安息に涙す1


佐→幸に始まり、佐幸オチ。慶次、捏造脇役少し。(大学生)
佐助が主で、喋りまくり。
全てを無視すれば、ハッピーエンドのはず。

・暴力的描写・トンデモ設定
・無理やり感・低知識の露見
・微々々破廉恥(当サイトにしては;)
・軽ストーカー的な描写。

破廉恥いうか、佐助が旦那に対して悶々する感じです。
あと、旦那も健康な人間…お許し下され。

シリアスでもなくギャグでもない、何やら歪な話です…。

心意気は、盲目な純愛のつもりだったんですが、…すみません。

乱文ひどいです。散りまくり。


(全5ページ)・最終ページは短め。















「──あの事件さ、やっぱ犯人の一方的な思い込みだったらしいよ」

「えー、可哀想…。彼氏が生きてたら、助かってたかも知れないのに」

「その彼氏の自殺もさ、そいつがやったんじゃねーかって噂だぜ?」

「そうそう。…でさ、彼女刺した後、その血を身体中に塗ったくってたんだって…犯人。しかも、全裸で」

「いやっ!何それ、気持ち悪い!無理!」

「お前、何でそんな詳しんだよ」

「やめてよ、も〜…ご飯のときにする話じゃないよ…」


(………)


──ちょうど、自分の後ろのテーブルに座っていた男女のグループ。

…嫌でも、会話が聞こえてくる。


佐助は手を止め、半分ほど食べ残した盆を返し、食堂から出た。










大学に入って、初めて気の合う友人に出会った。

…が、今はもういない。


先ほどの話題の犯人、それが佐助の親友。
被害者を手にかけた後、彼もこの世から身を退いた。

事件が起こる数ヶ月前から、彼は大学を休むようになり、


『今さ、彼女のアパートで同棲してるんだ』

と、嬉しそうに電話を寄越して来た。


彼女は別の学部だったため、あまり面識がない。他に彼氏がいるということも、知れるはずもなく。

ゆえに、『そりゃ、おめでとう』と冷やかすように言い、サボリについては咎める気にさえならなかった。
彼は優秀だったので、特に心配することもないだろう、と。

そして、幸せボケした内容のメールは、毎日のように届く。
その日も、いつものように苦笑混じりに電話を取ったのだが、


『…俺……もう、駄目だ…。分かってなかった……彼女が俺を見てくれることは、この先、一生ないんだよ…』


嗚咽と泣き声で聞き取りにくかったが、そのようなことを延々繰り返した後、通話は切れ…

すぐに彼女のアパートへ駆け付けたのだが、──全ては終わった後であった。


何があったのか、さっぱり分からない。

自分の知る限り、彼は、現実と空想の区別がつかなくなるような人間ではなかった。

しかし、そう思い込んでいただけであり、自分は彼を一つも理解していなかった──それが、真実なのだろう。

警察の調べによると、彼の痕跡は数多く見付かったとのこと。
恋人が亡くなり落ち込んだ彼女を、アパートに軟禁していたと考えられる、と聞かされた。


「ねー、知ってる?『消える』話」

「新しい都市伝説だろ?でもさ…最近、失踪者多いよな」

「あんな事件もあったしねぇ」


周りで飛び交うのは、気分の下がる話題ばかり。
常人より秀でた耳の良さを、佐助は毎日のように呪う。

…そんな鬱々とした日々から救い出してくれたのが、次の春に訪れた再会だった。













「大学、慣れた?」
「ああ!サークルも面白いし…」

「そっかそっか、良かった」

佐助は、目の前の明るい笑顔に微笑む。
昔から変わらない、大きく綺麗なその瞳。


「佐助も入れば良いのに」

口を尖らせ言う姿は、何度見ても飽きない。

なかなか頷く気になれないのは、これが見たいがためなのかも…と思うことも、しばしばである。


彼──幸村と、約十年振りに再会を果たしたのは数ヶ月前。二つ下の後輩たちの、入学式にて。

親同士が再婚した際に、数年一緒に暮らしていたのだが、結局は離婚し、離れ離れとなった。

幸村の父親は大変な資産家で、佐助の母親は初め使用人として雇われていた。
よって、佐助も年下の幸村に目上の者として接し、再び会ってもその癖は抜け切らなかったのだが。

しかし、昔のように『旦那』と呼んでも、幸村は一つも嫌な顔をしない。…佐助は、本当に救われる心地で一杯だった。

幸村が空いている日に、こうして自宅に招いて一緒に食事をする。

誰かといて心が弾む──それは、母親を亡くし、親友を失って以来、二度とは味わえないものだろうと思っていた…









(旦那…)



幸村が帰った後、名残惜しむように、彼が使った食器をシンクに置いていく。


──洗いたくない。
そのまま残しておきたい。

彼が触れた全てのものを、いつまでも。
自分一人だけのモノに。


…その異常さに気付いたとき、自分の劣情を自覚した。


本当なら、毎日会いたい。
いつも一緒にいたい。

朝から晩まで、三百六十五日。掛ける倍数は、どちらかの寿命の年数。
常に離れることなく、すぐ傍に。

会うと、世界が変わったように歓喜と優しさに溢れるのに、別れた後は、真逆の感情に頭から呑み込まれる。
醜悪で劣悪な、幸村には最も似合わない負。陰。汚濁。


佐助は洗い物を終わらせると、すぐに浴室へ向かう。

シャワーを流しっ放しにしながら、欲望を吐き出す。…何度も何度も、繰り返し。

終いには、苦痛になるほどに。

大いなる罪だと理解していた。
さらに思い知るため、決して快楽を最後に得てはならないと、言い聞かせながら。


(…だ、んな…、…ッ)


涙が滲む。

心と身体の痛みに、全てがバラバラになり、広がり、離れていくようであった。


(…消えたい…)


自身の有り様を映した鏡を、遠い世界を見る目で眺め続けた。

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