金吾さんの奮闘1


連載@〜B (金吾は全て登場)

@天海、佐助、幸村。三成が少し。
A孫市、政宗、(捏造含む)脇役他。
B慶次、家康、元親。

心意気は幸村総受け。


前々からやりたかった、完全なる自己満足・欲望話。よくある、チェンジネタです;

現代パロ「金吾さんの受難」の設定世界。
(読んでなくても大丈夫かと)

よって、佐助の頭は残念。
他にもあまりに多く、お先に全て謝っておきます…m(__)m

出したいキャラが多くて長くなりそうなので、連載という形にしました。やり取りが多い予感。(完結済み)

【真田さんと共闘】(旦那視点)に続きます。長過ぎてごめんなさい;


(全6ページ)













唯一の落ち着ける場所。僕は、いつものようにそこにいた。

禍々しいオーラを放つこの部屋には、僕の苦手な彼らでさえ、近寄らない。
だから、僕にとっては一番の癒しの空間なんだ。


「天海様、今は何の薬を作ってるの?」


この学園の教師で、お坊さんでもある彼。僕の家の法要関係は、昔から、彼に全部お世話になっている。

僕の、数少ない友達…(かなぁ?)

とても頭が良くて慈悲深い、お坊さんの鑑みたいな人。
漢方とか草花に詳しくて、風邪や怪我によく効く薬とか、簡単に作れちゃう。


「ああ…大地に真っ赤な花を大量に咲かせる薬です。何の役にも立たない物で、お恥ずかしい…」

「ううん、そんなことないよ!すっごく綺麗だと思う。完成したら、見てみたいなぁ」

「ありがとうございます。ええ、その際は、是非金吾さんに撒いて頂こうかと…ククク」

(調薬中で)マスクをしているから口元は見えないけど、笑ったみたい。


「ところで金吾さん、何かお悩みが?」
「うん…」

僕の悩み、それは…


────………


『金吾、次の特集は、こいつに決まった。早速、調査だ』

『…これ、僕より、あの人が…』

『無論、そうした。だが、甘かった…奴が、こいつのプライベートを他人にさらすわけがないし、周りが興味を引くネタなど渡すはずがなかったのだ』

『うぅ…きっと無理だよぉ。絶対邪魔して来る…』

『うるさいッッ!とっとと行けぇ!また、つまらぬネタを出せば、今度こそ容赦しない──分かっているだろうな…!?』

何度見ても慣れない、三成くんの怒りの形相に、慌てて逃げ出した。


────………


新聞部の下っ端である僕。
またも、『学園のスター特集』に、取り上げられる予定の人物の調査を、任ぜられた。


対象は、『真田幸村』さん──同じ新聞部の、先輩。

前回・前々回とともに、彼に関わる人物たちの調査で、ひどい目に遭った。

あんな思いは、もう二度と嫌だというのに。


「実は…。ある人のことを知りたいんだけど、ものすごい障害(猿飛さん)のせいで、全然近付けないんだ」

「おや、それは…」

(金吾さんも、とうとう恋を。それも、ライバルまで…)


天海様が嬉しそうに笑ったから、「?」と思っていると、


「では、良い物がありますよ。…これを」
「アイス?」

どこから出したのか、ワッフルコーンに入ったピンク色のアイスを、二つ見せられた。


「アイスと同じ味と食感を極めた、新薬です。溶けないのに、冷たいんですよ?」
「すごぉい!これが薬?どんな?」

「それは後からのお楽しみ…。さぁ金吾さん、どちらでも良いので舐めて下さい」
「?…こう?」

「ええ、結構」

そう言うと、天海様は僕が舐めた方に、小さなハートのシールを貼った。


「こちらを、その方に食べて頂き、金吾さんはそちらを食べて下さい。ただし、先ほど金吾さんがしたように、その方にもそれを一舐めしてもらって…」

「ええっ、どうして!?僕が舐めちゃったのを食べさせて、僕は向こうが舐めたのを!?…えぇ〜…」

「必要な過程なのですよ、DNA情報を──…金吾さん、嬉しくないのですか?」

「嬉しいわけないじゃない…ばっちぃ…」

「おやおや、さすがは金吾さん。…純粋無垢でいらっしゃる」

よく分からなかったけど、天海様は時々難しいことを言うから、その類いだと思った。

気が進まない方法だけど、それで楽に真田さんのことを調べられるなら、大した苦じゃないかぁ…。


「効果は一日で、それからは元通りですからね」

…二人きりになれる運でも、上がる薬かな?
そんな風に思いながら、早速明日試してみることに決めた。











──翌朝。



(いつ舐めてもらおう…)


考えながら、新聞部の部屋を掃除していると、


「──おお失礼、小早川殿!」
「!!…真田さぁん!」

ドアが派手に開き、願ったりの遭遇。


「ど…どうしたんですか?」
「いや、前に忘れ物を──ああ、あった!あり申した」

真田さんは笑って、忘れ物とやらをバッグにしまい、

「相変わらず幽霊部員で、申し訳ない。某も、致しまするので」
「あ、いえ!もう終わりましたから…──あの、猿飛さん…は…」
「日直でな、職員室に」

「さっ、真田さんっっ!」

何というチャンス!僕は、アイスを差し出し、

「食べて下さい!」
「なっ?小早川殿、学校でこのような──」

「(ぅああ、しまったぁ!)えぇっと〜…朝!来るときに、新作の試食品だって、無理やり渡されて…!」

「こんなに朝早くに?」

「な、何でも…新装開店とかっ?で、すごく人気のお店らしくて、今日は特別早くにオープンみたいな──」

「何と…。そういう事情であれば、致仕方ない。溶けてしまうし…食べ物を粗末にしては」

「ダメですよね!どうぞぉ!」

と、僕はアイスを持ったまま、彼の口元へ。

真田さんは甘い物好きだから、特に不思議がることなく、「あーん」してくれた。


──ペロリ


(よしっ)


「あーー!!」
「む!?」

真田さんが舐めたのを確認すると、彼の後ろを指差し、叫んだ。

彼が振り返った隙に、二つのアイスを交換!


「ご、ごめんなさいぃ…虫かと思ったけど、見間違いでした」
「ああ…。──二つも、もらったので?」

「はい。それで、一つ食べてもらおうかと」
「なるほど」

全く疑うことなく、真田さんはパクパク食べていた。

僕も、急いで食べる。せっかくのチャンス…猿飛さんが来る前に、やっておかなきゃ!


(う〜ん、普通に美味しいなぁ…。ストロベリーかな?)


薬には全然思えないまま、完食した。

どうなるのかな、と少しワクワクしていると…


(あ……れ……)


急に眠くなって来た。

気が付けば、真田さんがソファに倒れている。


「さな…だ、さ……ん」


どうしよう、と彼を揺すろうとしたけど、さらなる睡魔に襲われ、そのまま力尽きてしまった。

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