赤緑兄弟の冒険3



「にしても良かったよなぁ、弟が緑でさ」

「そうだな、邪魔な奴らも出てこぬし。ぴーちさえ排すれば、美しき兄弟愛話として完成されようぞ」


((…終幕後、弟は一人になるがな))


腹の中も外面も、全く同じでいるブラザーズ。本当によく似た双子である。


「二人とも、見てくれっ!」
『※※※※〜!(獣の鳴き声)』

「わ〜、すごいやお兄ちゃ〜ん!」
「ああ、勇猛ぞ」

味方である恐竜キャラ『よっしー』に乗り、大喜びなマリむら。もちろん、さすージはシャッターチャンスも見逃さない。

しかし、このまま三人だけの素敵な旅路が続くのだと思いきや、そうは問屋が卸さなかった。よっしーが蹴った亀の甲羅が、何かのアイテムに当たってしまったらしく、


「YaーHaaaa!!やぁぁっと出番だな、待ちくたびれちまったぜ!Heyマリむらァ!んなチンケなもんに乗ってねーで、こっち来いよ!」


((なっ、何ィっ…!?))

聞いてねーよ、計算しておらぬぞと、顔を見合わす弟たち。『一体何役で出てきやがった!?』と、声のした方へ駆けると、


「さぁ乗れよ!一気にbossんとこまで連れてってやるぜ!」
「まっ、政宗殿、しかし…っ」

「No no、My name is blue。かの有名な青よっしーとは、この俺のことだッ」

「いや、知らんし」
「…貴様には、自尊心というものがないのか?」

全身青タイツの青よっしー?に、凍てつく視線を浴びせる二人。だが、彼には傷一つ付けられなかった。


「Shut up!テメーらこそ、このムッツリどもが!この証拠映像を見せられたくなきゃ、大人しくしてろ!」
「証拠映像?」

「ああああ!!旦那違う、何でもないから!」
「くっ、まさか撮られておったとは…っ」

そういえば、その手は彼の十八番だった…
二人がうろたえていると、青よっしーはマリむらの側に寄り、


「OK。早く乗りな、マリむら」
「で、ですが……わっ!す、すみませぬ!」

ぐいと引かれ、青よっしーの上に跨がらされたマリむらは大慌て。
それも当然、背ならまだしも、腰を下ろした青よっしーの腹側に乗る形なのだから。


「あ、青よっしー殿…っ、これでは動けぬのではっ?」
「No problem!むしろ得意な体位だぜ。ま、不得手な技なんざないんだがな」
「あっ…?あ、ぁの、な、何を…っ」

「この衣装、見た目よりそそるもんがあるよな…俺は好きだぜ?こーいうのもよ」

ツナギの脇の隙間から手を入れ、下を触り撫でる青よっしー。


「アジトの前に、paradiseへ連れてってやるぜ…honey?」


『ごしゃ』

(↑証拠映像のつぶれる音)


当たればペシャンコ、いかつい顔の付いた四角い岩の敵に、あっさりと。
さっきから隙だらけで、弟たちの接近に気付けなかったようだ。


「…Ohー……」

「はーい、さよなら」
「永久にな」

二人からの蹴りを食らい、青よっしーは場外(地面の割れ目んとこ)に落とされた。











「まっさか、よっしーで出てくるとはねぇ。青なんてのがいたんだな」
「…見よ。あれは奴らの卵か?」

そこらに転がる、斑点付きの卵群。斑点の色は、青や黄、紫など…

『早く開けてくれ^^』と主張するように、コロコロと殻を揺らしている。
二人は頷き合うと、それらを全て抱え、


「む…?捨ててしまうのか?」
「うん、これみんな消費期限切れてるみたい。腐っちゃってるよ」
「早ように気付いて良かった」

青よっしーと同じ場所に卵を落とし尽くすと、にこやかに一汗を拭く彼らである。


それからしばらくすると、派手に輝くブロックに出会った。キノコ、スター、コインなどの絵が高速で切り替わるあれ。そのアイテム絵に合わせて当てると、それが出るというやつ。


「よーし、スターを当てようぞ!」

「「ファイト〜、お兄た〜ん!」」

二人も、彼が喜ぶスターが出ろと、心より祈りを捧げる。兄弟の願いが通じたのか、何とそれを打ち当てた。
歓喜に沸く三人だが、


「はははは!やっと出してくれたな!しかし、お前の力になれるなら、このくらいの待機何でもなかったがな」

「と、徳川殿…!?」

キラキラと光を放ち、出て早々爽やかに兄を口説き始める、スターらしきもの。


「今すぐワシを使ってくれ、マリむら!ワシは普通の星と違い、無敵時間が長いんだ。お前の命が尽きるまで、お前を輝かすことができる。悪者もぴーちも、王だってメじゃないさ!」

「い、いや、倒すのは悪者だけで…」

「そして、二人で新たな国を築こうじゃないか!ワシは、きっと良き夫、良き父親になることを約束しよう」
「は、あ…?」

「いやなに、民は皆、ワシとお前の子供たちだという意味だ(照れ)。さぁ早く一つになろう、マリむら…」


『ごっ』


陶酔状態、かつ自身の光のせいで、周りが全く見えていなかったようだ。

青よっしーの際よりも簡単に仕留め、彼も彼らと同じ場所へ送ってやる。



「危なかったね、お兄様」
「まさか、スターの分際で下剋上を企んでいようとはな」

「そ、そうだったのか…」

マリむらは、自分の察しの悪さを反省し、

「いつも助けてもらい、情けない兄ですまぬ…。危うく、王国への害を許すところであった」


「…そんなことないよ」

さすージは優しく笑み、「人を信じる心を大事にするお兄ちゃんだから、弟は惹かれて尊敬してるんだ」

「我らは兄弟で一人前…その分、我々は好きなだけ疑ることができる。均衡が取れているのだ。よって、兄はそのままで良い」


「さすージ、なりージ…」

マリむらはぐずぐずと、「お主らが弟で良かった」と感動に鼻をすする。



((…ここで、エンディングで良いのに))


だが、二人の力をもってしても、そこまでは無理らしい。
さっさと計画を遂行してしまおう、そう密やかし歩みを早める。

悪者のボスのアジトは、もうすぐのところまで来ていた。

[ 111/138 ]

[*前へ] [次へ#]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -