猿飛さんは闘病1
「金吾さんの奮闘」と、
「真田さんと共闘」の続編です。初見でしたら、そちらからどうぞ〜。
連載最終回。金・佐→幸・吉・三・就・天海。
天海様の薬で、外見が入れ替わってしまった金吾と幸村。(幸村総受けのつもり)
視点文体やめて、ほとんど会話です(TT)
今までのまとめを、会話でやっちゃった…みたいな(--;) 上記以外の他キャラについては、そんな扱い。
金+幸、三+幸、佐+就、金+天、佐→幸。全て自己満足&完結。
最後まで佐助は残念です。ホント、すみませんでしたm(__)m
(全4ページ)
客間としても使える広い部屋に布団を並べ、幸村と金吾は、まったり過ごしていた。
「猿飛さん、遅いですねぇ。まだお風呂かなぁ」
「『煩悩を断ち切ってくる』と言っておってな…恐らく、外に走りにでも行ったのではないかと。また、高い服や靴に魅せられたのでしょう」
「へぇ…(猿飛さん、そういうの我慢するんだ…)」
(幸村の見かけの)金吾は、意外そうに頷く。
それより、と(対し金吾の外見の)幸村は、彼のクラスで、無事に過ごせた今日の様子を話して聞かせた。
「あ、僕の方なんですけど…」
「おお、そういえば!」
「えっ?」
驚く金吾に、幸村は思い出したかのように、
「『スター特集』の取材!協力せずに、申し訳なかった。全て答えまするので、何でも質問して下され!」
(あ…)
この出来事のあまりの奇異さに、すっかり忘れていた金吾である。
「いえ、もう大丈夫ですっ。天海様の言った通り、今日一日で真田さんを取り巻く環境は、よく分かったし」
「そう…でござるか?」
「はい」
と金吾も、今日体験した話を彼に披露した。
「本当にごめんなさい…怪しまれてはなかったけど、沢山変なことしちゃって」
「そんなことはござらぬ。よくやって下さった。大変だったろうに」
幸村には佐助がいたが、金吾は一人きりだったのだ。きっと、想像以上の緊張に見舞われたに違いない。
幸村は、そのことにも責任を感じていた。
「いっ、いえ!というか、僕のせいで」
「いや、元はといえば、某が取材を受けなかったゆえに」
「(…それは、猿飛さんの妨害のせいなんですけど)」
「誠に申し訳なく…」
頭を下げる幸村に焦る金吾だったが、しばらくして上がった顔にホッとし、
「…真田さんは、本当に『スター』なんですね」
「え?」
「あ、」と、金吾は詰まるのだが、
「えと、…──僕嬉しかったです、そんな風に心配してもらって。それだけじゃなくて、前から、三成くんたちに対しても…」
「ああ、いや…」
自分の顔に、頬を染め嬉しそうに言われ、またも妙な気分になってしまう幸村だった。
「僕、真田さんを誤解してました。入れ換わって迷惑かけちゃったけど、…ちょっと嬉しかったな。猿飛さんの気持ちも、少し分かった気がします」
「え?」
幸村が不思議そうにすると、金吾は「えへへ」と笑い、
「真田さんが優しくて良い人だから、大好きなんですね。それで、いつも一緒にいたいんだ…猿飛さん。それに、伊達さんや前田さんたちも──怖くて変な人かと思ってたけど、真田さんの前じゃ優しいし、」
「は、…」
『大好き』他、あまりの褒め言葉のオンパレードに、幸村は目を白黒させる。
「…でも、一つだけ分からないんですけど…」
金吾はおずおずと、
「家康さんのこと……どうして、嫌ってるんですか?」
「──…」
『徳川殿は、卑怯な方ではない…優しく、心も器も大きい…』
金吾のあの啖呵が浮かび、幸村は眉を寄せる。
それは嫌悪ではなく、自責の表情だった。
「小早川殿のあの言葉…あれは正に、某の抱いていた心そのものでござる」
「え?」
「実は…」と、幸村は理由を話し始める。
嫌っているのではなく、本当は家康を心から尊敬し、憧れているという事実を。
──だが、同じ師である信玄へより近付く彼の腕や姿に、言うなれば、嫉妬の感情に飲み込まれてしまい…
つい、そのような態度をとってしまうのだ、と。
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