おめざめ@-2



画面の中では、ほぼ脱がされた主人公がぐったりに。大事なとこは見えない仕様。はぁ…これ、本当に女だよな?

そこ見られたら終わりだと、必死で隠そうとする女優。いや、もうバレてるって。しかし男はそれに付き合い、彼女をうつ伏せにしてやる。

少し腰を上げさせるとその上に跨がり、内股に手を這わせた。『見せられぬのであれば、手で確かめるしかあるまい』と、またニヤニヤしながら。


『んー…?おかしいのう、モノに当たらぬが…』
『…っじ、実は某……幼い頃に、病で…!』
『──おぉ、そうであったのか。それは気の毒なことをした』

男は、わざとらしい憐れみ労る声になり、

『ほんに、ここもおなごのようになっておるな…可哀想に』

『だ、黙っていて、申し訳っ…』
『良い良い、儂に任せい。お主を、きっと男に戻してやろうぞ』

『……え!?』

当然だけど驚く主人公に、男はもう準備万端の全裸。中心にそびえ立つ、猛々しいそれを見せ付けると、


『“儂の”を、たんと分けてやろうなァ?なぁに、“蓄えれば”また生えてこようて…』
『…ゃ、あのッ……!』



…なんつーアホな言い草。

呆れながらも、怯える女優の顔がやっぱり旦那に見えてしまい、…ってのに生唾を飲み込み、どうしても目をそらせない。
まさか、その理由って…いやいやいや、そんなわけないであって下さいお願いだから。

現実なら絶対助けに飛び出すのに、何やってんだろう俺様…


「っ…、ハぁ……」

何もしてないのに、とてつもなく脈が速い。
荒い息が内外どちらからもよく聴こえ、顔が熱くなる。

頭と視界が、ボーッと白んでいく──











男は『旦那』を仰向けにし、その股の間に腰を割り入れた。


『ぁあッ──』

『……っは、これはなかなか…』
『ゃめ…!や、だッ』
『これ、男児であろう?試練を嫌がってはならん』
『ひ、ァ……っ』

彼の中へ容赦なく入り込むと、男は息を荒げながら緩やかに動き始める。


『…っはぁ、…ンっ…、ふ…』

『初めての割には、随分好さそうではないか……ここか?』
『ぁんッ……ゃ、…ぁ、あ!』
『我慢せずとも良い、好きなだけ啼け』

『く…、ぅうん…っ』

男が浅く突く度に、甘い声が漏れる。
唇を噛み締め耐えるが、どうしてもこぼれてしまうらしい。悩ましげに歪ませる顔も同様の殺傷力で、全神経が焼かれるようだった。

昂り激しくなる揺さぶりに、華奢な体躯や脚が良いように踊らされる。
喘ぎが高くなるにつれ、男が嬉しげに『いいのか?いいのか?』と笑う。いつもなら失笑ものだというのに、涙を滲ませ健気に頷く姿に、またひどく興奮した。

くねらす肢体、甘美な声と湿った卑猥な音。それらに、全てが溶かされていく…












(…だ…、んな…っ…)


「はぁっ、…は…ッ」

──息が切れ、動悸の音が耳のすぐ傍で鳴り響く。


画面の中では、未だに二人が絡み合う映像が流れていた。体位をいくつか変え、男は三ラウンド目。恐らく、時間的にもこれがラストだろう。

横になった男の上で、快楽に陶酔する女。
初めは懸命に動いていたが、もう限界らしい。男の身体に手を着き、今にも崩れそうだ。
男が彼女の腰を掴み、最後の仕上げにかかった。



「……っぁ、く……」


(ゃ、…っべ…ッ)


腰が甘く痺れていき、自身を慰める手が止まらない。
くっそ、三回も耐えたのに、とうとう…!

最初は旦那への罪悪感からだったけど、その内達するのが惜しくなって、何度も踏みとどまった。…絶対我に返って、二度としないと誓うだろうから。

てことは、この一回きり──そう思うと、もっともっと味わいたくなってしまった。
最低な奴だと分かってんだけど、その寸前ギリギリでも、かつてないほどに気持ちよくて。

…あー…終わりたくない。
ああ、俺様変態だ……ごめんな、旦那



「……うっ、…ッ!」


『バタタッ!!』



「は──…」

重い音が足元で鳴ったけど、それどころじゃない。



──死ぬ──


イった瞬間頭真っ白になって、本気でヤバいと思った。はぁはぁと何度も呼吸を繰り返し、ベッドに倒れ込む。
汗もすごいし、口開けっぱだったからか、若干ヨダレめいたものまで。…信じらんねぇ。


「………」

あまりの倦怠感から、ついそのまま寝そうになったけど(ズボンは穿いてた)、アレの始末はしなきゃ。ティッシュ取るのも忘れるって、俺様…


(……てか、どんだけ出してんの……)


呼吸が整い頭が冷えていき、どんどん恥ずかしくなってくる。し、消えてた罪悪感が押し寄せてきた。
これじゃ、あいつらのこと言えねぇよ自分。マジ死んでこい俺様。
…よし。あいつら殺して、俺様も死のう

DVDは取り出し、ケースに封印。持ち主の頭部と一緒に粉砕してやる。


──くのいちなんか全然関係ない上、あんな貧相な身体で。プレイも初級、奉仕はなしって。(あったら、もっと深手負ってただろうけど)
はっきり言って、相当な駄作だろこれ。や、ロリコン向けか?…どっちでも良い、とにかく、


(それに対しここまでなったってのは、絶対忘れなきゃ)


万が一知られたら、旦那一生口きいてくんないよ。俺様は重々誓うと、どうにか少しだけは寝た。

翌日からは、旦那の顔が見辛くてちょっと離れてたら、何かいつもよりは態度が柔らかくて、ほんとそれだけが救いだった。







‐2013.1.8 up‐

あとがき

読んで下さり、ありがとうございました!こんなアホなのですみません;
ABでは、佐+幸〜佐幸な話になります。良かったらまたご覧くだされ(´∀`)

相変わらず佐助三枚目で、ほんと申し訳ないです。旦那にハァハァする佐助が好きで…同じハァハァでも、もっとイケメンに書けたら良いのですが(;∀;)

無能くのいち過ぎですね。ただあの口調にしたく、他に設定思い付けず;
家+政+慶→幸は、日頃から『まさかな…』と怪しんでた佐助。アニキはDVD見る前で良かった。色々無事に済んで。


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