徒に限り同じことが起こっているのだ、と。

表向きは転校したとなっているが、そうではないことも調べ済みだそうで。
高校を卒業するまでには真相を知りたいと、本格的に調査をするらしく…

それに、前田君も加わらないか?とのお誘い。


『何なんだろな……誘拐とか?』
『どうなんでしょうねぇ』

しかし、彼は声を潜めると、

『消えた生徒たちは、皆あの三人に強く憧れていました。今のところ、その共通点しか分からなくて。…まぁ、生徒のほとんどがそうですけどねぇ』
『あー…すごいカリスマだよなぁ』

『斯く言う僕も、その一人で』

そう笑うと、


『だから、興味津々なんです。…僕の妄想ではね、犯人はあの二人の内のどちらか』


(はぁ…?)


『…だったら面白いのにな、って話ですよ。「王子」「騎士」「姫」って、結構的を得てるんじゃないか、と。二人は「姫」を愛し、守って…』

『ちょちょちょ、何…っ?』

混乱気味に聞くのだが、


『距離、近過ぎると思いません?寮の部屋だって、姫の両隣。…姫に近付く不逞の輩を、“グサッ”──それが、真相』

『えぇー…』

顔をしかめると、『だから、妄想ですって』と笑う。
だが、どうにかあの三人と近付きはしたいようで。

チャンスがあれば、新顔であることを武器に話し掛けてみて下さいね、と言われ…

が、今の今までそんな機会は巡って来ず、新しい情報が入るのを、少しだけ楽しみに待っている身。


──そんな、ある日の放課後。


慶次は、屋上の…そこへ通じる出入口が付いた建物の屋根の上で、うたた寝をしていた。

生徒の利用は禁じられており、さらにそんな場所へ登る『お行儀の悪い』者は、誰一人いない。

正に、彼だけのプライベート空間であった。



(んあ…?)


扉が開く音に目を覚まし、下を窺うと、

……驚いたことに、あの三人組の姿ではないか。



「………」
「………」

「二人とも……そろそろ行かねば。校長をお待たせしては…」


「うん…」
「…分かってんだけどよ」


消沈した様子で、そこから離れない、『ナイト』佐助と『プリンス』政宗。

二人を案じる顔で見ていた『姫』──幸村だったが、何か思い付いたように、


「では…」


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