僕らの夏休み(後)-1
ゴマ様へのお礼・捧げ文。(前・前々タイトルの完結編です)
素敵リク「幸村総受け、皆で海」(後編)
佐・幸・政・慶・就・親・三・家。捏造脇役少々。
(↑登場順。出番はまちまち) 高校生設定。
中編からの続き、夜〜翌日へ。流れは同じような感じで、やり取りばかりです。長文ゆえ、お時間のある際にどうぞです。
海関係、無理ある設定や状況全てスルーで。
タイトルと、最後にお題(8題)を【biondino】様から拝借・感謝^^
(全7ページ)
日が落ちてもすぐには真っ暗にならず、バーベキューをやるにもちょうど良い明るさだった。
カンテラタイプのライトを下に置いたり木に吊り下げたりし、暗さに合わせて点灯する。
オシャレなアウトドア空間が出来上がっていたが、全ては肉の焼け具合を確かめるためのもの。
高校生の、しかもたっぷりと運動をした後の胃袋×8である。食材がみるみる消えていく様子に、インストラクターたちは「やっぱ違うねぇ」と気持ち良さそうに眺めていた。
「はい、旦那♪」
「おぉ、すまぬ!しかし、お前も人についでばかりおらず、もっと食べぬか」
「おっ、俺様の好きなの〜。ありがと!」
「Hey、こっちのもやるよ」
「わ〜お、さんきゅー。でも俺様、生よか焼けてる方が好きだからさー?ゴメンねぇ、遠慮しとくぅ」
「んじゃ、これ(←丸焦げ)な」
「ほんっとごめ〜ん。ウェルダン超えは、ちょっと専門外だわぁ」
「まーそう言わず、旨ぇから喰ってみろよ〜」
「そんな美味しいなら、まーくんに譲るってぇ」
(おお…二人があんなにも仲良く…)
驚きつつ、ちょっと感激の幸村だった。
* * *
「やたら機嫌良いよなー、あの二人」
「(やはり、あやつらのどちらかか…)」
不思議そうに見る慶次に、確信する元就。後者は、食べ物もしっかり味わいながら。
「あー!俺が焼いてたやつ!ひっでぇ元就!」
「ならば、名でも記しておくのだな(嘲笑)」
「慶次、お前ここでも負けてんのかよ」
「(くっそ…次はツバ付けといてやる)」
する前に当然二人に阻止されたが、そこからは網に一転集中、彼も何とか満腹にはなれた。
* * *
「三成殿、食べておりまするか?」
「ああ」
「これが美味しゅうござるよ。あとこれと、それからこれと…」
「…こんなには食えん」
しかし、幸村がニコニコと皿に乗せるので、三成の抗議は小声にならざるを得ない。
「行儀悪うござるが、バラにしても?一つずつなら、いけませぬか?」
「…ならば、適量だ」
少食で偏食の彼に、幸村はよく食の喜びを伝えようとする。それにより、今までもしばしば良い思いを味わってきた三成。
今日は特別幸村の押しが強く、いつも以上に眩しく思う彼である。
「真田、腹は大丈夫なのか?」
二人の世界(片方にとっては)に家康が訪れ、これもまた常の如く、三成の顔は険しくなった。
「大分張って参りました。恐らく、これで…」
「だろうと思ったよ。どれ、ワシも一つ力を貸そう」
「おお、すみませぬな」
家康が、残りの肉や野菜を取ろうとすると、
「イエヤスゥゥゥゥ!!これは私(と真田だけ)のものだ!!貴様が入る余地などどこにもなァい!!わずかな肉片たりとも、決して渡してなるものかァァ!!」
「無理をしては毒だぞ、三成。なに、ワシと真田に任せてくれ(爽笑)」
「黙れェ!!」
貸せ!と幸村から皿を奪い、三成は目にも留まらぬスピードで、肉たちを腹に納めた。
「三成殿、急に食べれば…!」
「これしき何ともない。先ほどので、一気に腹が空いた」
「何と…っ」
幸村は嬉々となり、「さすがは家康殿でござる!三成殿の食欲を、こんなにも易く湧かせるとは!」
家康は、「ははは」とこれまた爽やかに、
「そういうつもりじゃなかったんだが、結果的には良かったな(お前に喜んでもらえて)」
「やはり、お二人は通じ合っておるのですなぁ!」
「そうだな、これも絆だ」
「うむ、まさしく!」
メンバー一爽やかコンビの眩しいオーラに、全員の目がつぶされる。
「……可、を…──様…」
「み、三成、落ち着こ?悪気はないんだって、家康…」
「そうだぜ、いつものことじゃねーか!なっ?」
「そうそう、ああして己の株を引き上げる…いつものことであろう」
「おいっ」と、慶次と元親は元就を止めようとするが、
「余裕のない奴らって、ホンット見苦しいよねー。あんなの、単なる一友人の会話に過ぎねぇじゃん。かっこわる〜ぅ」
「Ha…あーいうのからフラれてくんだよな、狭ぇ度量見せ付けてよ。これだからガキはしょーもねぇよなァ…ったく」
大人の余裕?で、インストラクターたちに混ざり、優雅に飲み物をたしなむ二人。
小馬鹿にした目を向け、彼らに失笑を贈った。
「……………」
「みみっ三成、ぉお、落ち着こう!!?悪気……しかないんだけどさ、あの二人は!!」
「ここでキレりゃ、俺らの負けだぜ!?あいつらの思うツボだろっ!」
「構わぬ、斬れ」
お願い元就黙ってと懇願しつつ、慶次と元親で三成を懸命になだめるが、
「大谷殿たち、驚かれましょうな!三成殿が、こんなに食べたのだと知ったら。…本当に、家康殿には敵いませぬ…」
幸村の、無意識らしい少し残念そうな顔に、三成の殺気はたちまち無になった。
(↑家康と二人で盛り上がっていたので、こちらの会話の内容は分かっていない)
「…家康の力ではない」
「はい(…ということにしておきまする)」
「──こっちが羨ましいよ、三成」
家康は苦笑するも、その後の幸村からの天然フォローのお陰で、再び浮上していた。
(…何だ、この骨折り損……)
慶次と元親は大きい肩を落とし、(誰もしてくれないので)互いに労り合うしかない。
「「さっさと花火に取りかかろうぜ!」」
…主に自身のために、口を揃え提案した二人であった。
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