真実の愛1
※バッドエンドではありません(^o^;
佐+政→幸 で、幼児〜高校生くらい?まで
※捏造第三者(語り手)、少々痛い暴力的表現あり。
佐助が、黒まではいかないですが、グレーな感じで、ちょっと気持ち悪!って思うかも知れません。自分的な『盲目さ』のつもりでして、決して悪気はないんです…っ(@_@;)
何じゃこの展開はという、オチもよめまくりの、乱々文m(__)m
(全4ページ)
──突然ですが……
僕は、いわゆる『天使』というものをやっています。…まだまだ、駆け出しなんですけどね。
人間界とは違う時間の流れの中、やって来た、昇進試験の時期。
もう数度目の挑戦。今度こそは合格して、レベルを上げたいところ。
今回の課題は──『真実の愛』
…僕が目を付けたのは、ある男の子。
彼ならば、きっとそれを与えられるに違いない。そう思い──
その人生を追い、受ける愛の見極めをすることに決めました。
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
「おやすみなさい、さすけ、まさむねどの」
「おやすみ、だんな」
「ゆきむら、ぐんない」
「…夜じゃないけどね」
「うるさい」
「すーすー…」
「…だんなカワイイ」
「お前の顔、こないだ見たテレビの奴に似てる」
「おれさまカッコいいからね」
「(…ストーカー…とか言ってたっけ、あのテレビ)」
…ある保育園の、お昼寝タイム。
僕が対象にしたのは、天使の自分から見ても可愛らしい、この子──幸村くんだ。
既に、沢山の人から愛されてる。
…でも、そこで『真実』のものを受けてもらわなきゃ。
悪いけど、ちょっと試させてもらいますね…
───………
「…け、さす…け」
「ん……なに、だんな…?」
「──、ぅ……」
「!?どしたの…!?」
「しぃぃ…!」
幸村くんは、泣きそうな顔。
…無理もない、それを卒業して、大分月日が経っていたんだから。ショックは相当なものだろう。
「も、しかして…おネシ」
「……っ!」
真っ赤になって、佐助くんの口を塞ぐ。
「…ど……しよ……」
ふるふる震える幸村くん。
…こんなときに不謹慎だけど──
か・わ・い・い…!!
ごめんね、それは僕の仕業なんです、ホントにごめんね…!
ここで、彼の愛を確かめるために…
「だんな…」
「さ…け…っ、う、ぅっ…」
「──…助けて……ほしい……?」
……あれ?
佐助くんの顔が、何か…
「…っ!んっ、さすけ、たすけて、くれ…っ」
「…何でも言うこと…──きく?」
こくこくと頷く幸村くん。
「…じゃあねぇー…」
うっとりとした顔で、佐助くんが何か言いかけると──
「ゆきむらっ、大丈夫だ!」
「まさむねどの!?」
いつの間にか起きていたらしい政宗くんが、幸村くんのパジャマのズボンを引っ張っている。
「…ちょっと…何して」
「これ脱げ、早く!」
「えっ?」
「は?」
政宗くんは、自分のパジャマを脱ぎ始めると、
「ほら、これに着替えろ!おれがそれ着て、そっちに寝るから。早くしろよ、みんなが起きる前に」
「えっ、えぇぇ…!?」
「パンツもだぞ」
『バシャーン』
「──……」
「…ま、まさむね…どの」
「──それで良いでしょ?」
と、佐助くんはプラスチックのバケツを置いた。
幸村くんは、びしょ濡れになった政宗くんを青ざめた顔で見た後、
「さすけっ、なぜ──」
また呆然とする。
…佐助くんは、自らも水を浴びていた。
「──これで、はずかしくないね、だんな」
佐助くんがニッコリ笑うと、かなり過ぎてから、不器用な感じながらも、幸村くんは笑った。
それを横から見ていた政宗くんは、クシャミをした後、安心した顔で息をつく。
……自分的には、なかなかの『愛』だと感じられた。
──けれど、こんなものだけじゃ、合格ラインには足りないんです…
あれから何年も過ぎて、小学校高学年になった幸村くんだけど…
ここでまた一つ、真実に近い愛を受けてもらいたいところ…
───………
「──おい。そろそろ、くたばったかぁ…?」
「……」
「……」
…今、幸村くんが気を失っていて、本当に良かった。
ボコボコに殴られ蹴られて、無残な姿になった佐助くんと政宗くん。
こんなの見たら、泣きわめくだけに留まらず、きっと歯向かって行って──無事では済まされないだろう。…今の時点では、の話だけど。
…唐突ですが、三人は、悪い男の人に誘拐されてる最中。
本当は、幸村くんだけが狙われてたんだけど、さすがはこの二人──ものすごいしつこさでしがみ付き、一緒に拉致された。
「……て、……い」
「あー?」
「…す……け、て……だ、さ……い」
「──初めっから、そう言やぁ良かったんだよ」
「…ねが……ま…す…」
「そうそう、子供は子供らしく、大人の言うことを聞くもんだ。…大丈夫。約束通り、こいつはお前らみてーに殴ったりしねぇから」
男は、奇妙に優しい声になり、眠る幸村くんに近付く。
「……んな…」
「ゆ…き……」
「何べんも言ったろ…?
──可愛がるだけだ、…ってな」
男は幸村くんを抱えて、埃の積もるボロボロのベッドに乗った。
…そんな汚い場所でも、彼はすごく綺麗なままだ。
──白い肌が光る。
「──う……ッ!?」
突然、男がくぐもった声を上げ、驚いて見ると──
彼の首に細い腕が。
手首をロープで縛られた佐助くんの腕。
後ろ手に拘束されてたのに、どれだけ柔らかい身体なんだ…、前に回して、輪の状態のまま、男の首を抱え込んでいる。
「な…ッ、か…っ!」
佐助くんの足首は血まみれ。
そして、政宗くんの口元も。
政宗くんが、佐助くんの足のロープを食いちぎったらしい。
佐助くんは、全体重を錘に、男の首を引く…
その間に、政宗くんは点いていたストーブの火で、手首の楔を解放した。
転がっていたガムテープで、男の手足を拘束し、床に転がす。
椅子の足が上半身の両側に立つようにし、簡単には動けなくした。
…佐助くんの両手も、もう自由だ。
何をするのかと思えば、男のズボンと下着を脱がせ──
「ねー…おじさん、見えるかなぁ…?…ああ、椅子があるから邪魔かぁ」
「見えねー方が、まだ怖くねぇぜ…?」
「俺様たち……優しいでしょ」
佐助くんが、男が使っていたナイフを彼のポケットから取り出す。
「……ヒ……ッ!」
男の顔と目が恐怖に歪み、涙がこぼれる。
「このくらいの報復は、当然だよね…」
「二度と、同じことできねぇようにしてやらぁ…」
───………
パトカーのサイレンがこだまする中、二人はよろよろしながら幸村くんをどうにか抱え、家に帰った。
──ナイフは、血を浴びていない。
男は、脚の付け根近くの床に突き刺さった音で、失神した。
彼らの顔は、今、本当に綺麗に輝いている。
言うなれば、人間界に建っている天使の像のよう。
…僕は、感動した。
彼らの愛をもっと見てみたい。
こんなに心が高揚したのは、初めてだ…
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