愛慕6







「随分と質の悪い輩であるな…大人数で来た上、あのような真似まで。すぐに捕まると考えなかったのであろうか?せっかく、なかなかの腕を持っておるというのにな…」

そちらもショックだったようで、幸村が消沈した声で呟いた。


「──あれ、あいつらじゃないんじゃねーかな?」
「え?」

佐助の言葉を聞き返すと、


「ほら、ちょっと前に話題になってた変質者…色んな物投げ付ける、あれ。最近は聞かないけど、まだ捕まってないよ」

「…なるほど。そういえば、誰も犯人を見ていないのだったな」

「俺様たち、離れてたからねー。まーくんが少しでも見てたら良いんだけど…」



「…佐助?」

交番までの道の、人通りのない場所で、佐助が幸村を軽く抱いた。

それは、家族に対してやるような優しさで、幸村も構えることはなかったのだが。


「良かった…何ともなくて。旦那、ヒーローだわ、ホント。初めて会ったときも、そう思ったけど」

佐助は離れると、

「旦那がいなかったら、あいつタダじゃ済まなかった。…良かった…」


(佐助、政宗殿のことを…)


普段見せぬ姿に、幸村が胸を詰まらせていると、


「あいつに何かあったら、旦那もタダじゃ済まないでしょ。…だから」

「──…」

幸村は、今度こそ何も言えなくなる。


頭の中には、『良かった』と、そればかりが浮かんだ。
自分の声と、先ほど聞いた佐助の声が、幾度も交差する。

佐助が、自分の思いを──というより、自分をどれほど大事にしてくれているかが、身に沁みて分かるようだった。



────………



警察との話は根気がいったが、小十郎と信玄、秀吉や半兵衛などの教師が多く駆け付けてくれ、スムーズに終わった方だと言える。

少年たちはすぐに引っ張られ、あの瓶を投げた者も見付かった。

佐助の読みは外れたわけだが、他の彼らは本当に知らなかったようで、それが分かるまでには割と時間を食ったらしい。

動機は、特に政宗を恨んでいたから…という、極めて単純明快なものだった。









「ただいま」
「大変だったな…今、沸かし直すから」
「あ、すまぬな…」

やっとのことで家に帰ると、かすがは大いに労ってくれた。
さすがに、政宗の身も案じていたようだ。


(あ…)


テーブルの上に、『美紅殿』からの手紙が置かれていた。…が、かすがの様子からだと、問い詰めたり、からかったりするどころではないと見える。

ポストに入るようになったのは最近なので、今まではバレていなかったのだ。


(…今日は、読む気がせぬな)


申し訳ない、と思いながら、幸村は手紙を自室の引き出しにしまう。


…警察沙汰になり、向こうの彼らも相当反省していたようだった。

恐らく、もう心配することは少なくなっただろうが…


(やはり、明日からは一緒に帰ろう…)


そう心に留め、入れてくれた温かい湯に、深く身を沈めたのだった。







‐2011.12.28 up‐

あとがき


ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

これからの展開、不快に思われるかも知れません…本当に、自己満足な流れなので。
無理、と感じたら、即ストップされて下さい(;_;) その場合、本当に申し訳なかったです、ここまで付き合って頂いて。

そして、全然ドラマ的な展開でないです(´Д`) 描写がチープにしかできないのが、目に見えてますので。

味も何もなく、ダメダメな気がします。それでもお付き合いして下さるお客様、本当に心から大感謝です。それを、作品内容でお伝え・お渡しできないのが辛い;

しつこいですが、本当にありがとうございます(><)


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