ようやく始まる1


雪乃様(相互様)への、誕生日プレゼント^^


三幸or家幸/付き合ってる/幸村をツンツンやくすぐったり、猫可愛がりな甘々リク

→三幸をチョイス、社会人×大学生。元親(社)が少し。

雪乃様すみません…全然猫〜甘々じゃないです(泣) 家幸のが絶対し易そうですが、明るめ三幸書くの夢だったので。でも無謀でした(^q^)
短話のイチャにしようとしたら、初心者には急なデレ三ができず(;´д`) で、こうしてみたけど、微糖で平たい話に(TT) 幸村大人しめ。乙女かも;

三成視点寄り、ほのぼの系最後は甘のつもり。服は、オシャレなの想像して下されー


(全4ページ)‥最終頁は短め













深夜零時を過ぎても、その一室の明かりは消える気配がない。
とある研究・開発を営む会社で、三成は勤続三年目になる。優秀な頭脳でもってエリート街道一直線、ほぼ休みなし、職場居住も同然の生活──…

…要するに、彼は非常に多忙な環境にいるわけであった。


「今日も泊まんのかよ?」
「…まだいたのか」
「こっちの台詞だっての」

同僚の元親が苦笑し、隣の席へ腰掛ける。差し出された缶コーヒーを一口飲むと、三成はすぐパソコンに向かった。

「お前、土曜休みだろ?何すんだ?」
「家で所用を済ませてから、午後には出勤する」
「…んなこったろーと思ったぜ」

元親は溜め息をつくと、

「うちはチームでやってんだ、お前一人いなくとも回る。いい加減ちゃんと休めよ」
「私もいい加減聞き飽きた、何度言えば分かる」
「じゃなくてよ…」

冷めた返しに、元親は呆れ顔で、

「俺らと大学生じゃあ、時間の流れが違うだろーが?その内フラれても知んねーぞ」


(…何だと)


ギロリと睨み返す三成だが、手の動きは若干鈍る。
彼には付き合って約半年の恋人がおり、会社では元親だけが知っていた。三成の性格によるものだが、相手も同性ということから、必要以上に示すのは避けているのだ。

ある大学へ特別講義に行った際に出会い、元親の手助けもあり、その関係にまで到った。
が、確かに、最近はケータイのやり取りもろくにしていない。直に会ったのは…一月前か。それも会社近くでの夕食のみ、終われば即戻った。


「あいつ聞き分け良いから、言わねぇんだろうが……向こうは、出会いも半端ねえだろ。お前よりマメであいつに惚れる奴なんざ、掃いて捨てるほどいんじゃねーか?女でも男でもよ」


(ぐ……)


確かに…この自分がそう思ったほどなのだ。──さすがに一月もというのは、あんまりだったか。らしくもなく、小さな懸念が心を掠めた。さらに、もう一週間以上は声を聞いていないのだと思い出す。

三成の手は、完全に止まった。


「……土曜は、休ませてもらう」
「そうそう、毎回そうしろって!」

元親は自分のことのようにはしゃぎ、「良いか?いつもみてーな態度はこらえてだな、ちっとは…」と、アドバイスを始める。

そんな経緯でもって、三成は久し振りに休むことになった。














『土曜──』

『…予定があるなら、』
『いっ、いえ!何もござらぬ!…驚いて』

それからの声色は、明らかに喜びに染まっていた。



(…らしくもない)


先日聞いた受話器越しの声が頭に浮かび、知らぬ内に口元が緩んでいた。三成はそれを直すと、恋人──幸村が住むアパートの前で車を停め、ケータイにコールする。

幸村はすぐに部屋から現れ、三成に会釈し、助手席に乗り込んだ。四月下旬にしては少し暑いくらいの陽気である、彼も三成と同じく軽装だった。

三成は透け感のある濃い紫のニット、ネックラインには下の黒を覗かせ、掠れたカーキ色のパンツ。幸村は、薄緑のデザインが入った白Vネックの上からグレーのジャケット、下は紺色のパンツと、何とも爽やかな装い。ジャケットは軽い素材で、よく見ると、マリン調の碇模様が同色で刺繍されていた。

とどのつまり、シンプルだが彼らのスタイルの良さを引き立てるには、充分だった。


「そういう類いも着るのか…」
「…ぅえッ」

指摘され、幸村は飛び上がるように三成を見返すと、

「へへへ変でござるか!?」

カーッと赤くなり、あぅあぅあわと口をわななかせる。

「ゆ、友人に選んで頂いたのですが、やはり」
「お前より無頓着な私に、服の良し悪しが分かると思うか?」
「へっ…」


(──…ではなくて)


ついいつものようにぶっきらぼうに言ってしまい、三成は胸中で自身を呼び止める。


『ほとんど初めてのデートだろ?今までの詫びも兼ねて、とにかく優しくしろ!しっかり掴んどくんだよ、ハートを。女だったら、まずは服装とか褒めるじゃねーか?……』


彷彿する声を、『ええい五月蝿い!』と斬りさばく三成。あの戯言に従うのではない、あくまで自発的な行動だ。だが、これで笑い者になれば、全て奴の責任にしてやるとも思いながら、

「…悪くない。定かではないが」

「……え…」

元親が聞けば、『どこが褒めてんだよ!』と怒鳴りそうなものだが、


「よかった…」

幸村はホゥッと息をつき、シートに身を預けた。汗までかいたのか額を手の甲で拭い、顔の火照りを抑えるためだろう、頬にも同じくする。


(それだけのことで…)


その仕草に気を取られ、三成はエンジンをかけるのを失念してしまう。だが、動揺は見せず、静かに車を発進させた。

信号で停まると、幸村はまだ熱そうな様子で、

「三成殿は、いつもスーツや白衣ゆえ…新鮮ですなぁ」
「…適当に買った物だがな」
「そうは見えませぬよ、良くお似合いでござる」

「──行き先だが」

また気が散りそうだったので、三成は話題を変え、幸村が行きたがっていた郊外のショッピングモールを提案した。中には様々な設備があり、友人らとよく行くらしいチェーン店の遊技場もある。

これも、『相手の好み優先でな!』という元親の言葉によるものだが、元より特に行きたい場所もないのだ。
聞いた幸村は驚いていたが、「では…」と、

「映画を観ても?」

「…ああ」

自分を思い、静かな場所を選んだのだろう。その気遣いに慈しみが湧く三成だが、同時に己への苛立ちも感じる。…元親の言う通り、やはり遠慮させてしまっているようだ。


「映画の後は、○○(遊技場)へ立ち寄る──で良いか」
「え」
「こう見えて、ボーリングもビリヤードも経験済みだ」

「…三成殿……」


(……ゔ…)


幸村は、ぼうっと夢見るような目付きで三成を窺っていた。頬は未だに色付いており、心なしか瞳が潤んでいる。


「無理は…」
「した試しもない。…お前といる際は」

「………」


幸村は黙り、モールに着くまで、車内の温度を上げっぱなしにしてしまった三成である。

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