歓待1
メインからは、幸村、佐助、元就、元親
他、今まで出て来たキャラ数人。
前回より。
会話三昧、59pなどは、人多くて本当にカオス。
他キャラたちと幸村とのやり取り、就+幸、親+幸、が主。
連続で幸村甘やかしなので、長い目で見て下さると助かります…(--;)
前回までのシリアス風テンションから、一挙に舞い戻っております(・ω・) 展開という展開は、ないに等しい。
幸村が再び目を覚ましてからは、皆が一斉に顔を見に来たが、彼の記憶が戻ったことに驚きながらも、信玄と二人でゆっくり話せるよう場を譲った。
話が終わった後、幸村の顔は見違えるよう穏やかになり、事情を尋ねに来た警察官にも、はっきり応えることができていた。
ここに留まらねばならないか問うと、向こうの警察も担当している件であるので、構わないとのことだ。何かあれば彼らの方から訪れる、と。
『美紅』の一家は、あの事故の後、周りの目を気にして違う土地へ引っ越していた。
元より伊達家に並ぶ家柄で、数年前に両親が亡くなり、彼一人で学園のある街に移っていたらしい。
簡単にはまとめられないほどの、孤独な境遇にあり続けていたらしく、たまたま学園近くで幸村を見かけた際、『まさか』──と、彼のことを調べ、日常生活を、探偵などの類いを使って探り…
体育祭や学園祭には客として来場、コンテストは、一般観覧の券を手にしたらしかった。
何度も幸村に声をかけようとしたが、佐助の存在が彼にはひどく大きく映ったようで、積み重なる内、妬みや憎悪もまた比例していった…とのことである。
だが、彼も天涯孤独というわけではないらしく、親戚の手により、将来的に遠く離れた病院施設へ入ると決まり、皆ひとまず安堵の息をもらす。
情の深い幸村やかすが、信玄たちは、彼に少し思うところもあるようだが、されたことを考えれば、たとえそうであっても決して口にするまい、と結論付けたようだった。
目覚めてからたった一日で居住地の病院へ移り、静養のため、しばらく入院することになる。
だが、二年生最後の学期でもあるし、終業式には必ず行く、と幸村は宣言した。
それを聞き、他の友人たちは学園へ戻ったが、かすがと佐助は堂々サボり、彼を苦笑させる。
かすがから、「今さら『殿』なんて付けるなよ?」と冗談混じりに睨まれ、幸村は大いにホッとしていた。
「だ〜んなー、お客様だよ〜」
「おぅ…?」
土曜日の朝の食後、病室のテレビを見ていた幸村だったが、声をかけられ、身体を起こす。(かすがは、着替えなどを取りに、一旦マンションへ戻っていた)
今日は休みであるので、皆朝から来てくれたのだろうか…?と思いながら、ドアに目を向ける。
バタバタの日が続き、友人たちとは込み入った話はできていない。
皆、幸村に対し以前と変わらぬ態度で、こちらも何となく言い出せぬ雰囲気だった。
(できれば、二人で話したい…のだが)
そんな思いを馳せていると、スーッとドアが開き、
「幸村〜!」
「お見舞いに来ただよーっ」
「!おお、お二人とも!わざわざすみませぬ」
たちまち幸村は破顔し、客人──蘭丸といつき、さらに、
「明智先生まで…」
と、三人を迎え入れた。
「入れんの、嫌だったけど。他の病室に迷惑かけそうだったしさ、放っとくと」
「おやおや…随分な言われようですね」
光秀は苦笑し、「これでも、案じていたのですよ?」
その言葉に、幸村が「先生…」と、感激すると、
「薬を射たれたそうですが、後遺症はない代物で良かったですねぇ、本当に。あなたは、しっかり健康体でいなければ…これからも。
(──私の薬の被験体として)」
「は、はい…っ、ありがとうございまする!」
「沢山血ができるよう、新鮮な生肉をお見舞いの品に持って来ましたよ。…まぁ、今の体調では、少々火を通した方が良いかも知れませんが」
光秀は佐助に渡し、「美味しくして差し上げて下さいね」などと、無茶なことを言っている。
その後すぐに、
「そこの喫茶店でお茶をしていますので、ごゆっくり…」
と病室、しいては病院から出て行った。
「肉届けに来ただけ?」
佐助が呆れていると、
「幸村、あいつ本当に変態だから。気を付けてね?」
「そうだべか?車の中で、ずっと心配そうにしてたべ?」
「お前はあいつを知らないから。ひどい目に遭いたくなきゃ、蘭丸みたいな性格になることだね」
「…究極の選択だべな」
いつものように始まりそうになった言い合いを、佐助が「まぁまぁ」と止め、幸村の近くへ促す。
「幸村、『思い出した』んだね」
「ああ──」
彼ら三人とは、『昔』の付き合いが深いわけではなかったので、しばらく経ってから分かったのだが。
「オラたちも、少し前だったんだ。…兄ちゃん、またよろしくな?」
「蘭丸も、ちょっとはマシな子供になったでしょ?幸村は──あんまり変わってないけどさ」
いかにも子供らしく笑う二人に、幸村も柔らかい笑みで返す。
あの荒んだ世界にいた蘭丸…だが、魔王と呼ばれていた学園長も、その妻も、一風変わっていながら、『今』の世らしく安穏に生きている。
…彼も彼らもまた、きっと幸せに。
それは、この顔を見ていればよく分かるというもの。
乱世に見た二人の子供。
彼らの成長を、これからはじっくり見ることができる。
自分の命が助かった現実を深く感謝するものに、新たにまた一つが加わったのを感じていた。
「これ、あのお店のお団子!あと、幸村が気に入ってた葛餅とか桜餅と〜…金平糖もあるよ」
蘭丸は得意げな笑みで、テーブルにドサドサと広げ、
「また、一緒に行こうね?」
「──ちょっとぉ、いつの間にデートしてたわけ〜?俺様、初耳なんですけどぉ」
佐助が、じとーっと二人を見比べるが、
「ほれ、一月さ。兄ちゃん、外国に行ってたんだべ?オラたちとも、片倉園で畑仕事したんだべな〜?」
「いつも一人占めしてるんだから、そのくらい良いだろー」
(ぐ…)
子供らしく?ベタベタと幸村にくっ付く二人に、『大人らしく』冷静になるよう、自分に言い聞かす。
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