ビター&スウィート
バレンタイン佐幸(のつもり)。高校生。
バレンタイン企画お題を拝借、最後に、サイト様リンクとともに載せてます。
せっかくなのに、甘さが;
恋愛一年生…のような。果たして、高校生と言って良いものか。かゆくて恥ずかしひ
突発的乱文m(__)m
(全1ページ)
2月14日──バレンタインデー
待ちに待った、一年に一度の甘美なる一日…
「真田くん、はいっ」
「ゆっきー、私たちからも!」
「先輩、受け取って下さいっ」
放課後までには机に山盛り、袋にぎっしり。
チョコだけと言わず、甘味を好む幸村にとっては、正に至福の祭典である。
「皆様、ありがとうございまする!」
(((あぁぁもぉ、可愛いぃぃ…!!)))
心からの感謝の言葉を述べ、(チョコをもらえる喜びの)笑顔で応えれば、その数は前年から増え続ける一方であった。
(今年も、沢山頂いたなぁ…)
ほくほくしながら荷物を抱え、教室を後にする。
もちろん、このチョコを毎日少しずつ食べるのは幸福の極みであるのだが、彼にはそれより楽しみにしているものがあった。
(──あ、佐助…)
と声をかけようとしたが、もう一つ人影が見え、思いとどまる。
後輩の女の子で、顔を真っ赤にさせながら佐助に向かっていた。
「う、受け取ってもらえませんか…?」
「あー…」
佐助は頭に手をやると、
「ごめんねぇ…、俺様チョコ苦手なんだ。本当ごめん」
「そう…、なんですか…」
シュンとなり、彼女は落ち込んだ様子で去っていく。
(………)
幸村は、つい彼女の後を追っていた。
今年は、トリュフにしてみた。
初めて作ったにも関わらず、自分が食べても美味過ぎる。
これは、愛がさらなる調味料として活躍しているからに違いない。
佐助はニマニマしながら、昨夜作ってラッピングしておいたものを眺める。
すると、幸村が帰って来た。
「おっ帰り〜!遅かったね。ご飯、美味しかった?」
今日は部活の後、皆で食べに行くとメールがあったので、今か今かと帰りを待っていた佐助。
「ああ…」
「?足んなかった?ご飯、あるよ?」
「いや、良い。…ちょっと疲れて」
「あ、じゃあちょうど良かった。ほら、早く早くっ」
疲れには甘いもの、と佐助は幸村をリビングに促し、
「はい、開けてみて!」
「あ、あ…りがとう」
弱々しくはあるが、笑顔で受け取る。
「おお、美味そうだな」
頂きます、と一つ口に入れ…
「………」
「ど…う…?」
いつもであれば、すぐに「美味い!」と言ってくれるのに。
無言のままの幸村に、佐助は段々不安になってくる。
「…にがい」
「え──!?」
まさかっ?と一つ口に放ったが、…甘さはちょうど良く、口溶けも…
何で、と尋ねようとすると、
「…俺は、やらぬ」
「へっ、」
「今年からはもう、佐助に渡さぬ」
(え゙ーーー!!)
佐助は、たちまち顔面蒼白。
「な、何で?何でぇっ?だ、旦那、まさか」
好きな人が──と言いかけたところで、幸村がキッと睨み、
「何故、嘘をついておった?今の今まで!」
「う、嘘?」
「今日、ある方を追って耳にしたのだ!」
────……
『えーん、せんぱぁい…玉砕しちゃいましたぁ』
『あーあー…一言相談しなさいよ、うちらに。猿飛くんがチョコとか甘いの苦手って、二年の間じゃ常識よ?』
『そうそう。昔っから、絶対受け取んないんだから。で、誰も渡さないの』
『知らなかったんですよ〜、もーショックぅー』
────……
「──と」
(げぇぇ…)
佐助の顔色は、悪さが増す。
しかし、幸村はそれを見てまたショックを受けたらしく、
「何なのだ…?──お前が、『モテないから、チョコをもらえない』と言うから…」
『俺様、チョコ大好きなのにさぁ〜。旦那はいーよね、もらえて』
『一つ、あげようか?』
『…いや、そりゃ悪いよ。せっかく、皆旦那に用意してんだから』
『ぬ…』
『──あ、じゃあさ…こうしない?』
…とのやり取りを経て、何年か前から、お互いに交換し合っていた二人。
佐助は手作りだが、幸村は買ったもの──それも、恥ずかしいからと市販のチョコ菓子──であるのに、いつも嬉しそうに受け取ってくれていた。
…それなのに。
「佐助の嘘つき!モテぬなども、真っ赤な嘘ではないか!俺よりも人気者であるしっ」
「え、えぇっ?」
「『真田くんは可愛くて畏れ多いけど、猿飛くんは彼氏にできたら最高だよねー!』などと言われておった!」
「ま、マジでぇ〜?聞き間違いじゃ…いだ!」
肩に一撃を食らい唸る佐助だったが、すぐに真面目な顔に変わり、
「──嘘ついてて、ごめん。…どうしても、欲しかったんだよ」
「何がっ?…嫌いなのだろう?」
その顔に圧されたのか、幸村の怒りが和らぐ。
「じゃなくて、『チョコが嫌い』って方が嘘。要らなかったから」
「はぁ…?」
首を傾げる幸村に、「だから」と佐助は目を伏せ、
「旦那からのチョコだけが欲しかったんだよ、…ずっと」
「………」
…が、幸村は沈黙。
(──ああ、やっぱ分かんねーよな…っ?)
佐助は意を決し、
「つまり…!…絶対引くと思うけど…っ、
〜〜っ旦那が好きなんです、俺!」
えっ
…と言ったのがよく分かるくらいの、目を丸くした幸村の顔が、佐助に向く。
(くぁー……まさか、こんなことになるなんて…)
数分後に地球滅亡、と告げられたような表情で、崩れ落ちる佐助。
どれだけ経ったか分からないほど、ソファの縁に身体を預けていると、
「…これ…」
と、何かが差し出される。
包装された、…恐らくチョコレート。
「え…?」
今年から無いと…しかも、市販の菓子ではない。誰かからもらった一つだろうか…?と、顔を上げた。
「…いつも作ってもらっておるから、俺も…。昨日の放課後、極秘に、まつ先生にお付き合いして頂いた」
──手作り
その衝撃の事実にも心臓が止まりそうになったが、何より佐助の目を惹き付けたのは
「…美味い。…甘い。……さっきは、確かに苦かったはずなのだが…」
そうトリュフを口にし、しきりに首を傾げ、
…だがその頬は薄紅に染まり、きまり悪そうに笑う、彼の姿であった。
初恋という名の隠し味
‐2012.2.14 up‐
読んで下さり、ありがとうございました!
バレンタイン企画お題は、【
biondino
】様から拝借、感謝^^
せっかくのバレンタインなのに、甘くないですね…うぅ(;_;)
旦那、実は焼きもち妬いてた…って、分かんないですよね;
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