学んだ悪魔1


特殊パロ。ハロウィンに、無理やりこじつけた珍妙もの。
一度やってみたかった、同属コミュニティ。自己満足世界m(__)m

主に出るのは佐助。佐幸のはず。
幸村は、後半でやっと出番…です;
ギャグほのぼの、のような。

他、出番は各々多かれ少なかれ、

信長/光秀/お市/半兵衛/三成/吉継/(長政)/(秀吉)/家康/政宗/元就/かすが …が登場。

()の二人は、台詞なし。

家康も、政宗曰くの健康な男子になってしまいました(^^; 設定は、中高生。

乱文散文、ごめんなさい;


(全3ページ)













ここは、闇の国。


人間の世で言う、悪魔・ゴースト・死神・モンスターその他、そんな、ダークで変わった種族が集まる、少し血生臭く、常に混沌とした世界。
最近では、こちらも人間社会と同じく、西洋の文明が増え、種族も多様化を見せていた。

彼ら仲間に、このような安息の刻を与え続ける現王・織田信長。

玉座に座り続ける毎日に飽きたらしく、次期王をさっさと決めてしまおう、と側近の明智光秀に相談したところ、


「では、現在いる王の直近の部下たちに、選抜試験でも受けさせましょうか」

「ほう?どのようなものか、申してみよ」

「最近、庶民の間で流行している祭りがあるのですが。人間たちも、同じように浮かれているようです」

「祭り」

「ええ。西洋の、盆のようなものらしいですよ。その日は、私たちのような者が人間世界にいても、そう目立たないはず。何でも、悪戯をしても罰せられないそうで…」


信長は、適当に説明を聞き流し、「是非もなし」といつもの十八番で、話をまとめさせた。











猿飛佐助は、大いなるチャンスだと、ほくそ笑んでいた。

王の部下の中で、一番位が低い自分。
普段から雑用ばかりやらされ、日々の暮らしに、心底うんざりしていたのだ。


光秀が打ち出した試験は、

『人間界にいる、光の性質を持った魂の捕獲』

闇と正反対の魂は、その分、堕ちれば強力なモンスターへと変貌する。
持ち帰った後で、魂同士を闘わせ、勝ち残った者が次期王になるというわけだ。

優勝できずとも、最下位にならなければ、今の状況からは脱すことができる──佐助としては、願ってもない機会。


ライバルたちは、四人。

王の妹・お市、竹中半兵衛、石田三成、大谷吉継。

お市以外の三人は親しい間柄であり、こぞって自分をこき使うため、佐助は常に孤立、忙しさも半端ではない。


「では、この中からターゲットを決めて下さい」

光秀が、五枚の写真を差し出した。
彼らの魂の力は、五分五分とのこと。帰ってからの育成で、勝負が決まる。

いつものように、立場の強い半兵衛がまず選び、次にお市、三成…と決まった。


「俺様、余りもんで良いよ。大谷さんは?」

「我も、どちらでも」

では、と光秀が、残りの写真を二枚ずつに増やし、

「二人は好きな方、もしくは余った方を、持ち帰れば良いでしょう」


写真には、頭の良さそうな細面の少年と、金髪の美しい少女の姿が写っていた。


「…ああ、それと猿飛さん」

「はい?」

「あなたにはいつも通り、他の方の監視もよろしくお願いしますよ。人間界で、面倒を起こさないよう」

「…へーい…」

光秀の念押しに、こりゃ自分の捕獲が終わるのは一番最後だな、と諦めの息をつく佐助だった。













都合の良いことに、五つの魂は、ある一つの場所に集まっていた。

今晩が、光秀の言っていた、例の祭り──『ハロウィン』の夜である。

ターゲット五人が通う学校が、西洋の宗教系であるからか、今日は中・高、全生徒が集まり、その祭りが催されていた。

ハロウィンの飾り付けが綺麗になされた、高校の広いグラウンドで、様々な仮装をした生徒たちが楽しんでいる。

衣装は大変凝っていて、一見だけでは、自分たちの国の様子とそう変わらない。

奇妙な気分を味わいながら、佐助は他の四人の動向を窺っていた。


「お市様、首尾はどうですか?」

ピョン、とお市の肩に乗り、尋ねた。佐助は、黒猫の姿に変わっている。


「猿飛さん…」

常のことだが、どこかぼんやりした風の彼女。…だが、いつもと何かが違う。


「あれ?何です、その布」

お市の脚を見ると、黒いマントのようなものが巻かれていた。
彼女は、魔女の姿でこちらに来ているのだが。
他の人間同様、スカートの短い──


「あの人に、巻かれて…。『その短さは悪、風紀の乱れ』…なんだって」

と、見た目は好青年なのだが、周りに「悪だ!」「削除する!」「刮目せよ!」などと、わめき散らしている煩い男を示した。

──お市の、ターゲットである。


「悪っていうか…悪魔ですけどね」
「この子たちのことを見ても、全然動じなかった」
「へー…──てか、見せたんすか!?」

お市の影から、彼女を守るように、うぞぞぞと飛び出た黒い手。

佐助は、慌てて引っ込めさせる。


「お友達なの、って言ったら、『私にはいないので、羨ましい。これからも大事に』って」
「はぁ…」

「国でも、そんなことを言う人は、いなかったから…」


(……?)


佐助は、間近に見える彼女の横顔を、不思議な気持ちで眺める。
──やはり、いつもと違う色に見える、その頬。


「…決めた」
「え?」

彼女は、突然呟いたかと思うと、


「市、あの人の傍にいる…。国には帰らない…」

「は、ぁ──?」

しかし、お市は佐助を無視したまま、彼のもとへと進む。


佐助は、途中で彼女の肩から降り、様子を見ていたが…


(…知ーらない、っと。説得すんの、面倒くせーし。ライバル減るし、好都合じゃん。彼女が後でどうなっても、関係ないわ…)


そう思うのだが、二人が話し、ぎこちなさそうに笑う姿に、何故か頭や胸が曇る。

首を傾げつつ、他の者のもとへ急いだ。











「竹中様、もしかして、もう捕まえられたので?」

ターゲットの人間と親しげに話す半兵衛の肩に乗り、佐助はコソッと尋ねる。

半兵衛は吸血鬼の格好で、とても板についていた。


「ああ、佐助くん。こんなところでも、ご苦労様」

労う言葉はいつも優しいのだが、彼が一番人使いが荒い。

ターゲットの彼は、半兵衛に飲み物を取って来ると言い、立ち去った。


(小型モンスター並みの、デカさだな…)


どこから見てもすぐ分かるほどの体躯を、呆れたように見送る佐助。


「彼は、相当な魂の持ち主だ。育成次第では、今までにないモンスターになるだろうね」
「へえぇ…」

予想はしていたが、次期王はやはり半兵衛か、という考えがよぎる。


「でも、彼には勿体ない」
「は?」

半兵衛は、素晴らしく綺麗に微笑んでみせると、

「彼は、王になるべきだ。闇の…ではなく、こちらの世界の。あんな暗くて小さな国など、彼には似合わない」

「へ……っ?」


「佐助くん、僕は決めたよ。こちらに留まり、彼を王者にする。…ああ、こんなに心が高揚するのは初めてだ。待っていて、僕の秀吉…」

「え、ちょ、ちょっと…」

恍惚の表情で、半兵衛は彼の方へと吸い寄せられるように、歩み寄っていく。

………………


(うっそー…二人もかよ…。これ、俺様の責任じゃねーよな?だって、あの二人に逆らったりできねーしさ…。とりあえず、問題は起こってないし…まだ)


帰れば、王の選抜どころではなくなりそうだ、と少し冷や汗が出てくる。


それと、あの半兵衛をそこまで惹き付ける人間に──と言うか、その要因となったものは一体何なんだろう、と少し関心が湧き、またもや首をひねるのだった。

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