おれさまとだんな1




幼稚園パロ、佐幸。


幼児のひらがな言葉が、かなり適当。漢字がまばら。

他、政宗、半兵衛先生が少しと、慶・親・就がチラリ。三人も幸村と仲良し。


(全2ページ)













「さすけ、今日の給食は何であろうなっ」
「だんなってば、いつもそればっかりなんだから」

おれさまがクスクス笑うと、だんなもニコニコと笑う。

毎朝同じようなことばっかり話してるんだけど、全然飽きないんだよね。
だんなの笑う顔見てるだけで、おれさまはお腹の上らへんが、ぽわーってあったかくなる。

今日も、おれさまはいるんだなぁって思う。
だんなにこれ言っても、分かってもらえないんだけど。

でも、

「さすけはいつもいるではないか!ゆきといつも一緒にいる!変なことを申すな…っ」

って、どうしてか目をウルウルさせて怒られたとき、何でかおれさまは、すーげぇ嬉しかった。

だんなはテレビドラマに出てくる子供よりも子供らしいんだけど、実は人の気持ちにものすごく敏感なんだ。

すごいなぁ。
よく、「おりこうさんね」と大人に褒められるおれさまよりも、全然すごい。

今おれさまたちは、幼稚園の年長組。
当然、だんなは幼稚園でも人気者。

「ゆき〜おはよう!」
「よぉ、ゆきむら」
「おはよう、幸村」
「おはようございまする!けいじどの、もとちかどの、もとなりどの!」

他にも沢山、だんなが教室に入った途端わらわら群がってくる。
皆、友達。だんなのこと大好きな友達ばかり…



「Hey、さなだゆきむら!」

――出た。

「まさむねどの。おはようござ――いたたっ」
「なぁ〜おっ前、なーんで髪なげぇの?女みてぇ!haha!」
「ちょっと、アンタまた」

いきなりだんなの後ろ髪を引っ張る政宗から、おれさまはすぐにだんなを助ける。

「何度も言ったであろう、これはそういうものではないと!」
「そうそう。いい加減学んだらぁ?それに、慶ちゃんなんか、だんなより長いじゃん」
「Ha!うるせー!……でっけぇ目。宇宙人みてぇ。へーんなの!」

けらけらと笑って逃げ出す政宗を、若干涙目になっただんなが追いかける。

これも、いつもの毎日。



…だけど、こっちの方には、おれさまはそろそろ飽きていたところだった。











「佐助くん、何を読んでるんだい?」
「あ――半兵衛先生」

すごく若いけど副園長の半兵衛先生が、おれさまの集中力を切った。

「昼休みなのに、勉強熱心だね。なになに…って、これ新聞じゃないか。すごいな、読めるのかい?」
「うん…ちょっとだけ」
「何を見てたんだい?」
「この――『幼児誘拐犯の行方未だ不明』ってやつ」
「へぇ…(これ、読めるんだ…)」
「ねぇ、この犯人どこにいるのかなぁ…今」
「どうだろうねぇ。早く捕まって欲しいね」
「……その前に、連れてって欲しい奴がいるんだけどな」

半兵衛先生は、少し固まって、

「…佐助くん?」
「政宗ん家って、お金持ちなんだよね?」
「――どうして、そんなこと?」

普通は怒られると思うんだけど、半兵衛先生はちょっと面白そうに尋ねてきた。

うわぁ、そんなことで良いのかなぁと思ったけど、おれさまは半兵衛先生のことが結構気に入った。

そこで、おれさまは全部話した。

政宗が、だんなをいつもいじめること。
だんなは平気なふりをしてるけど、本当は時々泣いていること。
それも、

「ゆきはまさむねどのが好きなのに…」

って悲しそうにすること。

…それを聞くと、おれさまのあったかいのが全部消えちゃうこと…


「だから、じゃまだなぁって。いなくなって欲しいんだよね」
「…ははぁ、なるほどね」
「あいつ、おかしいよ。だんなのこときらうなんて。皆、だんなのこと好きなのに」
「…おや。佐助くんでも、分からないことがあったんだね」
「――えっ?」

びっくりして半兵衛先生を見ると、

「政宗くんも、幸村くんのことが好きなんだよ。…とてもね」
「…!?だって、先生――あいつ、いつも」
「(君は早熟なのかそうじゃないのか…)うーん…あのね?男の子の中には、好きな子に対して逆のことをしてしまうような子もいるんだよ。何ていうか…構ってもらいたくてさ」
「そう…なの?」
「うん。政宗くんなんか典型的だよ。でも、まぁ…あまりひどいと幸村くんが可哀想だよね。何とか誤解がとけたら良いんだけど」
「うん…」
「幸村くんのこと大好きな君なら、その気持ちは分かるでしょ?一度、政宗くんに君から話してみたらどうかな?」
「おれさまが…」


そうすれば…だんなはもう悲しまなくてすむ?


おれさまは、半兵衛先生にきちんとお礼を言った。

やっぱり、副園長先生なだけはあるんだなぁ。あんなことが分かるなんて。

おれさまは、さらに先生のことが気に入ったみたいだ。

[ 13/138 ]

[*前へ] [次へ#]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -