おめざめA-2
その晩、慶ちゃんから電話があり、
『あれ観てくれたー?』
「は?…あー」
ぞんざいに返すと、しつこく『今すぐ観てよ!』…めんどくせーなーもうと、DVDをパソコンへイン。
「…ハイハイ、確かに美人で巨乳だね〜」
『だろっ?内容も間違いねぇから!でさ、明日にでも幸に会わ』
通話を切り、電源も落とす。
でもま、せっかくだから観とくかね…と、流してみる。
…………………………………
…うん、確かに結構。
ありがちなシチュエーションだけど、俺様そこまでこだわり持ってないし。美人でスタイル良くて、映像も綺麗。全体的にエロエロしく、これは良作と言える。
(けど……)
据え膳は食ってみたものの、あの異常な興奮までには到らなかった。粗相もしなかったし。…てか、普通はしねぇけど。つーか、これが普通なんだよ。
俺様、そんなにあの顔が好きだったのかな。今まで気付かなかったのは、旦那が男だったからってわけか…
「………」
──ハイ。
それ以上は深く考えるな、俺様よ。
二度見はせず、明日旦那に作るご飯のことを思いながら、ベッドに入った。
(寝てしまっていたか…)
昼下がりの、静かな保健室。
幸村は目を開け、視線を動かす。
身体もだいぶ楽になっている、これなら部活に出られそうだ。
「よ、お目覚めか」
「──殿…」
同じ部の三年の一人だ。しかし、幸村は表情を固くする。
「俺への当て付けか?」
「当て付け…?」
「俺のせいだって、お前のクラスの女に言われた。分かってねーよなぁ?お前の為だってのに」
部での、練習内容のことである。
幸村の部活後の自主トレは、この先輩がコーチを務めていた。聞こえは良いが、実際はただの『シゴキ』で、幸村も周りも逆らえない。
とにかく、やり方が周到なのだ。が、決して間違った内容ではないので、幸村はそれを己の力にしてやろうと食い付いている。
彼がやめてしまえば、被害が他に回るだけだ。現にこうなったのは、他の部員を幸村が庇ったことがきっかけだった。
とにかく、幸村の性格も才能も全てが気に食わないらしい。また、彼が真正面から立ち向かうので、相手は煽られる一方という悪循環に陥っていた。
「…部活には出ますゆえ」
「いや、今日は休め。…先生留守みてぇじゃん、俺がいてやるよ」
「え…」
意外な言葉に、幸村は目を見張る。が、先輩はニヤリと笑うと、幸村のいるベッドに上がり、
「イイことしよーぜ、一緒に」
「いい……!?」
「爆睡してたからな。良い出来だろ?」
「な、っ……」
見せられたケータイの大画面に、幸村は呆然とする。眠る自分の顔の上に、あり得ないモノが写っていた。保健体育の教科書に載っている、臨戦態勢の男性器。
混乱するが、非常に恥ずかしい仕打ちであることは理解がいった。
「な、何故このような…っ?」
「あの女、お前に惚れてんのか?女みてーな顔してモテるとか、マジむかつくわぁお前」
嘲笑を浮かべ、先輩はケータイをしまう。
「あれ見たら、あの子どんな反応すっかな?あ、ちゃんと他にも沢山撮ってっから。部の奴らにも見せる?」
「やめて下され!」
「じゃ、俺とイイこと…てか、良くしてくれよ。な?」
「…な、にを……」
すれば…との悔しげな声に、頬を染め舌舐めずりする先輩。
「知ってっか?野郎同士でセッ○スするときって、ここ使うんだぜ…あ、つかセッ○ス知ってる?」
「……ッ!」
今度ばかりは、幸村の頭と顔が爆発した。が、しばらくして、まさかまさかと青ざめていく。
先輩はニヤニヤ笑い、
「安心しろ、俺もんなとこ入れたくねぇよ。でも、お前顔可愛いから、他のことなら全然ヤりてんだよね」
「そん……!!」
「へへ…小っせぇ口。入れたらきもちーだろなぁ、コレ」
「ひ…!」
頬を掴まれ唇を撫でられ、幸村は全力で首を振る。目の前には、元気一杯の彼のモノが。嫌だと必死に懇願すると、「やっぱダメかぁ」と先輩は腰を引っ込めた。
「冗談冗談。お前絶対噛むし、怖ぇもん」
そして、制服を脱ぐように指示する。部活でも見せてるだろ、と。それはそうだが、何をするのか未知な分、困惑と恥じらいの表情になる幸村。
「パンツは脱がさねーでやるよ」
「あ、あたりまえ…!」
「てめ、感謝モンだぞ?…なんか、部室んときより興奮すんな」
ベッドに横たわる少年、当然男物の下着一丁の姿に、先輩は目をギラつかせ鼻息を荒くする。結局、顔以外にもその反応。しかし幸村は悟れず、ただ眉をひそめるばかりだ。
色々してぇけど時間ねーしと、やや惜しそうな顔で、幸村の上に被さる。ほどよく柔らかい内股の間へモノを差し込めば、さすがに幸村が驚愕した。
「なな何を!?」
「ん、つかもっと締めて。…はぁ」
「え、ぇ、ぁ、ゃ」
「…あーヤベ、…あー…」
「ゃ、な、やめ、…んぁっ…」
幸村の外腿を両手で掴み内に締め、グッグッとひたすら腰を押し付ける。内股が擦られるくすぐったさと、腰を落とされる度に自身の中心も掠めるので、幸村はその感覚から逃れようと、身じろぎを繰り返した。
熱い息が首筋にかかり、顔色が嫌悪や恐怖に染まる。その様子に目を細め、先輩は息を切らしながら、
「意外とイイわ…クセんなりそ。いつも、こんだけ大人しけりゃな」
「やっ、…め…も、うっ」
「痛くねーし、平気だろ?」
はぁっ、と一息つくと一旦抜き、次は幸村の両足を持ち上げた。
「や!嫌だ、こんな…!」
「へっへ、恥ずかしいねぇ。これも写真撮っとく?」
「いぁ…ッ!」
股から膝まではしっかり閉じさせ、今度は腿の後ろ側から前に突き入れる。バタつかせる脚はがっしり拘束され、ビクともしない。脚の付け根に沿って抜き差しする為、下着の上から敏感な場所を何度も撫でられていく。
「ぁ、…ぅ…、ん、…っ」
「…っハ、お前でもココきもちっ…?」
「ンあッ……ふ、ぁ」
「あ〜…も超可愛い。ほんとムカつく」
「や、ぁ、あっ…!」
先輩は幸村の脚を下ろすと、もう単純に、彼の下着へ擦り付けるばかりになった。
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