おめざめB-4



「ごめんな、旦那は男なのに」
「……」

でもちゃんと諦めるから、とも言うべきなのに。こんなときに限って、得意な嘘が声にならない…

すると、旦那の方から口を開いてくれて、


「佐助に知られとうなくて、ついあんな態度になっていた…すまぬ」

「あぁ、そりゃそうだよね。それが分かりゃ、俺様…」
「いや!実は、もっと言えぬことがあったのだ…!」

もっと?と首を傾げると、「お前も話してくれたから」と、それを盾にするよう口ごもりながら、


「最初にアレをしてしまった前の晩、夢を見たのだ──お前、が出てきてっ…」

「……え…」

「最近遊んでおらぬなぁと俺も思っていたゆえ、夢だが嬉しくて…子供のように甘えておった。一緒に寝て、髪や身体を撫でられ、気持ち良くて幸せな気分だったのだ、が…」


(……ッ!)


胸への震撼に全身が戦慄する。危機は即座に察知できたが、あまりに衝撃が強過ぎた。

もう、間に合わない。


「っめん、だっ…んなッ…」
「佐助?……ぁ…!」
「…く、…っ…」

眼前に火花が散り、頭が霞んだ。手の中の質量が上がるのを感じながら、少しでも気をやらないよう耐える。
元々限界だったとはいえ、さっきから止めてたのに…旦那の言葉に狂喜の末、俺様二号は暴発してしまった。

しかもティッシュは行方不明、急いで片方の手をかざしたけど勢いが良すぎて、前にいる旦那の上半身に飛んだ。…てか、ほとんどそこに出しちゃった…


「ご、め…、こんなつもりじゃ…」
「……」

旦那はびっくりを通り越したのか、呆然としていた。そうなりながらもパジャマの端で拭うが、吸い込みにくいらしく、ぬらぬらと広がっていくだけで。
それを見てまたムラムラする俺様は、やっぱあのとき死んどくべきだった気もする。


「…俺も、そこにしてしまったし」
「嬉しくて、勝手に出たみたい…。…てか、ほんと?旦那も、俺様といたかった…?」

「っ……」

旦那は気まずそうに目をそらし、頬を染めると、

「早く佐助のようになりたくて、甘えまいとしておった。だが、遠くなって…。あの夢を見てからは、近寄られると頭が一杯になるしで、どうして良いか…」


「だん……なぁ…っ!」
「ぉわ!?」

感激のあまり旦那に抱き付き、そのままベッドに倒れ込む。

「それって、俺様と同じってことだよなっ?」
「っ…だが、」

「これ以上に大事なものなんてないよ。だから、俺様とそうなるのが嫌って理由以外なら、引かないで。…一緒に、ゆっくりやってこうよ。な…?」


「佐、助…」

押し潰さないようにギュッと抱くと、旦那の身体から力が抜ける。

しばらくそうして、互いの気持ちを確かめ合った。












「…佐助……」

「あ〜…ハハ。ここも、旦那だから…なんだよねぇ」

あんな良い雰囲気(?)の中、実はずっと旦那の脚にモノを宛ててしまっていたのだが…冗談半分でごまかした。二号は未だに元気で、ここまでくると隠す気も失せる。


「今度は、やっぱり旦那にシてもらおっかな」

なんてかますと、鉄拳は鉄拳でも予想外のものが返ってきた。

「だ、…ッ!?」
「…っ!」

俺様も驚いたが、向こうもびくっと肩を揺らす。そこには、信じられない光景があった。──旦那が、俺様のモノに手を添えている。


「まさか、してくれんの…?」
「……気…が、変わった。……ずるいだろう、俺ばかりがあんな…」

と、口を尖らせ言うけど…

なんて可愛い嘘つくの、旦那!!
自分の苦手なものでも俺様のためならとか、そーいうとこ全然変わってないな、ホントに…!

感動で胸を熱くし、旦那の仕草をドキドキしながら見守る。おずおず、こわごわと握られ、それだけでイきそうになった。(精神的に)

「うっ、動い…っ?」
「ッ…旦那のだって、そーだったよ?」
「そっ…ぅ、なのか」
「動かして…」
「あ、ぁ…」

たどたどしく手が動き、上半身を支える腕に力が入った。旦那を下に押し倒したままなんで、腰は膝で上げてる状態だ。
恥じらい目を泳がせ、だけど必死にしてくれる姿が色々たまらなくて、単調な刺激が何倍にも膨れ上がる。


「…ぃ、痛いのか…?」

二号がビクビク大暴れしてるんで、そう思ったらしい。可愛いなぁもうとデレながら、

「全然。旦那の手、すっげーきもちぃ…」
「…っ、また太く…!」
「──だんな。嬉しんだけど、すぐ出ちゃうから」
「…?」

不思議そうに見る目がこれまた可愛くて、説明は後にしようと微笑む。


(にしても……)


してもらえるのも夢のようだけど、この体勢は視覚的にかなりくる。まるで本当にヤってるみたいだ。…とか考えてたら、勝手に腰が揺れていた。

「あ…っ」
「ちょっと動かさせて?」
「…ん…、…っく…ぅ…」

大人しく手を固定してくれる旦那だが、彼の場合、するのとされるのでは感覚が違うらしい。柔らかい手の腹に押し付けるように前後させると、腕や肩を小刻みに揺らし、くすぐったさに耐える。

それがまるで感じてくれてるように見え、俺様はまたもや簡単に昂った。
そうなると、どうしても目がいってしまう。旦那の手で隠れてる、そこへ。

するりと伸ばし、片手を滑り込ませた。


「さっ…」

「旦那のも、なってる…ね」
「ッ…!!こっ、れは、手が当たって…!」
「俺様ガンガンしたもんねぇ。てことで、責任取るな?」
「やぅ…っ」

良いからと首を振る旦那だけど、夢精を武器にすると抵抗がなくなる。
これは苛めじゃなく純粋に気持ちよくさせたいからで、今や俺らは両想いなんだし、なら今度は一緒にとか望んじゃうわけだ。

ふと昨日の夢が浮かび、俺様は腰と手を止めた。

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