おれさまとだんな2
次の日の朝。
「…Ah?ゆきむらはぁ?」
「お休みだよ。…誰かさんが毎日いじめるせいかも」
「Haー?――あいつ、…病気?」
「…あのさあ、ちょっと聞きたいんだけど」
「――何だよ」
「アンタって……だんなのこと好きなんだよね?」
「――!?」
政宗は、びっくりし過ぎたのか何も言わないから、おれさまは続けた。
「好きだからいじめるんだってね。だんなに構って欲しいんでしょ?髪のことも、本当はただ触りたいだけなんだよね?すっごくキレイな髪だもんね。んで、顔だって、本当はすっごく可愛くて好きだなーって思ってるんだよね?」
政宗は、真っ赤になってプルプル震え出した。
「な…ッ、だッ――」
「え、何?」
「…誰が…!あんな奴!!…好きなもんか!大っきらいだよ!!」
「…えぇ!?」
「きらい!大きらいだ!だからいじめるんだ!好きなんかじゃねー!」
「え、ちょっと…」
「うるせーうるせー!俺は、さなだゆきむらなんか、だいっきら――い……」
急に、政宗の声が小さくなった。
――教室の外に、だんながポツンと立っている。
「だんな、おねつは…」
「ははうえが、もう平気だと…」
しゃべったのと同時に、だんなの目から涙がポロポロ落ちた。
「あ…ゆき――お、俺…」
政宗が、…こっちも何か泣きそうな顔をしておろおろしている。
「だんな、あのね…」
「――る」
「え?」
「…らいでござる…」
「Hey…」
だんなは、ぼろぼろ泣きながら、
「…まさむねどのなんか――ゆきも、だ、だいっ……だいっきらいでござらぁぁああー!!」
ピシッと、政宗の中で何か砕けた音が聞こえた。
だんなは、わあわあと園中に響く大声を上げながら走って行く。
「…だーんな」
「ざッ、ざずげ!」
だんなは、運動場の隅っこにあるタイヤを積んだ隠れ家に入って小さくなっていた。
涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃだ。
そうだろうと思って濡れタオルを持って来てたんだけど。
「さすけ…まさむねどのが…。うっ」
「うん、ごめん。おれさまのせいだ」
「!?さすけはわるくない!どうして」
「…だんなが政宗にいじめられるのがいやでさ。どうにかしようと思って。話して分かってもらうつもりだったんだけど…」
「さ、さすけ――」
おれさまは、だんなをギュッとした。
…泣いたせいもあってか、いつもより温かい。
「ごめんね、だんな。…悲しかったね。こんなことも――あるんだね。おれさまもびっくりした…」
「…さすけ」
「でも、おれさまはずっとだんなが好きだから。…だんなが誰にきらわれても、おれさまだけは絶対大好きだから。おれさま、誰よりもだんなのことが一番、大大大っ好きなんだよ?」
「さす」
「政宗がきらいって言ったのがアリくらいの大きさだとするでしょ?なら、おれさまの好きは、宇宙くらい」
「ぷっ…」
だんなはやっと笑ってくれて、
「へんだぞ、さすけ。アリなら…ゾウとかだろう?」
「だって!ゾウなんかじゃ小さいもん!」
宇宙が一番大きいんだよ、だんな。それに、真っ暗でしょ?
おれさまにぴったりだよ。
「ゆきも……だいだいだいだいだいだいだいだい――だーい好きだ!さすけ!!」
だんなが、おれさまに上から飛びかかってきた。
おれさまは思いっきりお腹をつぶされたけど、あのとき以上にすっごくあったかい気持ちでいっぱいになって。
政宗に、お礼すら言いたい気分。
昨日、あれからおれさまはたっくさん考えて、考えて――
だんなが夜おねつを出したって聞いてすぐそのことはどうでも良くなったんだけど。
朝、本当はだんなのお母さんから幼稚園には遅れて来るって聞いてて。…思い付いて。
――で、だんなが教室に来る時間もちゃーんと計算してて。
そして、政宗に話をした。
わざと…あんな風に。
実際やってみるまでどうなるか少し不安だったけど…
(上手くいって良かった!)
み
ー
ん
な
政
宗
み
た
い
だ
っ
た
ら
良
か
っ
た
の
に
な
。
そ
う
す
り
ゃ
だ
ん
な
は
お
れ
さ
ま
の
こ
と
だ
け
が
好
き
に
な
る
の
に
。
‐2011.6月上旬 up‐(当サイト公開 2011.6.19〜)
あとがき
読んで下さり、ありがとうございました♪
まーくんが不憫とは思いつつ;
バレなきゃ佐助のせいじゃない。
乱文すみません…!初短文で…いや、言い訳にもならない;進化してない現状;;
もっと可愛い幼稚園パロしたい。ひらがなの使いどころが分からぬ(+_+)
半兵衛先生の口調がおかしいのは、幼稚園児相手だからです、きっと(^^;
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