おめざめB-1


Aの続き、完結編。

佐幸オチ。(高校生×中学生)


微破廉恥、下品…かも。
破廉恥レベルはA程度ですが、あれよりか描写は上。でもやっぱ臨場感不在。色んな無理さは、激スルーで。

ほのぼの・シリアス・ぬるいS・ギャグ・甘…荒れ天候のカオスです、心してご覧下され(^^;
佐助を喜ばせたい話〜のつもりだったんですが; 最後のちょっとは、佐幸イチャになれたかなぁ。長文ですみません。


(全5ページ)













大将が朝言ってたのは、出張で帰りが夜中になるとの件だった。

そりゃ都合が良いやと、俺様の決意はメラメラ燃える。旦那の逃げ場がない方が、聞き出しやすいだろうし。
夕飯食べ終わってから、威圧感全開で話を切り出すつもりだ。旦那の反抗心を、へし折る勢いで行かないと。


(俺様だって、本気出しゃ怖いんだからな…)


そう意気込んでると、玄関で鍵を開ける音と『ただいま』という声が。そのまま洗面所で汚れ物を片付け、ラフな格好に着替えた旦那がリビングに入ってくる。

「お帰り。大将、出張で遅いって」
「あ、おう…」
「ご飯食べよ」

旦那も頷き、テーブルに着いた。
互いに視線を合わさず、黙々と食べていたが、


「え?」
「…ちょうど、食べたかったのだ」

旦那は目を伏せ、魚の南蛮漬けを「旨い」と咀嚼した。普段言わないからだろう、ちょっと顔を赤くして。


「そ、…良かった…」

俺様の口から出たのは、たったのそれだけ。



(……へ?)


今、旦那から話しかけてくれた?
うそ?

静止しちゃってると、旦那は今度はちゃんと目を合わせてきて、


「昨日の茶碗蒸しも旨かった。…また作ってくれ」



──────………




「ごちそうさま。風呂、先良いか?」
「あっ……うん」

すまぬなと、空けた食器を流しに置き、旦那はリビングを出ていく。


「………」

きっと、昨日のことを気にしての言動なんだろう。それは、よく分かってるんだけど、


(久し振り……だったからかな)


笑った顔見たのも。
んで、あまりの喜びでさ、ほら。

胸を押さえると、はっきり伝わってきた。
ドックンドックンと重く、簡単には止みそうにない鼓動が。


(そうだ…)


久し振りだったのは、旦那が俺様にあたってしまうくらい、何かにつまずいてるからで。
絶対聞き出すと決めたじゃん、どんなに反抗されても。
これくらいでほだされててどーすんの。

俺様は頭を振り、急いで片付けを始めた。











旦那が風呂から上がり部屋に行ったのを追い、軽くノックする。

「ちょっと良い?」と窺うと開けてはくれたが、やっぱり表情は固い。静かに入ると、旦那はベッドに座り、

「もう寝るところだが…」

「話があるんだ、聞いて」
「…?」

ドアを塞ぐように立つ俺様を、怪訝な目で見直す旦那。もっと険しくなるだろうけど、うろたえるなよと自分に言い聞かせ、


「部活のことだけど。…最近おかしいよ、全然楽しそうじゃないし。そんなにキツいなら、もう辞めたら?って話」

「な…ッ!?そんなことできるか!部活は楽しい!練習も」
「なら、練習だけに抑えりゃどうなの?身体壊すまでしたって、何にもならんでしょーが?」

「今に身体も慣れてみせるわ!…何故、いつもやる気の下がることばかり…っ昨日は、分かっていると言ったくせに…!」

「心配して言ってんだよ、馬鹿!!」

「──ッ」

ついムカッときて怒鳴っちゃったけど、かなりびっくりしたらしく、旦那は言葉を失っていた。


「一体、何に悩んでんの?…一人で抱え込むなよ……俺様、旦那のあんな顔イヤだって」

「…佐助……」
「どんなことでも、絶対力になるから。子供んときもそうだったろ?な…?」

「………」

少しずつ近寄ると、旦那はベッドの上で体育座りになった。コツンと膝に額を乗せ、黙りこくる。
十分、二十分と経っても俺様が動かないので、いよいよ諦めたらしい。顔は膝に伏せたまま、


「ぜったい、誰にも言うなよ…?」
「──当たり前じゃん」

旦那の悲痛な声に、胸がキリリと痛む。…あの夢が、万が一本当だったら。

俺様の緊張は知ることなく、旦那は息を吸い、「実は…」と話し始めた。














「…………夢精?」

「〜〜言うなぁぁッ…!!」

投げつけられた枕をキャッチし、俺様は唖然と旦那を見返す。

顔は真っ赤で、白状しただけなのにぜいぜい息を切らしてる。…でも確かに、


(そら言えねーか…)


初めてそれを体験した朝、一人でこっそり下着を洗って処理したらしいが、動揺で一杯だった。それで、彼なりに色々探った結果、『性欲は、スポーツで解消される場合も』という情報を得てから、がむしゃらに打ち込むようになった、と。

だがそれでも何度か起こり、昨日なんかは最悪で、保健室で目を覚ますと…
──で、教室に戻れぬまま早退し、下着は布団の中に隠していた。ゆえに、めくられそうになった際、カッとしたのだと。


「なんだ…そうだったんだ」
「な!んだとは何だ…っ」
「や、もっと悪いこと想像してたから。先輩にシバかれてんじゃねーか、とか」

「心配してたんだよ、本当に」と旦那の前に座り込むと、「う…」と詰まり、俺様を見下ろしてくる。


「放っといても、その内しなくなるって。大人になってる証拠なんだから、恥ずかしがることないよ」

と目線を動かすと旦那の内股にぶつかり、パッと避ける。
…ちょ、何意識してんの俺様。
さっきこそホッとしたばっかだってのに、何を想像してんだ今度は。ヤメろヤメろやめて

それでも恥ずかしいのか、旦那はピンクの頬っぺたのまま、布団の中に隠れた。──かっ……いや、純情な弟としてね!


「アレってさ…疲れてると、逆に溜まったりするし」
「!!…そう、なのか…?」
「うん。あと、抜く回数増やしてみたら?」
「抜く?」
「ほら、自分でヤってスッキリする」

「……ッ!?」

旦那は、一瞬で赤面すると、

「そ…んな破廉恥な真似、できるわけ…!」

いかにも彼らしい応えに、『あー』と頷きそうになったけど、


「──ってまさか、全然シてなかったとか!?」

「…ッ、な…っ……」

見てられないくらいのうろたえ振りは、そうだと宣言しちゃってるようなもの。

「そりゃ溜まるはずだわ…」と、呆れ声を上げてしまう俺様。
旦那は反論したそうだったけど、唇を揺らしただけで叶わなかったようだ。

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