おめざめB-2
「でも、これで解決法が分かったじゃん。適度にヤれば、もう…」
──が、布団にくるまった旦那は、むっすりと、
「しとうない。…したこともないし」
「あぁ簡単だって、片手でこう…」
「だまれぇぇっ!やはりまだ修行が足りぬのだ、疲労を溜めぬようになれば、きっと!」
「はぁ?」
だからー…と抗議するが、旦那は聞く耳持たず。
「じゃ何?まだ続けんの、あんな無茶苦茶なトレーニング?」
「体調管理はきちんとする、それで良いだろう?」
「良いわけないだろ!生理現象なんだから、破廉恥じゃねーって!夢精するくらいなんだ、よっぽどッ」
今度はティッシュケースが飛んできたが、軽く跳ね返す。…俺様の苛々は、さらに上がったけど。
「旦那だけじゃないってば。皆も、俺様もやってるよ…?」
「うるさいうるさい!俺には必要ない!破廉恥が…っもう出てけぇ!!」
『ぷっち』
小さく弾ける音がした後、俺様は部屋のドアを大仰に叩いた。
「!?」
「…鍵仕掛けた。俺様得意の、誰にも開けられないやつ。旦那が『やる』って言うまで、絶対出てかないから」
「な…!!」
旦那はまた怒りの形相になったが、俺様の似た顔付きに少し怯む。ドアをガチャガチャやってたけど、すぐに諦めたようだ。
俺様を睨みつけ、ベッドに戻る。そのまま寝てやるって腹だろうが、そうはさせるかと素早く旦那の背後をとった。
驚く彼の耳元に、ずいと顔を寄せ、
「破廉恥破廉恥って…アンタ、どんだけ自分のこと綺麗だと思ってんの?…そんなに俺様は汚い?気持ち悪い?旦那と全然違う人間?」
「……ぁ、いや…」
途端に小さくなる、声と抵抗力。
その機を逃さず、旦那の両脚にそれぞれ自身のものを後ろから絡め、身動きを封じる。両手は後ろに回させ、細い手首を一まとめに左手で掴んだ。
「いッ…!何を…」
「分かんなきゃ教えてやるよ、やり方。──旦那も、所詮皆と同じだってこともさ」
唯一空いた右手を前に回せば、息を飲む音が聞こえた。
パジャマのズボンの上から軽く触ると、「やめろやめろ、佐助ェ!」と、本気でキレて暴れる旦那。だけど、俺様にはさっきのムカつきの方が勝ってて、制止力にはならない。
まだ柔らかいそこに触れると、ずくんと胸が疼いた。それを打ち捨てるよう、衣服の上から丹念に撫で擦っていく。
「ほら、固くなってきたよ?旦那だって、おんなじ…気持ちいんでしょ?」
「っ…い、ちがうっ…」
「じゃ、こう?」
「うぁ゙!?」
だいぶ硬化したそれを緩く握り、布地越しに手のひらと指を滑らす。速度をつけ上下させ続けると、旦那の肩がひくひく震えた。拘束した手足の力は徐々に抜け、漏れる呼気も乱れていく。
「…っ?」
「これじゃ『教え』になんないから」
「な、な!嘘だろう、ちょっ」
「一緒に風呂入った仲じゃん、今さらだって」
旦那の片膝を曲げ、一気にズボンと下着から脚を抜かせた。片方のふくらはぎに引っ掛かったままだが、そっちは放置で即身動きを殺す。
無理やり開かされた脚の間で、それはわずかに痙攣しながら、きちんと起きていた。──薄くて綺麗な色と艶を確認すると、頭と腰に鈍痛が走る。
どこが今さら……自分で言っといて、俺様は少々後悔に襲われた。それと、人生で初めて、男のナニ見て反応した衝撃にも。
そうなりつつ身体は正直で、右手はもうそこを包み込んでいた。
「…、っく…」
「旦那、ちゃんと見てなきゃ。こうやって、自分で擦るんだよ」
「ぅっ、ぁ…ひぅっ!」
「ここイイの?じゃ、覚えとかないとな?」
「んっ、んゃ…!さっ、それッ…」
やめてくれと哀願するよう首を振る旦那だが、俺様の手は加速する。少し圧力をかけてやればびくんと震え、小さな悲鳴が上がった。
(可愛すぎる……っ!)
初めての手淫で過剰になってしまうのだろうが、その反応全てが愛しく、また煽られもっと苛めたくなる。嫌がる声もなじる目も、浴びれば浴びるほどに。
「さすけ、もう…ッ」
「ん、はい」
「…っえ?」
パッと手を離すと、息を切らせた旦那が戸惑い見る。やっと解放されたのか?と思ってるのが、よく分かる顔。俺様が彼の正面に回れば、ささっと前を隠した。
俺様はくすりと笑い、
「じゃ、旦那自分でやってみて?やり方は分かったでしょ?」
「──は!?」
あり得ない、という表情になる旦那の手をそこへ押し付ける。たちまち弱々しい目になるのが、ほんと可愛くてたまんない。
「別に、やらずに寝てもいーよ?ま、明日確実に夢精してるだろうけど」
「……っ!」
「で、俺様朝まで出てかないから。どうする?やっぱり、自分だけは一生シない?開き直って、オムツでも着ける?」
「ぅ……」
ひどい言い方に、旦那は悔し涙を滲ませる。
でもしばらくの後、予想通り恐る恐るそこへ手を伸ばした。…何せ、我慢できないとこまでやってあげたから。
両手で覆い、ゆるゆると動かし始める。
「っは……みる、な…ァ」
「ちゃんと出来てるかのチェックだよ。ホラホラ、頑張って?」
「…ん、…ふぅっ…」
──あーもう、たまんね……
俺様、AVの自慰プレイは大して興味ないんだけど…てか、当然女のしか見たことねーし、男のなんか想像もしたくないってのに。
眉を寄せ目をつぶり懸命にする様は、今まで見たどんな映像より燃えた。
もう、俺様二号ははち切れんばかりで、ズボン突き破んじゃないかくらいに勃ち上がってる。それどころじゃない旦那には、気付かれてはないんだが。
(俺様もヤりたい……けど、)
ベッドの下に降りなきゃ、下半身は隠せない。視力は充分だけど、せっかく間近で見られる絶品なんだからと、辛抱と至福を積んでいく。
でもって「暑いっしょ?」とごまかし、旦那のパジャマのボタンを全部開けた。
時々目にする上半身は熱で色付いてて、何だか別物に見える。
胸の尖りは、見えそうで見えない。
呼吸の度に動く胸や腹にまた欲情し、自分はつくづく変態なんだなと思い知った。
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