回帰1
※佐助、慶次、幸村、政/親/就が少し
ほとんど、佐助と慶次のやり取りです。
幸村以下は、出番少なし。
前回から、数週間後。
海外関係や、飛行機…色々適当過ぎますが、スルーでお願いします;
戦国のことも、低知識さらには妄想展開です。すみません(--;)
いつもよりは短めですが、会話が多いですm(__)m
“元気?
いきなり飛び立つとか、あり得ねー。帰ったら覚悟しときなよ?
てか、一回くらい連絡してよ。
今度の土曜…こっちの──日、デートなんだって、幸と政宗。
良いの?”
──届いた日付は、数週間前。
その後にも数件、何日かごとに入っていたが、このメール以降は全て開いていない。
(…ホント、どうやって知ったんだろ?このアドレス…)
記憶にないが、何かの拍子に教えでもしただろうか?
学園には電話番号と、一応はメールアドレスも提出したが、それなら電話をしてきそうなものである。…彼ならば。
(片倉さんから聞き出したのかな。絶対言わないでっつったのに)
だが、彼の律儀さはよく知っている。そう易々と口を割るようには、思えないのだが。
(…帰ってから、聞きゃ良いんだけどさ)
向こうへ戻る日まで、あとわずか。
佐助は、その次のメールを開いてみた。
“無視すんなー。
二人、前より仲良くなってんよ?本当に良いわけ?
こないだのデート、泊まったらしいよ”
「──……」
(絶対、嘘だ)
慌てて連絡して来るだろうと、こんなつまらないことまで。
──急に苛立ちが沸いた。
他のメールを見る気が失せ、寝室のベッドに寝転がる。
父親にも友人はいるらしく、一応客室というものが存在した。
その当人は、今日は職場に泊まりで、留守なのだが…
(…誰だ?)
インターホンが鳴り、ドアスコープを覗く。
「──はぁ!?」
思わず叫び、佐助は即座にドアを開けた。
「ふぇ〜、良い所だなぁ。眺めも良いし」
「………」
「あっ、これお土産〜。お前じゃなくて、おじさんにな?」
「………」
「で、おじさんは?まだ帰ってねーの?」
「…今日、泊まり」
なーんだ、と残念そうに言い、彼はソファに腰を下ろした。
…ようやく、その光景のおかしさを認識し、
「いやいやいや!──何?何で!?何でいんの!?は!?」
と、佐助は力の限りツッコむ。
あまりのことに、驚愕すら超えた。
「え?メール送ったろ?…あ、さては、それすらも無視?」
「もー…」と、彼──慶次は、パソコンの前に寄り、
「うわ、マジで見てねえ…ひっでぇ。──あ、でもこれは読んでんだ」
「…何?まさか、そのために?冗談でしょ」
「だってお前、二月になっても帰って来ねーから」
「あともう少しで帰るとこだったよ!学校終わったけど、せっかくだから観光して…」
「ちょうど良かった〜。じゃあ、一緒に回ろうぜ?一人旅も良いけど、どうせならさ」
「嘘だろ…?マジで、俺様に会いにわざわざ?学園には何て言って来たのよ?トシ先生たちには?てか、金は?──バカじゃねぇ!?」
久し振りに、こんな声を上げた。
佐助は、目眩を起こしそうな気分に襲われる。
「元気そうで良かったよ。てっきり、しょぼくれてんのかと思ってた。…その、例の彼女のお陰なわけ?」
「………」
佐助の頭の熱は、急に冷めていった。
「あ、幸は責めないでよ?俺が無理に喋らせたようなもんだから」
慶次は笑って、
「んなこた、百も承知って顔」
「………」
言われた佐助は、すぐに顔を背ける。
「トシとまつ姉ちゃんと、三人で来たんだよ」
「…!家族旅行?」
「途中までね。二人は、今頃カジノ…なんて、やらせてもらえねーだろうけどな、トシ」
二人は、ここから遠く離れた街で『ハネムーン』らしい。飛行機であれば、すぐに行き交いできる場所同士ではあるのだが。
「バイト代貯めて、プレゼントするつもりだったんだ。二人、学生結婚で…ずっと俺の面倒見て、ろくに遊べてもなくてさ。結婚十年目には、間に合わなかったけど」
「…で、邪魔者は退散?」
「そゆこと」
「行き帰り一緒の時点で、邪魔だけどね…」
佐助は、まだ信じられないような心地から抜け出せない。
元より破天荒な性格は知っていたが、まさかここまで…
「…てか、思い出したんだ」
「──…」
あまりの出来事に、完全に忘れていた。
帰ったら、どんな顔で皆に会うか──
(…すげぇ準備してたのに)
へなへなと脱力し、佐助もソファに身を沈めた。
「とりあえず、飯食お?話はそれから」
外国に来ても変わらない様子の彼を、称賛しつつも呆れる気持ちで見返す佐助だった。
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「おじさん、泊まって行けって。や〜助かる。ホテル代浮いた」
「…初めからそのつもりだったでしょ、絶対」
佐助の鋭い視線を、慶次はとぼけた顔と声でかわす。
「明日から休みなんだってな。車で、俺も一緒に連れてってくれるって!ラッキ〜」
「…はぁ」
佐助は、諦めたように息をついた。
慶次は、ガイドブックを楽しそうに眺めながら、
「あいつらさ、今旅行してんだよ?あれから、ますます仲良くなったし」
途端、佐助の苛々は一気に増加する。
「見え透いた嘘はやめなって。ウザい」
「嘘?何で?」
不思議そうに返した慶次に、佐助の思考は一瞬止まった。
(…嘘…じゃない…?)
「あ、もしかしてそれに怒ってた?勘弁してよー。何のために、んなつきたくもねー嘘つかなきゃなんねーの?」
「…いや、俺様に連絡させるためかなって」
「あー…。ま…ぁ、それもちょっとは思ってたけど」
首をすぼめる慶次を、佐助は怪訝そうに、
「それに、慶ちゃん普通だし。旦那たちがそんなことになってたら、絶対うちひしがれてるはずでしょ?」
「俺も聞きてーなぁ。幸に政宗をすすめたくせに、さっきまですげー怖ぇ顔してた訳」
その言葉に、佐助は顔を冷たくし、
「何やってんだよ、アンタ…。こんなことしてる暇あったら、旦那に告りなよ。結局何もしないで政宗に持ってかれて…ホント馬鹿みたい」
「俺には、お前のが馬鹿みてーに見える。
…何で、あんな嘘ついてまで、幸から離れたんだ?」
「………」
佐助は忌々しそうな目をしたが、それを伏せた後、再び口を開いた。
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