警鐘1


元就幸村かすが元親政宗慶次佐助、捏造脇役

前回から数日。

就・親の出番と、幸村の思考や体験がほとんどです。他のメンバーは、かなり脇役。

シリアスもどきですが、私の力量なんで全然です。恥一杯の、ひどい乱文。

前回の後書きにも書いたんですが、これからの展開、不快に思われるかも知れません…本当に、自己満足な流れなので。
無理、と感じたら、即ストップされて下さい(;_;) その場合、本当に申し訳なかったです、ここまで付き合って頂いて。

全然ドラマ的な展開でなく、描写はチープなのが、目に見えてます。それでもお付き合いして下さるお客様、本当に心から大感謝です。(それを、作品内容でお伝え・お渡しできないのが辛いですが;)













政宗への傷害事件以後、伊達家からも車が出るようになり、日が経つにつれ、幸村たちの心配も小さくなっていった。

瓶を投げた少年は身柄を拘束され、薬品の入手先などの尋問を未だに受けているが、不明瞭な言動の多さから思うように話が進まないらしい。

他の少年たちについては、根まで腐ってはいないようで、政宗に深く詫び、心より反省はしていると見受けられた。
知らなかったとはいえ、単なる私刑で終わらなかったかも知れない可能性に、彼らの方が顔色を悪くしていたようだった。


大分寒さも和らいできた、三月の初め。
卒業式が近付き、生徒会も忙しさを極めていたが、それまでの仕事はほとんど終わりが見えてきている。

政宗は、当然車でさっさと下校し、幸村とかすがは武田家、佐助も二人について行った。
慶次はバイト、元親は…


(七時から──であったな)


時計を確認し、元就は自身へ舌打ちと嘲笑を放つ。


(あやつが何度も言うせいで、洗脳された)


元親は、今晩行われるバイクの大会を見に行くのを、随分前から楽しみにしていた。
何でも数十年に一回の規模のレースで、彼が幼い頃から憧れていた外国の選手なども来るのだとか。
テレビ中継もあるらしく、全くもって興味はないのだが、まぁチラ見くらいならばしてやるか──と思わされるまで、元就の頭の中は染められていた。

今日は、生徒会の中で一人最後に残っていた元就。

校舎を出ようとすると、派手なエンジン音をバックに、見覚えのあるバイクが停まった。


「──っあ、毛利さん…!」

ヘルメットの下から現れた顔は、これも何度か見た顔。
他校の生徒で、元親の舎弟の一人である。

「どうした?あやつなら、もう会場におる頃だと思うが」
「…ですよね」

彼はひどく焦っているようで、学園を一瞥し、再びバイクに跨がる。


「何かあったのか」
「いや、大した…」

そう言う顔は、どことなく青い。

元就の頭に、嫌な予感が走る。元親に関することで、良い知らせではない…


(まさか、人身事故──などではあるまいな)


バイクを横目に、そんな考えがよぎる。
次に浮かんだのは、イベントの話を楽しそうに話す、彼の顔。

しばし、二人の間に沈黙が流れたが、


「…我を連れて行け。事の次第では、あやつより役に立つやも知れぬ」
「──ッ、すんま、せん…」

彼は緊張した表情を見せ、予備のヘルメットを元就に渡した。











着いたのは、テナントの募集もしていないような廃ビルだった。

一階から最上階まで吹き抜けになっており、中はボロボロである。
が、天井に付いたシャンデリアだけは、まだ充分使えそうな雰囲気だ。


(事故ではないようだが、一体何が…)

眉を寄せ、元就は周りを見渡すが、


「!何…!?」

元親の舎弟に手を取られた、と気付いたときには既に、陰から出てきた数人の男たちに、身を拘束されていた。


「何の真似を…っ」
「…別に、あんたに恨みがあるわけじゃねーけど」

舎弟は低く笑い、ケータイを取り出すと、


「少しは原形残しとかねぇとな。あんただって分かんねぇかも知んねーし、『アニキ』」

元就の髪を掴み、顔を上げさせたが、すぐに放し、元親の舎弟ではないだろう後ろの男たちへ、目配せした。


「貴、様…」
「その綺麗な顔がボコボコになんのは、ちーっと心が痛むが──っ、テメッ…」

確実に油断していたようで、元就が振り上げた足により、彼の手からケータイが離れる。
元就は、自分の足元に落ちたそれを、踏み付け潰した。


「愚か者が」

失笑し、自分の手にあった物も同じように破壊する。…これで、二人のケータイ以外に、元親の番号が入っている物はなくなった。


「…馬鹿はテメーだ。誰も来ねーぞ、こんなとこ」
「我を餌に、あやつを呼び出すつもりだったのか?あのバイク馬鹿は、イベントが終わるまでケータイなぞ見向きもせぬぞ」
「それで良かったんだよ、そういう『指示』なんだから」
「指示だと…?」
「だから、あんたに…そうそう、アニキにも恨みがあるわけじゃねぇよ」

あーあ、と彼は壊れたケータイを拾うと、

「こんなの予定になかったぜ…。アニキ呼び出せなかった分、金引かれっかも知れねぇのに」


「…貴様、あやつを騙しておったのか」

元親は、彼ら舎弟を家族同然のように思っている。
大昔の自分の所業と重なり、元就は腸が煮えるのを瞬時に感じた。

舎弟は、嘲るように笑い、


「俺、最初から『バイト』だったんだよ。あんたは知らねぇだろうが、アニキとの付き合いも、ほんのちょっと前からなんだぜ?しっかし、あの人新旧関係なしに可愛がってくれるからな…助かったよ、ホント」

「…何のために…」

「だから、バイトっつってんだろ。──あー…今よーやく腹立ってきた。あのケータイ、気に入ってたってのに」

笑みを消し、元就の腹へ一撃を入れる。


「……ッ」

「お前ら、今度はしっかり脚も押さえてろよ。…写メは送れねーが、予定狂わされた分は払ってもらうぜ」

再び髪を掴み上げるが、元就は、これまで以上に冷徹な表情で返した。…その瞳の中に燃えるは、憤怒の炎。


──舎弟の振りかざした拳が、空を切った。

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