金吾さんの受難2


次の日。



「あのっ、猿飛先輩!」
「ん?何?」

また呼び止められてる。今度は一年生の女の子。

「あのぅ…。せ、先輩は元親先輩と仲良いですよね…」
「うん。どうしたの?」

あ、今度は即答だ。
確かに、二人はとても仲が良い。

「すみません、良かったら…これ!」
「え?こりゃもしかして…」
「ほ、本当は自分でって思ったんですけど、なかなかチャンスがなくて…」
「あー、学年違うしねぇ…」

…何か、昨日とは大違いだ。

「…よし!俺様が二人になるチャンスを作ってあげるよ!」
「えっ…ええ!?」
「いや、俺様思うんだけど…(昨日と同じ台詞)」


「そう…でしょうか?」
「うん!よし、じゃあちょっと待っててくれる?場所はどこが良いかなぁ…」

「ありがとうございます…。先輩って、本当にすごく良い方ですね。真田先輩の言う通り…」





「えっ……旦那?」





「はい!…あ、私相撲部のマネージャーなんですけど」

「相撲部!?マネージャー!?」

「以前、真田先輩が助っ人に来て下さって…そのときに」
「あの人、相撲部まで行ってたの!?」
「すっごく楽しそうに話してましたよ?もう、先輩のことが自慢で仕方ないみたい。愛されてますよね!」




「う、あはは…。そう…かなぁああ」





……ん?

猿飛さんがおかしい。


顔が、ふっにゃふにゃになってる。




き、気持ち悪い…


ていうか怖い。




「君、見る目あるよねー。親ちゃんはホント良い奴だもん。俺様、応援してるから!」

「あ、ああありがとうございますうぅぅ」


最後は感動ものとさえ言えるシーンに。



…何なんだろう、猿飛さん。


一体どんな人なんだ…











そしてまた数日後。



「あのっ、猿飛くん」
「ん?何?」


またこのパターン?
自分への手紙は一向に受け取ってないし。
この人、本当に学園のスターなのかなぁ…。

今度は本人宛てかと思いきや、

「あの…猿飛くんって、真田くんと仲良いよね」
「うん」

また即答だ。
けど、その顔は一瞬だけ曇った。
舌打ちでもしそうな。

『何を今さらなこと言ってんの?』って感じ。


「あの、お願いがあって…これ」
「ん、分かったよ」

えー!早!!
やっぱり仲良しなだけあってなの!?


「君みたいなコが直接渡せば、旦那大変なことになるからねぇ」
「ご、ごめんね…」

…あ、そうか。真田さんは色恋がすごく苦手だったっけ。


「返事は気長に待っててやって?」

猿飛さんは笑顔で、その子と別れた。


後日、猿飛さんは真田さんの代理でその女の子に断りの話をしていた。

今は勉強や、部活の助っ人業に忙しいからごめんなさいって内容で、女の子も予想がついていたのか、少しだけ残念そうな顔をして帰って行った。

[ 5/138 ]

[*前へ] [次へ#]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -