追想1


幸村佐助慶次、脇役数名、捏造キャラ


前回からですが、場面入り乱れます。回想シーンなどが入ったり。

乱文散文、捏造妄想、激しいです。
前回に引き続き、知識や描写云々、穴だらけ。展開に嫌悪されたらすみません。

またもや力尽きて終わりがアッサリですが、落着はしているかと。き、気分的には。
















目の前と頭の中が白々と照らされ、意識が宙に浮かぶ。


…こんな結末になるなんて



『──彼の言う通り、あの事故さえなければ、誰とも出逢わなかった。すまぬ…俺のせいだ』


(…ぇ…)


『俺が、望んでしまったからだ…また、逢いたいと。…気付かれず、その幸せを見届けるだけで、満足だったはずなのに』


(…ち…がぅ……)


『すまぬ…お前の人生を狂わせた。せっかく、俺を置いてくれたというのに。…とうに消えていれば、こんなことには』


(違う──事故は事故だ、お主のせいでもあるわけがない。それに、)



…俺こそが、欲を出したから。

お主は、長い間制御してくれておったのに。


──思い出したい。…などと。


また同じ過ちを、俺は



自分はまだ二十年も生きていないが、それ以上の幸福と愛情に恵まれ続けて来た。

「だからもう、充分だろう?」と、死の使いは言うのかも知れない。
「お前は、十二分にそれを堪能しただろう」と。


(…けれど)


まだ、受けた大恩を返せていない。
両親に出来なかった分までするのだと、固く誓ったのに。


──独りになった自分を、救ってくれた人。

彼女が一番輝く日だって、まだ目にしていない。
きっと、それは一日だけではないということも、本当に楽しみで。その未来を、しっかりと見据えるつもりだった。

…世界一想い合っていた、あの夫婦のように。どうか、二人が築いたであろう道を、自分に見せて欲しいと。


最も強く、大切に想った彼ら。
彼らにこそ何も返せずに、行ってしまえるわけがない。

自分は、一体どれほどの約束を違えてしまうというのか。
そのような己は、決して己に非ず。
きっと、想像を超える悔いに、永遠に彷徨う。

そこまで分かっていながら




…なのに


今、何よりも強く思うのは


それら全てを返せずに終わろうとも、その一つだけのために奇跡が起こって欲しいと、



(…ごめんなさい)


何という恩知らず

薄情者


それを遂げられたところで、誰が得をするわけでもないのに
むしろ、重荷になるだけ

何故かは、痛いほどよく分かっているというのに


(ただ、自分の我儘を昇華したいがために…)



──気付けば、先ほどの彼の姿は見えなくなっており、一人だけになっている。

周囲の白が斑に溶け始め、いよいよかと、目を細めた。














『………』


水先案内人──というやつか。

一体、どんな顔をしておるのだろう。


ぼんやり見える輪郭は、大分大きい。

眼前にいるようなのに、はっきり見えないとは。



『…て、──な…』


(…この声は、心地好い…)



『パチン』


何かを叩くような音が聞こえた。










死後の世界は残酷だ。

何故このようなものを見せる。

つまりは、ここは極楽浄土ではない方ということか。





「違うよ、夢じゃない!助かったんだ、死んでない!」


──…え、


「死なせない、絶対に!二度と、俺は…っ、誓ったんだ、守る、って」


(──…)


「…怖かったよな。何も恥ずかしいことなんてない、そのまま泣きなよ。ほら、いつも通り、ハンカチもティッシュもやたら持ってんだぜ?これでも足りなかったら、服だって差し出すし」


(…泣いているのか…?俺は…)






「さす、け…」


「──旦那…ッ!」

佐助が、幸村を強く抱き締める。


「…夢じゃないよ。薬のせいで、感じられないだけ。でも、見えるだろ?ほら、刺さってない。助かったんだ。大丈夫だよ。大丈夫…」

「さ…」


(お前の方こそ、泣きそうではないか…)


そう言いたかったのに、先に両瞳の蛇口が壊れてしまったらしい。
感覚はないが、そのくらいは視界の変化で分かる。


「どうし…」


「──何故、なんだ…!?」

その声に視線をやると、『美紅』が、憎悪に燃える目でこちらを見ていた。

暴れないよう、彼を押さえ付けているのは、


「…ほん、だ、先生…」

徐々に、声も出せるようになってきた。


ドアが開いた音が響いた際に叫んだが、全く鳴らなかった覚えだけはある。
それも薬のせいだと思ったのだが、どうやらそうではなかったらしい。

安堵とともに、喉も温まってきた気がする。


「片倉さんに頼み込んでさ。武田家から二人で抜け出したんだ、車で。…で、徳ちゃんに懇願して」

「徳川殿…」

幸村から腕を離すと、佐助は美紅に向かい、


「シャンデリアの一件見といて、何もないとか甘いこと考えるわけないだろ。アンタがわざわざ俺様にくれた、ここを匂わすメール…あんなヒントより前に、ここだってのは分かってたよ」

「な、に…?」

「もう、こっちの警察には連絡してるから。来るまでね、話し相手になんのも」

佐助が彼に近付くと、小十郎と家康が幸村の傍に寄る。

小十郎は無言で幸村を強く抱擁し、家康が上着を膝に掛けた。


「お二人、…あり、が…」

だが、また言葉を上手く操れなくなる。


「すまん、急いでやったんだが、もっと早く着いてれば…」

家康が声を上擦らせると、


「徳ちゃんだから、間に合ったんだよ。…分かる?彼、あの大企業の社長の息子。アンタが──もちろん俺様も知らないような、色んな世界に精通してんの。…それ造った奴、そういうマニアって知ってたわけ?」

佐助はあの装置を指差し、


「そこにカメラ付いてるって。…知ってた?」


「………」

だが、美紅は虚ろな目を向けるばかり。

[ 41/77 ]

[*前へ] [次へ#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -