僕らの夏休み(前)-1
ゴマ様へのお礼・捧げ文。
素敵リク「幸村総受け、皆で海」(前編)
慶・幸・佐・政・家・親・就・三。捏造脇役少々。
(↑登場順。出番はまちまち) 高校生設定。
佐vs政、三成は家康の邪魔を、就様はアニキに止められ、慶次は遠慮がち…(他)という頂いたネタ例を参考に、沿ったような全然そうでもないような話に。不憫キャラは、愛ゆえの結果。わりと皆仲良し。
※軽いセクハラ・下ネタ少し。
話というより、キャラ同士のやり取りだらけの上、超長文(計18ページ)。カオス/ギャグ/ほのぼの/色気少なし
疲労確実なので、お時間のある際にどうぞです(><)
海関係、無理ある設定や状況全てスルーで;
タイトルは【biondino】様から拝借・感謝^^
(全然重要じゃない前設定)
・信号機+佐は幼児から、四人と瀬戸内は小学校、関ヶ原とは中学からの付き合い
・伊達&徳川家は、お金持ち
・政・慶・親・家は、ヤンチャ仲間で特に親しい(家康は巻き添え)
・三成は、豊臣ファミリーの愛され末っ子
(前編・全7ページ)…このお話。
(中編・全4ページ)
(後編・全7ページ)
ジリジリと焼け付くような暑さには辟易するが、学生にとっては何より嬉しい長期休暇がある、この季節。
恋人持ちはデートや旅行の計画に大忙しで、想いを寄せる相手がいる者たちは、彼らに触発され接近の機会を画策する。
「もーすぐ夏休みだなぁ。幸、家族でどっか行ったりすんの〜?」
「それが、今年は両親とも忙しいゆえ」
「そっかぁ。じゃさ、その分沢山遊ぼーよ。旦那はどこ行きたい?」
「あ、実は海に」
「OーK、幸村ァ!!」
幸村が言いかけたのをぶった切り、政宗はご満悦な表情で、
「速攻passportの申請しとけよ!行き先は、まぁ初めてだしGuam辺りで良いよな?」
「………」
「………」
急速に白けていく佐助と慶次。
「ぐ、ぐぁむ…でござるか?」
「pre honey moon(婚前旅行)にゃ、まずまずの場所だろ?Australiaは今冬だし、今回は」
「おお、真田もいよいよ海外か?」
戸惑う幸村、一人盛り上がる政宗の間に家康が爽やかに入り、
「じゃあ、その後ワシと一緒にハワイはどうだ?グアムも良いが、あそこはまたもっとすごいものが見られるぞ?一度は体験しておいた方が」
「(Ha、分かってねーな…こいつが人に大金使わせて、のうのう楽しめる奴に見えんのかよ?)」
「(しかし、グアムだってそこまで安いわけじゃないだろう)」
「幸村、Hawaiiは五十万は軽く飛ぶが、Guamなら往復+全部込み込みでポッキリ一万だ。なら、選ぶのは決まってんな?」
「あんまりだぞ、政宗」
家康は呆れるが、
「いや、某は」
「行くわけねーでしょ。旦那は、もう俺様と先約入ってんの〜」
「海なら、近いとこいくらでもあるし。また去年みたいに一緒に行こーぜ、なっ?」
「え〜」
「ああ、良いではないか。佐助、俺のことは気にせず皆で楽しんで来ると良い」
「「はい?」」
佐助と慶次が素っ頓狂な声を被らせると、
「あのな、俺はオメーを誘ってんだろ?何が楽しくて、こいつらだけで行かなきゃなんねーんだよ」
「しかし、そちらの方が皆気楽だと思うのですが…」
「はぁぁっ?」
「んなわけねーじゃん!幸がいなきゃ、意味ねぇよ!」
ですが…と、幸村は顔付きを曇らせ、
「去年は三人ともろくに泳がず、……な、『ナンパ』で忙しそうだったではありませぬか。…全く、破廉恥極まりない…」
そのときの記憶が甦ったのか、幸村の表情に険が差していく。
「あ、あれは──」
たらっと汗が一筋流れる彼らだが、家康は全く変わらぬ笑顔のまま、
「さすがはお前たちだなぁ。しかし、じゃあそのとき真田は一人で?」
「そうなのです。皆が戻らぬゆえ……あれほどつまらぬことはなかった」
ぶっすーとむくれる幸村に、三人は顔色を変える。
「ご、ごめんって!何回も言ったけど、あれは勝負でさ…!」
「誰が一番男前なのか、幸に判定してもらうために──なぁっ?」
「お前も、『見届けてやる』っつってたじゃねーか?機嫌直せって、アイスおごってやっから!」
「まさか、一日中だとは誰も思わぬでしょう」
ぶぅぅ、と幸村はむくれ顔のまま、「ですから、三人とはもう海へは行きませぬ」
「「そ、そんなぁ…」」
「Ohー…」
揃って肩を落とし蒼白する姿は、女泣かせの片鱗すら見当たらない。
「真田、ハワイ五十万なんて嘘だぞ?うちの家が今度格安プランを立てるんだが、モニターはタダ同然でな」
「ですが、やはり某にはまだ早いかと…」
仲良く喋りながら、幸村と家康は放課後の校舎から去っていく。
残された三人は、
「…慶ちゃんが、余計なこと言うから」
「いや、ありゃ絶対最初からキレてたよ。『海』ってキーワード出た時点でさ。幸、静かにマジギレするときあんじゃん」
「……去年の海んときみてーにな」
その後の、手厳しかった彼の態度を思い出し、三人の表情はげっそりと悪化する。
こうして、彼らの夏は早くも終了した──
…………………………………
「お、ちょーど揃ってて良かった」
幸村たちが去ってから数分後、元親が現れ、
「お前ら、八月の初め空けとけよ?」
「はー?何でー?」
「海行くぜ、海!」
意気揚々と言う彼だが、三人はやさぐれた調子のまま、「あっそ」「勝手に行けよ」
「っんだ、その態度!せっかく良い場所見付けたってーのに…幸村がしつこく頼むもんで、俺必死こいて」
「旦那──が!?」
どういうことだと詰め寄る三人に、元親は「どーもこーも」と、
「あいつが、『海に行きてぇけど、他に客がほとんどいねー穴場が良い』っつーから」
「…マジで!?」
聞いた三人は、顔を輝かせ、
「幸、あんなこと言ってたけど…」
「やっぱ、俺らと行きたかったんじゃねーか!ナンパできねーような場所探させてまでよ」
「旦那ってば、アレやきもちだったんだー!何だ何だ、そーゆーことか〜」
みるみる、いつもの自信を取り戻し、
「Haha…それならそうと早く言えっつーんだ。二人っきりになれるprivate beachなんざ、余るほど持ってんのに」
「アンタって、年中頭煮えてるよねー夏とか関係なく」
「(でも、幸かなり怒ってたよな…)──お詫びに、○○のアイス買ってこ」
「Hey、アイスおごんのは俺だっつったろ!真似すんな!」
「慶ちゃん、す〜ぐそーやって下手に出るー。そんなんじゃあ、手に入んのは『便利屋』の地位だよ?」
「どっかのオカンみてーにな」
「親の金で釣ろうとする便利屋よりは上でしょ」
「だって、幸絶対やきもちって分かってねーもん…俺、嫌われたくねぇしっ。便利屋でも何でも、そっちのがぜってぇマシ!」
「あ、ちょっと!」
「待てコラ、アイスは俺んだ!テメーはラーメンにでもしとけ──」
ドタバタと三人は校舎から出ていき、
「…んだぁ?」
彼らのやり取りをポカンと眺めていた元親だったが、『いつものことか』と自己解決させた。
何をあんなにはしゃいでいたのかは分からないが、とりあえずは、あの三人も参加人数に入れておく。
『皆で海に行きたいのですが、元就殿と三成殿は、人混みや喧騒を嫌いましょう?それで…』
(…どうせ穴場なら、二人だけで行きたかったけどな)
少々惜しい気分の元親だったが、大人数で行っても充分満喫できる場所である。
残り三名(家・就・三)からのメールを受け取ると、早速細かいスケジュールの調整を始めたのだった。
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