ファーストは誰のもの?1
幸村総受け、高校生〜幼稚園パロです。
幸、政、就、慶、佐、親 で、佐助はちょっと出番少なし;
(全3ページ)
楽しい遠足の、帰りのバスの中で…。
一番後ろの席の真ん中には幸村、その両隣には佐助と政宗、彼らの隣…つまり一番両端に、慶次と元親は座っていた。
元就はクラス委員のため、一番前に座っているのだ。
いつもの彼らの、幸村を奪い合う醜い争いをなだめる一日を終え、元親はやれやれと目をつむろうとしたが…
「……元親殿」
いつの間にか政宗と幸村の場所が入れ替わっており、すぐ隣にいた彼。
「お?どした…」
と、見てみると――仲良く眠りこける、他の三人の姿。
(あーあー…)
「よろしければ、代わって頂いても?某、ちょっと外が見てみたく…」
「あ、おう。構わねーよ」
可哀想に、行きでも彼らに挟まれていたせいで、少しもそれを堪能できていなかったのだ。
すみませぬ、と幸村は、閉められていたカーテンの中へ顔を突っ込んだ。
車内は静か――他の席でもほぼ同じ状況。
陽射しを嫌う、前の席の女子生徒によりなされていた行動。
バスの揺れが心地好く、元親も段々船を漕ぎ出し、隣の幸村に傾いてハッとする。
「すまねえ、つい――」
だが、幸村は顔をカーテンに入れたまま…
弛緩しきった腕が膝に投げ出されている。
(…だよな)
あのしつこい奴らを相手に、疲れぬはずがない、本人にはそのつもりはなくとも――
元親は幸村に近付き、カーテンに手を掛けた。
◆◇◆ 初○○の話 ◆◇◆
*政宗のケース
「…幸村、ちょっと相談があんだけどよ…」
「政宗殿?」
幸村は、少々身を硬くした。
政宗の、見たこともない真剣な顔。…思い詰めているような。
お互いライバル視し合って、彼が自分に向ける表情や態度は、いつも挑戦的な…ときには馬鹿にするような、そんなものばかりだというのに。
小学校の最高年も終わりに近付き、政宗はグッと大人っぽくなっていた。
そこも、密かに悔しいと思わされる一つになってはいたのだが…。
「実はよ…、俺、今彼女がいんだよ」
「――!?」
叫ぼうとした幸村の口を、政宗はすぐに押さえる。
「…Safe。――他の奴らにゃ、言うなよ?」
「……っ!」
こくこく、とすごい勢いで首を縦に振る幸村。
「――で、彼女…年上でよ。…中三」
「……はあ……」
もう、何も想像できない幸村。
目の前の友人がさらに大人に見え、緊張はますます強まる。
「……俺、カッコ悪ィとこ見せたくねぇ…。――だから、協力してくんねーか?」
「協力…?」
首をひねる幸村に、
「ああ。…どうだ?」
と、政宗は近付いた。
「は、あ…。某で手伝えることがありましたら、何でも…」
だが幸村は、「あっ」と、
「いえ、政宗殿!…某、やはりお役に立つとは思えませぬぞ!?こういった話は、慶次殿に――」
……その先の台詞は、政宗の唇の中へと消えた。
「――遅い。…一旦OKしたんだ、訂正は受け付けねぇ」
「――……」
「…よし、もう一回」
その言葉にようやく覚醒した幸村は、
「え…!?なっ?」
「だから、練習させてくれって。彼女にするとき失敗するなんざ、あり得ねーだろ?」
「は……あっ?」
「おい、手ぇどけろ。お前を口の硬い、男の中の男と見込んで頼んでんだよ…なぁ」
「いや、しかしっ…」
「女相手じゃねんだから良いだろ〜?なあ」
「某、誓って話したりはしませぬが、そのっ」
「あー、だからお前の口の硬さは……まぁ、実際は柔らかかったが…」
机の間をガタガタやっていると、見回りに来た教師によって、事態は収拾された…。
―――………
「――可哀想、現実と妄想の区別もつかなくなってたなんて…その頃から」
「Ah〜?…ハッ、別に良いぜ、好きに思ってもらって。事実だしな。…テメーが知らねーってこたぁ、アレだろ。俺との思い出を自分の胸の中だけにしまっときたくて」
「…忘れたかったからだろ?」
「慶次、面倒だから、そのまま夢を見させておいてやれ」
「ふん!――じゃ、次はお前の番だぜ?」
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