続・学んだ悪魔2





「え〜、だれだれ〜ぇ?かっこい〜!」
「髪、もしかしてコレ地毛?」
「徳川くんの友達?」
「どっから来たの〜?」

「ちょ、ちょっと…」
「離せ…っ、猿飛貴様、話がちが…──」

「ヤダ、二人ともかわい〜!赤くなってるーっ」
「意外〜!」


(ち、違う…っての!)

(く…っ……め、目眩が…)


──なんということか、広間に入り家康が軽く紹介した途端、目立つ風貌の二人へ女の子たちが一気に群がった。

いつもよりお洒落に決めている彼女たち、化粧品などのフレグランスが、悪魔にとっては半端ない強さだ。


「ちょっ…と、座りたい…んだけど、」
「こっちこっち!座って、ゆっくり話そ?」
「…わるな、ゃ、めろォォ…」

フラフラな二人は簡単に身を取られ、華やかな軍隊に連れ去られていく。


「な、なんと…」
「Oh〜、モテモテだねぇ。つーか、あいつもshyなんじゃねーか、Haッ…」

広いパーティー会場には人が大勢で、余興や音楽に映像もある。二人の姿は、瞬く間に見えなくなった。


「Hey、そんなに俺らよりあいつらといてぇのかよ?」
「え…っ、」
「ワシら、お前と過ごせるのを楽しみにしていたんだぞ?」
「いっつも、あいつら(就・かす・黒猫)に邪魔されるしな」

「そっ、某とて、本当に楽しみで…!!」

必死になる幸村に、「jokeだよ」と二人は笑い、


「彼らのことは、ちゃんと見てもらっておくから。さ、どんどん食べて、楽しんでくれ」

「…はいっ!」

幸村はホッとした顔になり、二人と一緒にパーティーを楽しみ始めた。













数時間後…


「だ、だん、なァァ……」
「ここにいたか…」

「二人とも…!」

部屋みたいな豪華な洗面室で手を洗っていると、青白い顔の佐助たちがヨロヨロと現れ、


「…わっ?さッ…!石田、殿…っ」

「…はぁぁー……もっとー…」
「離せッ!私が先だろうが…っ」

「ちょ、ちょっと…っふ、ぁはッ…!」

佐助は幸村の服の襟元に顔を突っ込み、三成は項に鼻先を寄せる。深い深呼吸の風が触れ、幸村はくすぐったさに身をよじらせた。


「あにしてんだ、テメーら!?」
「ぃ、いぇ、気分を悪くしたようでっ!」
「それはいかんな」

「「!?」」

当然ついて来ていた政宗と家康が、幸村から二人を引き剥がす。彼らの容態は、また悪化した。


「人混みに酔ったみたいだな…部屋で休ませよう。なに、すぐ治るさ」
「し、しかし…」
「まだ来たばかりじゃないか。彼らにも、もっと楽しんでいってもらいたいんだ」

「家康殿……すみませぬ」

『こいつらだけ帰しゃいーのに』と目で訴える政宗に、『幸村が聞くはずないだろう』と返す家康。彼が帰ってしまえば、家康のパーティーはそこで終了である。

パーティーの様子(余興等)が映るモニターのある部屋に案内し、そことも繋がっている隣の寝室に、二人を運んだ。
料理やお菓子、飲み物も入れてもらい、たちまちテーブルが豪華になる。


「家康、主催者があんま席空けてんの、よくねぇんじゃねーか?」
「…そうだな。ちょっと行って、話してくるよ」
「すみませぬな…」

恐縮する幸村に優しく笑うと、家康は一旦部屋を出ていった。



(──っとに、疑うことを知らねぇ奴)


政宗は、目の前の状況にほくそ笑み、


(…けど、何すっかな……)


どうせ、家康も長くは会場にいないだろう。そう大したことは出来ない。
政宗は、ちょっとからかうくらいに決めた。



……………………………



「OK、乾杯すっか」
「はい」

ジュースの缶を、二人同時に開けると、


『シュワワワワァッー…!』

「っ!!」

勢いよく中身の炭酸飲料が飛び出し、上の服を濡らした。
幸村は、缶をテーブルに置き、


「…っくく…、参りましたか、政宗殿…!?某、ちゃんと見ておったのですぞっ!」

勝ち誇った笑顔で、前髪の先からも水滴が落ちる政宗を見据える。
彼は、「Ohー…」と、


「おま…、コレ……※万もしたんだぞ?」

「──エ゙ッ…」

「うーわ、これぜってー落ちねーわ。…あーあ、買ったばっかだったのによー…」
「…ぇ、ぇ…っ、……そんな…」

幸村は真っ青になり、「も、申し訳ござらぬ…っ…」

だが、政宗も落ち込んだ顔で、上の服を全て脱ぎ捨て、

「いや、自業自得だな…ハァ、寒ィ」
「ま、まことに申し訳…!あ、着替えを借りて」
「いーよ、ちょっと貸してくれ」
「は、はいっ!」

幸村は、あせあせとニットを脱ぎ、政宗に渡す。


「は…!?」
「バァカ、んなもん俺に入るわけねーだろ?」

ニヤリとニットを放り、政宗はTシャツだけになった幸村を胸に抱き、

「Oh〜、very hot…これが一番だぜ」
「ちょ…、…っ」
「あ、でも背中がさみーわ。撫でてくれよ」
「は、はぁ……こうで?」
「Ah〜、やっぱ全部は届かねーな。じゃ、こーするか」

と、そのままソファで仰向けになった。
「子供のようだ」と恥じらいジタバタする幸村を、緩んだ顔で眺める。


「ひゃ!冷た…!」
「Sorry、お前と違って冷え性なんでな」

幸村の服の中に手を入れ、今度は政宗が彼の背を撫でた。ただし、その手つきは幸村とは意思からして違う。

弱いと見える、両手で包んでしまえそうなほどの細い腰や、脇腹や背筋にしつこく這わせ、こらえる表情や漏れる不規則な吐息と、心地好い肌の質感を堪能する政宗。


「…ぁ、も…ぅ、離してっ…くださ…!」
「さっきの礼だって。段々あったまってきたろ?」
「ですので…っ」
「Haha、んな押し付けんなよ…こっちもhotになんだろーが」

「──ぃ、家康どのぉ…っ」
「Ahー…何だと…?」

政宗の左目がぎらりと光り、二人の顔が素早く近付く。




『ガッ……』



「………」



政宗の目の前に、火花が散った。

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